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押田岳「僕らと一緒に作品づくりを味わって」 寺山修司の処女戯曲『血は立ったまま眠っている』に主演

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押田 岳

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“テント芝居”を通して新たな文化発信、文化交流を図ることを目的に開催される「赤坂芸術祭2025」。そのメイン公演となる『血は立ったまま眠っている』が、10月5日から16日まで、東京・赤坂サカス広場 特設紫テントで上演される。寺山修司の処女戯曲を、柿喰う客主宰・中屋敷法仁が演出。公演を前に、主人公の良を演じる押田岳が取材に応じ、意気込みを語った。

六十年安保闘争を背景に、兄弟のごとく寄り添う若きテロリストの良と年上の青年・灰男(武子直輝)、彼らの関係性を揺さぶる良の姉・夏美(川崎愛香里)を軸に、ある男が持ち込むダイナマイトや、周囲にたむろするチンピラたちの抗争が入り乱れる群像劇。かつて、浅利慶太の演出で劇団四季によって初演され、2010年には蜷川幸雄演出、森田剛主演で上演されるなど、その前衛的な構成と強烈な言語感覚は、今も演劇界に大きな影響を与えている。

押田 戯曲を読んだ率直な感想は「ちょっと難しい」でした。でも、当時23歳だった寺山修司さんがひとりの人間として、自分の魂を込めた戯曲であることは、文章から読み取ることができました。それを俳優として表現する立場なので、できる限りお客さまにもその“熱さ”を届けられたらいいなと思っています。

若者の孤独、抑圧された情動、時代への反抗。そんなエネルギッシュに渦巻く感情を体現する主人公の良とは、どんな存在だろうか?

押田 ひと言で表せば、何者かになりたい若者、ですね。自分を表現したい、世界に何かを発信したい。けれど、その術も経験もなくて、少し年上の灰男と一緒にいることで何かのきっかけを待っているような、純粋な心の持ち主だと思います。劇中にはダイナマイトが出てきますが、今の時代に置き換えれば、それってSNSのことかもしれない。僕自身も俳優を志したのは、「何者かになりたい」という思いがきっかけですし、現代だからこそ、共感していただける気持ちがきっと描かれていると思います。

演劇界の巨人である寺山の戯曲に挑む心境を聞くと「すっごいプレッシャーですし、不安もあります」と本音も。それでも「俳優の仕事を続けるなかで、いい意味でも悪い意味でも、最近は自分のできること、できないことが整理されつつあると感じることも。ですから、今回の挑戦で自分にはなかったもの、あったけれど知らなかった引き出しを発見できれば」と前向きな姿勢。「より本能的なものを目覚めさせたいというか、新しい刺激を得られるのではないかと期待しているんです」と声を弾ませる。

第29回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリに輝き、デビューを飾った押田は、『仮面ライダージオウ』に明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ役で出演し、一躍脚光を浴びた注目俳優。現在も映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍している。

押田 舞台と映像、それぞれの魅力があると思いますが、舞台について言えば、やはりお客さまの反応をダイレクトに感じられることですね。反応次第で、僕らの芝居も変わってきますし、舞台と客席の境界線を超えて、一緒になって作品づくりに没入できる感覚は、やはり演劇の醍醐味だと思います。いろんな瞬間を見逃さず、ライブ感を大切にしていきたいです。目標ですか? やはり俳優はお客さまのためにある仕事なので、お客さまに求められる俳優になりたいです。

押田が語る“一緒になって作品づくりに没入できる感覚”は、常設劇場ではないテントという環境で、より一層濃厚なものになるはずだ。

押田 そうなんです。そのことは本当に楽しみです。お芝居の原点でもあると思いますし、演出の中屋敷さんは、役者をうまく導いてくださると聞いているので、純粋に楽しみたいです。ただ、暑さだけは心配ですね(笑)。何かを持ち帰っていただける舞台にしたいと思っていますし、『血は立ったまま眠っている』は、お客さまにも受動的ではなく、能動的に楽しんでいただきたい作品なので、ぜひ僕らと一緒に作品づくりを味わっていただければうれしいです。

取材・文/内田 涼

<公演概要>
赤坂芸術祭2025『血は立ったまま眠っている』

日程:2025年10月5日(日)~16日(木)
会場:赤坂サカス広場 特設紫テント(〒107-0052 東京都港区赤坂5丁目3-6 赤坂サカス内)

赤坂芸術祭2025『血は立ったまま眠っている』メインビジュアル

[作] 寺山修司
[演出] 中屋敷法仁
[出演] 押田 岳 武子直輝 川崎愛香里/
大村わたる 原田理央 長尾友里花 福井 夏 蓮井佑麻
中嶋海央 佐々木穂高 田中 廉 山中啓伍 浦谷賢充

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/akasakageijutsusai-chinemu/

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