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詩森ろば演出で描く“最高の復讐” dialogue+1による女性ふたり芝居『The Breath of Life』開幕

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serial number presents dialogue+1『The Breath of Life』より 左から)李千鶴、林田麻里 (撮影:市川唯人)

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serial number presents dialogue+1『The Breath of Life』が、2025年9月10日(水) に東京・下北沢のOFF・OFFシアターで開幕。このたび、舞台写真と演出を務める詩森ろばのコメントが到着した。

本作は演出の詩森、俳優の林田麻里と李千鶴で構成されるユニット「dialogue+1」による3年間の女性ふたり芝居連続上演の第一弾。今回上演される『The Breath of Life』は、イギリスの劇作家デヴィッド・ヘアーによる、今はここにいないある男をめぐる元妻と元愛人による対話劇だ。

舞台はイギリスのとある島の海岸沿いにあるテラスハウス。その家の住人であるマデリン(李)のもとに、フランシス(林田)が訪れる。専業主婦だったフランシスは現在流行小説家となり、夫の長年の不倫相手だったキャリア・ウーマンのマデリンとの回想録を書くために訪れたのだ。若い新しい恋人ができた夫はシアトルに行ってしまっており、彼を失った妻と愛人、ふたりの対話が始まる。

左から)李千鶴、林田麻里(撮影:市川唯人)
左から)林田麻里、李千鶴(撮影:市川唯人)

ユニット結成の経緯について、詩森は「まずはこのふたりの俳優とやると決めてから上演する戯曲を探し、心に深く刺さる2本の戯曲に巡り合った。どちらを上演する?という話し合いから、どうせならどちらもやろう、せっかくだからわたしも書き下ろす、と3年間のユニットを組むことにした」と明かしている。また、林田と李については「演劇へのがめつさがわたしと似ている、なんなら上回るひとたちで、わたしはその点でいつも負けたくないと思っている。『アンネの日』で初めて組んでもらったときに、ふたりのただならぬ相性を感じ、ユニット名はふたりの対話にオマケのわたし、という意味を込めてdialogue+1とした」とも。

開幕に際し、「よくぞ出会えたね、という林田麻里と李千鶴という俳優ふたりは、はじめて会った役なのに仲良くなりすぎたり、かと思えばそれを用心しすぎてただの敵同士になったり、けして平坦ではない道を、皆で率直に言葉を交わすことで乗り越えてきました。最終通し、あの稽古場にあった、あの嘘のない瞬間を“最高の復讐”としてあなたに届けられますように。ぜひ劇場にお出かけください」と観客へのメッセージを送った。公演は2025年9月17日(水) まで。

■詩森ろば コメント全文

この戯曲の舞台となるワイト島はイギリスの最南端にあり、登場人物であるマデリンの言葉を借りると「ガーデニング」と「死」しかない島です。そして、『The Breath of Life』はそこに訪ねてくる流行作家でもあるフランシスとマデリンとの一昼夜の物語です。彼女たちはほぼ初対面であり、そこまでの人生はまったく交わっていません。ただひとつだけ。ひとりの男を長い時間共有していたことを除いては。ホストであるマデリンはその男の元愛人。そしてフランシスは元妻です。しかも今、彼はイギリスを去り、アメリカで新しい女性と暮らしているのです。ほんとうに、ウンザリするほど辛辣な設定です。

ふたりはマデリン曰く「向こう岸」のワイト島で、はじめて自分たちの男との記憶を持ちよります。出会い、生活、そのすべてを。ふたりはとうぜんながら深く傷つきますが、しかし、自分の心の深層部にも相手の心の奥底にも容赦なく分け入っていきます。

その戯曲に『The Breath of Life』、つまり「命の呼吸」というタイトルがついている。それは何故なのか。わたしたちの稽古場はこの問いに対して何かしらの答えを見つけようと奮闘する日々だったように思います。

作家デヴィッド・ヘアーは「もはや中年とは呼べないし、ましてや老年とも呼べない。その中間の何か……私はまさにその瞬間のふたりの女性を描きたかった。彼女たちの背後には長い過去があるが、彼女たちの前には大きな未来への期待がある。」とこの戯曲について語っています。

大きな未来への期待!

わたしが読み解いたのもまさにそれでした。そう。だって、マデリンを追いかけて向こう岸に渡ったフランシスが向こう岸に渡ったままだったら、こんなタイトルがつくハズはないのです。なのに、この戯曲の扉には、「生きるとは復讐の夢を見ることである」というゴーギャンの言葉が書いてある。いったい何がしたいの。デヴィッド。

これは、この物語は、こんな辛辣な設定でありながら、ふたりの女が手を携えて「精神の死」の淵から生還するシスターフッドの物語でもあります。だからわたしはこの物語が好きです。だからわたしはこの物語をこのふたりの俳優とやりたかったのだと思います。よくぞ出会えたね、という林田麻里と李千鶴という俳優ふたりは、はじめて会った役なのに仲良くなりすぎたり、かと思えばそれを用心しすぎてただの敵同士になったり、けして平坦ではない道を、皆で率直に言葉を交わすことで乗り越えてきました。最終通し、あの稽古場にあった、あの嘘のない瞬間を「最高の復讐」としてあなたに届けられますように。ぜひ劇場にお出かけください。

<公演情報>
serial number presents
dialogue+1
『The Breath of Life』

serial number presents dialogue+1『The Breath of Life』チラシ(画:渡辺詩子)

作:デヴィッド・ヘアー
演出:詩森ろば
翻訳:鴇澤麻由子

出演:
林田麻里
李千鶴

2025年9月10日(水)~17日(水)
会場:東京・OFF・OFFシアター

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2523367

serial number 公式サイト:
https://serialnumber.jp/

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