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有村架純、映画『ブラック・ショーマン』に出演したことは「すごく新鮮でした」

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有村架純 (撮影:川野結李歌)

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有村架純が出演する映画『ブラック・ショーマン』が9月12日(金)から公開になる。本作で有村が演じた神尾真世は、福山雅治演じる主人公の相棒として殺人事件の真実に近づく一方、自身の変化や、真実との向き合い方に迷う。名もなき町で起こる殺人事件の真相を追うドラマと、父の死をきっかけに変化を遂げていく女性の物語はいかにして両立するのか? 有村に話を聞いた。

「福山さんの“思いやり”を感じました」

本作の原作は、東野圭吾の小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』で、有村演じる神尾真世が、父が何者かに殺されたと聞かされるところから物語が幕を開ける。彼女の父・英一は元中学教師で、生徒からも愛される人格者。間もなくやってくる娘・真世の結婚式を楽しみにしていた矢先だった。

そんな折、英一の弟で、真世にとっては“叔父さん”にあたる神尾武史(福山)が姿を現す。彼はかつてラスベガスで名をはせた元マジシャンで、独力で兄の死の真相を突き止めようとする。武史は、圧倒的な観察能力と、素早い身のこなしと手さばき(手癖の悪さ)、誘導尋問スレスレの会話術で相手を手玉にとる最強にして超クセのある人物。真実にたどり着くためには手段を選ばない武史を前に、真世は自分も捜査に加わり、真実を追求することを決意する。

福山が演じる武史は、観客を含むすべての相手を翻弄し、アッと驚く方法で真相を突き止める希代のトリック・スターだ。真世は「ある種のストーリーテラー的な立ち位置」と有村が語るとおり、叔父である武史に振りまわされながらも、“観客の目”となって容疑者たちに向き合い、時に捜査を率いる立場に立つ。何せふたりは探偵と助手ではない。叔父と姪なのだ。

「叔父さんに振り回されているかと思いきや、真世がしっかりコントロールしているところもあって、このふたりにしかない関係。叔父と姪という血縁だからこその関係が出ればいいなと思っていました。

福山さんの演技は思いやりがあるというか、実際の福山さんもとても親切な方ですし、(福山演じる)武史さんが自己中心的なイヤな人間に見えないのも、福山さんの持っているエッセンスや、武史さんが兄を愛していて、敬う気持ちが演技の中に入っているからだと思うんです。真世にとって叔父さんが完全に憎い存在にならないのも、福山さんが演じられたからだと思います。

福山さんの根底にある“思いやり”は一緒にお芝居をしているときにもすごく感じました。相手をトリックにかける人物でありながら、完全にイヤな人間ではない。そのふたつのバランスをどうやってとるのか……もし自分が武史のような役を演じると考えたら、本当に難しいと思うんです」

「ミステリ作品の中にいられることがワクワクするんです」

とは言え、真世も、ふたつのドラマを行き来する複雑なキャラクターだ。彼女は父の死の真相を追う中で、かつての同級生たちと向き合い、その過程で衝撃的な真実に何度も直面する。さらに彼女は“真実に向き合うべきか、あえて真実を遠ざけて現在の幸福を守るべきか”で迷う。エンタメ全開のサスペンス劇と、ひとりの女性の成長ドラマが本作では平行して進んでいくのだ。

「真世は父とのコミュニケーションを怠ったがゆえに、真実を知らないままに父と二度と会えない状態になってしまう。そのことに対する不甲斐なさと後悔は当然生まれますよね。だから犯人を憎む気持ちというよりは、心にぽっかりと穴が開いた状態になってしまう。その複雑さを感じているんだと思うんです。そんな中で、誰かの手で殺されてしまった父のために自分ができることは何なのか? 自分がこれまで父とできなかったことを考えたときに真世にどんな強い想いがあるのか? そのことはひとつの軸として忘れないように演じました。

ただ、それだけを追求していくと、ものすごく暗い作品になっちゃう(笑)。この映画はエンターテインメントの面白さがあって、真世と叔父さんの駆け引きも魅力なので、テンションをうまく切り替えながら演じる必要があって、その加減、どこまで振り切って演じるのかは、演じていて難しかったです。

私はこれまでミステリ作品に参加させていただく機会があまりなかったので、謎を解いたり、ミステリの事件の当事者の中に自分がいられることが客観的に見ると……ちょっとワクワクするんです(笑)。こういう作品ですから、私が犯人であってもおかしくないわけで、そういう作品の中に自分が出演させていただけることがすごく新鮮でした」

観る者すべてを翻弄する元マジシャンの叔父と姪が難事件に挑む極上のエンタメ作品、そして愛する兄を失った弟と、愛する父を失った娘が、真実に向き合う中で自身の内面と向き合う人間ドラマ。映画『ブラック・ショーマン』は観客の予想を軽く裏切る“奥深さ”を備えた作品だ。

取材・文:中谷祐介(ぴあ編集部)
撮影:川野結李歌
ヘアメイク:尾曲いずみ
スタイリング:瀬川結美子

<作品情報>
『ブラック・ショーマン』

9月12日(金)公開

公式サイト:
https://blackshowman.jp/

(C)2025映画「ブラック・ショーマン」製作委員会

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