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14名の女性作家の作品から戦後の日本美術史を捉えなおす 『アンチ・アクション』豊田市美術館で

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芥川(間所)紗織 《黒と茶》1962年 東京国立近代美術館蔵

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2019年に出版され、第42回サントリー学芸賞を受賞した中嶋泉著『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』で開示された視座をもとに、1950年代から60年代にかけて前衛芸術の領域で大きな注目を集めた日本の女性作家に焦点をあてる展覧会が、10月4日(土)から11月30日(日)まで、愛知県の豊田市美術館で開催される。

展覧会名にある「アンチ・アクション」には、第二次大戦後の日本における前衛芸術運動の歴史的な背景がある。戦後、欧米を中心に隆盛した芸術運動「アンフォルメル(非定形)」がフランス経由で日本に流入し、その気運の中で日本の女性作家たちも大きな注目を集めたという。だが、アンフォルメル運動への熱が冷め、次にポロックらに代表される「アクション・ペインティング」の様式がアメリカから導入されると、豪快さや力強さといった男性性と親密な「アクション」の概念が重視され、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが起こった。

山崎つる子《作品》1963年 兵庫県立美術館蔵(山村コレクション) © Estate of Tsuruko Yamazaki courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo

前掲の著作は、こうして批評対象から外された女性作家たちの「アクション」に対する対抗意識を「アンチ・アクション」という言葉で表し、ジェンダー研究の観点から美術史の読み直しを図ったものだ。同展は、その著者の全面的な協力を得て、14名の女性作家による約120点の作品に光をあてる展覧会だ。

登場する作家は、赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子。近年、女性作家の再評価が進められつつあるが、これほどの規模で多彩な作品を結集させ、日本の近現代美術史の再解釈を試みる企画はかつてないものだ。

田中敦子《地獄門》1965-69年 国立国際美術館蔵 cKanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

同展ではまた、作家のご遺族や研究所の協力を得て、未発表作品も出品される。作家の知られざる面に出会えるという点でも、貴重な機会となっている。

なお、会場では、図録やパネル解説とは別に、様々なトピックを紹介するZINE(小冊子)が配布される予定だ。よりカジュアルに、またより多面的に、作家たちの活動や時代背景を紹介する試みだという。こうしたツールも参照しつつ、14名の作家たちのそれぞれの挑戦の軌跡を、ぜひ会場で目撃したい。

<開催情報>
『アンチ・アクション  彼女たち、それぞれの応答と挑戦』

会期:2025年10月4日(土)~11月30日(日)
会場:豊田市美術館 展示室6, 7, 8
時間:10:00~17:00(入場は17:00まで)
休館日: 月曜(10月13日、11月3日、24日開館)
料金:一般1,500円、大高1,000円
公式サイト:https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/antiaction

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