「ブリコラージュ」をテーマにアール・ブリュット作家6名の独創性あふれる作品を紹介『既知との遭遇』東京都渋谷公園通りギャラリーで
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すべて見る身の回りにあるものを即興的に組み合わせ、従来の用途や役割を離れて新たな意味を獲得しようとする創作や思考方法を「ブリコラージュ」という。この言葉をキーワードに日本の「アール・ブリュット」の作家の独創的な作品を紹介する展覧会が、9月27日(土)から12月21日(日)まで、東京都渋谷公園通りギャラリーで開催される。なお同展は、2026年に都内2カ所(羽村市および板橋区)に巡回を予定している。
アール・ブリュットとは、20世紀のフランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによって提唱された言葉で、今日では広く、専門的な美術教育を受けていない人などによる独自の発想や表現方法が注目されるアートを意味している。今回の展覧会は、そのように独創性にあふれる作家6名の作品世界を紹介するものだ。

出品作家は、コピー機を写真機のように使って制作するポートレートで知られる井口直人(いぐち なおと)、広告チラシの切り抜きを絵具のようにして描く嶋暎子(しま えいこ)、パステルを何度も塗り重ねて独特のマチエールの絵を描く舛次崇(しゅうじ たかし)、使い終わった割り箸で巨大なオブジェをつくる武田拓(たけだ ひらく)、紙面に点在する無数の赤い丸から創作を発展させる鶴川弘二(つるかわ こうじ)、アトリエで廃棄される糸や布の切れ端を巻き固めたオブジェをつくる納田裕加(のうだ ゆか)の6名。いずれも私たちの「既知」の品々から、作家それぞれの人生の手跡が色濃く残された特別な作品を制作している。
同展の見どころのひとつは、この「既知との遭遇」というコンセプトに呼応し、建築やランドスケープ・デザインを手がける「tamari architects」が会場構成を担当すること。普段は意識されない街の風景になじんだカーブミラーなどの形からインスピレーションを受けた展示什器を提案し、「知っていたはずのもの」との新しい出会いを誘発する。また、作家の創作エピソードや作品の魅力を語る音声ガイドのナビゲーターは、俳優の瀬戸康史が担当する。

同ギャラリーは、アートを通してダイバーシティ(多様性)の理解促進や共生社会の実現に寄与するために運営されている。同展は入場無料、音声ガイドも無料で利用できる。鑑賞ツアーなど多彩なイベントも企画されている。
<開催情報>
アール・ブリュット2025巡回展 『既知との遭遇 自伝的ブリコラージュの世界へようこそ!』
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1、2
会期:2025年9月27日(土)~12月21日(日)
時間:11:00~19:00
休館日:月曜(10月13日、11月3日、11月24日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)、11月25日(火)
※第2会場・プリモホールゆとろぎ(羽村市生涯学習センター)、第3会場・板橋区立成増アートギャラリーへ巡回
公式サイト:https://inclusion-art.jp/s/bricolage/
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