富士山河口湖ピアノフェスティバル2025 辻井伸行 インタビュー
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辻井伸行
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すべて見るピアニストの辻井伸行をピアニスト・イン・レジデンスに迎えた世界的なピアノフェスティバル「河口湖ステラシアター30周年記念 富士山河口湖ピアノフェスティバル2025 ピアニスト・イン・レジデンス:辻井伸行」が2025年9月19日(金)、20日(土)、21日(日)、22日(月)、23日(火・祝)に、河口湖ステラシアター、河口湖円形ホール、河口湖総合公園、河口湖美術館で開かれる。今年は開催5回目の節目。ピアニスト・イン・レジデンス辻井さんが意気込みを語ってくれました。
――今年で開催5回目を迎えます。現在の心境をお聞かせいただけますでしょうか。
辻井「第1回目から毎年、本当に素晴らしいアーティストの方々にご出演いただいて、富士山の麓で音楽会を開催してきました。このように5年目を迎えられたのは、演奏会に足を運んでくださったお客さま、河口湖町の地域の皆さま、出演者、関係者の皆さまのご協力があってこそだと考えています。皆さまが育ててくださったピアノ・フェスティバルが、今後世界に誇るフェスティバルになっていくように、自分自身も頑張っていきたいと考えています」
――9月20日に、河口湖ステラシアターで行われる「辻󠄀井伸行 河口湖スペシャルGALA」について、同ステージはどのよううなプログラムになるか教えていただけますか。
辻井「プログラムは、ベートーヴェンの『月光』、ショパンの『ノクターン』、『スケルツォ2番』、チャイコフスキーの『《くるみ割り人形》組曲』を演奏します。今回は、この様な有名な曲をお楽しみいただきたいと思います。そして、後半の最後にはプロコフィエフの『戦争ソナタ』を演奏します。この曲は以前から、いつかは挑戦してみたいと思っていた楽曲で、昨年のツアーで初めて演奏しました。今年の11月には、ニューヨークのカーネギーホールでのリサイタルでも演奏する予定になっています」
――9月21日には、河口湖ステラシアターで「辻󠄀井伸行 松井秀太郎 小曽根真 THE PIANIST セッションGALA」を開催します。辻井さんは、城戸かれんさん、東亮汰さん(ヴァイオリン)、正田響子さん(ヴィオラ)、矢部優典さん(チェロ)、片岡夢児さん(コントラバス)とともに、ショパンの「ピアノ協奏曲 第1番[室内楽版]」を演奏されます。選曲理由と聴きどころについて教えてください。また同じステージに立つ松井さん、小曽根さんとのエピソードがあれば教えてください。
辻井「ショパンの1番は何度も演奏しており、(日本人として初優勝した第13回)『ヴァン・クライバーン・国際ピアノコンクール』でも演奏した思い出深い作品で、とても大好きな曲です。今回一緒に演奏するメンバーは、ARKフィルハーモニックのメンバーから参加してもらっています。何度も一緒に演奏しておりますが、室内楽版で演奏するのは初めてのメンバーなので、僕もフレッシュな気持ちで望みたいと思います。共演を楽しみにしております。小曽根さん、松井さんとは、以前も河口湖フェスでお会いしていまして、演奏も何度も聴かせていただいています。クラシック曲でもジャズのテイストを感じるところが多くて、僕はジャズも好きなので毎回演奏を聞くのが楽しみな素晴らしいアーティストのお二人です」
――9月23日には、河口湖ステラシアターで「三浦友理枝 辻󠄀井伸行 清水和音 コンチェルトGALA」が開かれます。三浦友理枝さんとは「ベートーヴェン:三重協奏曲」を、清水さんとは「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 《皇帝》」をオーケストラと共に演奏されます。それぞれ楽しみにしているところ、聴きどころについてお話しをいただけますでしょうか。
辻井「お二人とも、素晴らしいピアニストです。同じステージで3曲の協奏曲をお聴きいただきますが、ピアニストによって、楽曲によって、こんなに様々なピアノの音色が生み出されるのかと体感いただけるのではないでしょうか?僕も今から演奏を聴かせていただくのを楽しみにしています」
――辻井さんは「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番」を、東京フィルハーモニー交響楽団と演奏されます。
辻井「今年の8月にアメリカ、ロサンゼルスにあります野外のコンサート会場『ハリウッド・ボウル』でロサンゼルス・フィルとこの楽曲を演奏してきました。とても素晴らしい環境で、河口湖のステラシアターと同じくほぼ屋外でのコンサート会場になります。自然の音も聞こえる屋外ならではの雰囲気を皆さんにも感じていただけたらと思います」
――関連公演として9月20日に、河口湖総合運動公園 芝生広場で「辻󠄀井伸行 小曽根真 ピクニック・コンサート」が開催されます。演奏曲は当日奏者が発表すると、事前告知されています。ホールとは違う芝生広場での演奏で、楽しみにしていることなどがございましたら、教えていただきたいです。
辻井「毎年ピアノフェスティバルでは、ピクニック・コンサートを開催させていただいています。開催年によっては、天気が悪かったりもしましたが、いつも持ちこたえてくれます。(笑い)当日はリハーサルの段階から多くのお客様が集まってくださって、芝生の上でご家族やお友達同士、ワンちゃんを連れてだったり、皆さんがリラックスして聴いていただいているのがとても伝わってきます。演奏曲は、会場についてから皆さんの雰囲気を感じて決めることが多いです。お越しの皆さまには初めてクラシック音楽を聴く方もいるかもしれませんが、リラックスしてお楽しみいただけたらうれしいです
――関連公演として9月21日には、河口湖美術館・展望らラウンジで歌手の田中彩子さんがミュージアム・コンサートを開催します。田中さんは「デラックァ:ヴィラネル(田園詩)」、「ヨハン・シュトラウス2世:美しく青きドナウ」、「バッハ:羊は安らかに草を食み」などを歌唱予定曲としてあげていますが、田中さんの声の魅力についてお聞かせいただけますでしょうか。
辻井「高い透明感のある声が魅力的だと思います。今年の8月には長崎・浦上天主堂でのコンサートに参加いただきましたが、祈りともいえる歌声に感動しました」
――今年も小学校に出向いての出張授業が行われます。児童との交流で楽しみにしていることを教えていただきたいです。
辻井「いつも温かく迎えてもらい、うれしいです。ピアノやクラシック、音楽に興味を持ってもらえる機会を作ることができ、自分にとっても貴重な機会でもあります。楽しみなことといえば、今回はどんなことを答えてくるかなとか、みんなの反応や驚き、興味を持ってくれた時の集中力を感じられた時にとても楽しく思います。いつも最後にお伝えしているのですが、『何でもいいから、自分の好きなことを見つけて、それに向かって一生懸命取り組んでほしい』ということが授業を通して、伝わるとうれしいなと思います」
――最後に「富士山河口湖ピアノフェス2025」を楽しみにしているファンに、メッセージをお願いいたします。
辻井「今年で5回目を迎える河口湖ピアノフェスティバルですが、いつもお客さまからいただく拍手や声に力をもらっています。数日間にわたるフェスなので大変なこともありますが、お越しのお客さま、河口湖町の皆さま、出演者、スタッフ、関係しているすべての皆さまがピアノフェスを育て、作り上げています。皆さまならではの楽しみ方を見つけて参加してくれるとうれしいです。河口湖ピアノフェスティバルでお待ちしております」
<公演情報>
『富士山河口湖ピアノフェスティバル2025』
9月19日(金)~23日(火・祝) 河口湖円形ホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558724
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