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「楽しくもなく、仕方なくでもない」。笑福亭鶴瓶が語る稽古の時間。

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笑福亭鶴瓶の夏休みといえばハワイだ。68万人のフォロワーを持つInstagramでもその近況が知らされていたが、帰国後のインタビューは『笑福亭鶴瓶落語会』のような幕開けだった。氏の落語会に前座はいない。カジュアルな服装の鶴瓶が立ちトークで会場をあたためる。自身のオリジナル話芸=鶴瓶噺が〝前座噺〟というわけだ。このインタビューの〝つかみ〟も鶴瓶噺的だった。

「本当にそんなことがあるのって感じる方もいると思うんですけど。この間もね、その人はなにかが不安だったんでしょうね。自分のいまの状況が。広島でした。女の人がバーって僕に向かって走ってきて笑いながら『離婚してきました、いま!』って。僕はどう答えたらええんやろ思いつつ『あぁ、そう』としか言えなくて(笑)。あとね、映画の『国宝』を嫁と一緒に行こうと思っていたんです。ある日、いまなら行けると嫁に電話したんです。『国宝、観に行こうと思うんやけど?』って。そしたら『私も今日、チケット取って行くよ!』と。僕は一緒に行こうと思って誘ったんですけど、彼女はひとりで行くと。『あぁ、そう』と答えましたけど、これが逆だったら、めちゃめちゃ怒られますから。だから結局、まだ見れていないんです、『国宝』を(笑)」

そんな笑福亭鶴瓶が、夏休みのハワイでも欠かさなかったのが落語の稽古。稽古の時の心境は、楽しくもなく仕方なくでもない――まだ名前のない感情のようだ。ハワイだからとか夏休みとかは関係なく、年中無休で常にやるもの、それが落語の稽古だという。

「稽古は、絶えずやっておかないと不安なんですよ。ましてや、もう74歳ですから。記憶力も悪くなってるしね。僕は落語に対しての本格的なスタートが遅かったからそういう不安があるのかと思って、この間、(春風亭)一之輔に聞いたんですよ。彼は47歳なんですけど『覚えられる?』と。すると『いやぁ……この頃はどうにも』って。あれだけ落語がうまい人でもそうなんだって、ちょっと安心しました(笑)。自分の落語会にむけて稽古している演目はいくつかあるんですけど、絶対にやろうと思っているのは、『妾馬』(めかうま)です」

別名は『八五郎出世』という人情噺。笑福亭鶴瓶版の『妾馬』には、オリジナルのひとことが加えられている。特別な台詞ではない。生きていれば、誰でも一度は耳にしたり口にしたことのある言葉。でも、冒頭の鶴瓶噺とはうって変わって、真剣な表情でそのシーンを目の前で演じられた時、泣きそうになってしまった。取材中だというのに。

「うちの師匠(6代目笑福亭松鶴)は僕に稽古をつけてくれませんでしたから。だから、師匠が亡くなったあとで、(3代目)桂春団治師匠に『稽古をつけてください』とお願いしに行ったことがあるんです。そしたら『兄さん(6代目笑福亭松鶴)にあかんって言われてるんや』と断られて。冗談っぽくですけど『怒られる』って。なんでやねんと(笑)。でもね、僕の師匠はいろんなタイプの落語家を育てたかったんじゃないかなぁ。『型にはめたらこいつはダメになる』『自由にやんなさい』と、わかってくれていた気がするんです」

だから、笑福亭鶴瓶は稽古するのかもしれない。自由であるために。自分の型を追い求めるために。前座不在で自身の鶴瓶噺から始まる独演会は、1本か2本の落語を挟みつつ、ラストは笑福亭鶴瓶版『妾馬』の予定だ。

取材・文:唐澤和也

<公演情報>
『笑福亭鶴瓶落語会2025』

■大阪公演
公演日程:2025年10月23日(木)~10月26日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール

■秋田公演
公演日程:2025年11月1日(土)
会場:あきた芸術劇場ミルハス中ホール

■東京公演
公演日程:2025年11月18日(火)~11月21日(金)
会場:浅草公会堂

■福岡公演
公演日程:2025年11月24日(月・祝)
会場:J:COM北九州芸術劇場 中劇場

■熊本公演
公演日程:2025年11月26日(水)
会場:熊本県立劇場 演劇ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tsuruberakugo25/

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