WILD BLUE 1周年の感謝を込めて 更なる大きな船出へ『WILD BLUE 1st Anniversary 〜SKY VOYAGE〜』レポート
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『WILD BLUE 1st Anniversary 〜SKY VOYAGE〜』 (撮影/小林弘輔)
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すべて見るデビューから1年という節目を迎え、どんな船旅が始まるのか。5人組グループ、WILD BLUEが幕張イベントホールにて『WILD BLUE 1st Anniversary 〜SKY VOYAGE〜』を開催。1日限りの記念ライブは、WILD BLUEのメンバーとSTARRY(WILD BLUEのファンの総称)のお互いへの想いが伝わってくるようだった。メンバー自らが企画や演出、セットリストまで手がけた、意欲的なステージを見せた。
いざ、航海の始まり

『〜SKY VOYAGE〜』と題したライブが、船出を待っている。ステージの大きなモニターには船の甲板から海を眺めるような映像が広がり、集まった「STARRY」たちが、今か今かと待ち望む。
開演時間を過ぎると、メンバーたちの声による注意事項のアナウンスが始まった。それぞれの個性が光るアナウンスに、開演前から心をつかまれる。
会場が暗転すると、モニターにオープニング映像が流れ始めた。懐中時計のアップから始まり、帆船が映る。青い空にはカモメが飛び、波の音が響き渡る。「WILD BLUE」のロゴが映し出されると、メンバーが名前とともに一人ずつクローズアップされ、期待感は最高潮へ。
冒険家としての出航を待ちわびるように、メンバーたちがジャケットを羽織る。地図を広げて航海について話し合う姿は、これから始まる特別な"旅"への期待を煽る。そして山下幸輝が旗を持ち、5人がサングラスをかけて航海へ旅立つクライマックスで、ステージには映像と同じ姿のメンバーが登場。この日会えた喜びと1周年の祝福を届けるかのような大歓声に包まれた。
1曲目は彼らのセルフタイトル『WILD BLUE』で始まったライブは、山下がオープニング映像と同じ旗を肩にかけてセンターに立つ。5人全員が一人ずつサングラスを外して顔を見せるたびに歓声が上がる。山下から始まり、鈴陽向、池田優斗、鈴川直弥、宮武颯、と歌い繋いでいく。白とブルーの照明が創り出す大海原と空の世界観に、観客全員が同じ船に乗っているかのような一体感が生まれた。
山下の「STARRY会いたかった〜〜!声上げて楽しむぜ」の呼びかけに、宮武が「叫ぶ準備できてますか〜?」と続く。メンバー一人ひとりの名前をコールアンドレスポンスで呼び合う時間は、1周年の喜びを分かち合う特別な瞬間となった。「この瞬間が奇跡ならば 僕らを繋ぐこの青い空一緒に見ないか?」という歌詞が響く中、ダンスブレイクではセンターが入れ替わりながら魅せていく。
続く『POP』は、ポップで弾けるような楽曲。ステージのモニター映像には道路沿いに続く街の景色がイラストで描かれ、車に乗っているように景色が進んでいく演出が秀逸。ところどころイラストのビル上の電光掲示板にメンバーの姿が映る仕掛けも面白く、センターがくるくると入れ替わるダンスは、誰がセンターに来てもしっくりとはまる5人の絶妙なバランスを物語っていた。
MCでは「幕張最高!」「気持ちいい、声出てるね」と会場を見回した後、「僕たちは、ワイルドブルーです」と改めて自己紹介をすると、「記者会見から始まったんですよ。こんなに大きくなったね」と、デビュー時の初舞台でもあった記者会見を振り返る宮武。鈴は「17番まであるじゃないですか!」とステージのバミリ番号に驚きを見せ、大きな会場で単独公演ができることの喜びを素直に表現していた。鈴川がこれまでにリリースした楽曲を振り返り、「僕たちの物語はここから始まりました」という言葉と共に暗転。スポットライトに照らされた5人が縦一列に並ぶと、会場の空気感が一変した。『Love is Blind』『Astrist』では、赤い照明に包まれたステージでクールでダークな世界観を披露。山下、宮武、池田、鈴、鈴川とソロパートが引き継がれていく展開は息を呑む美しさだ。ダンスブレイクで鈴がセンターを務める場面では、ブルーのレーザーが会場を彩る。儚さの中に力強さもある世界観に、会場は息を呑むように見つめていた。

STARRYへの思いを込めた演出が続々と

ステージから5人が去ると、スクリーンにはツナギに着替えたメンバーたちが映し出される。巨大な紙にローラーを使って絵を描いている。「自分たちで描いた美術をライブ会場のSTARRYに届けたい」「STARRYに伝わりやすく……」と口々に言葉にする。
そして、「これをはっつけてトロッコいくぜ!」「撮影OK みんな撮って!最高の思い出を僕たちと作りませんか」という山下の呼びかけで、トロッコに乗った5人が会場へ。『Our Magic』を歌いながら、それぞれが描いたイラストを貼ったトロッコで客席を回る。個性が光るカジュアルな衣装へとスタイルを変えたメンバーたち。STARRYとの距離を縮めながら一体感を作り出していく。
続く『BOX of DESTINY』では、トロッコからボールを投げ、ステージに戻るとインカメで会場全体を撮影する場面も。「トロッコやべー!」「トロッコばか楽しいよ!」と初トロッコの喜びを素直に表現する池田に、宮武は「ボールも投げた。僕大遠投で」と応じる。トークのテンポが心地良い。
ここからは、お楽しみコーナーへ。まずは、「メモリー・ダンス・リレー」。音楽に合わせてオリジナルダンスを踊り、前の人の振り付けを完コピして1ムーブ追加していくゲーム。1番手の宮武、2番手の鈴川とシンプルな振り付けを追加していく中、3番目の山下はニコニコ満面の笑みで参加。鈴もそつなくクリアし、池田も可愛らしくクリア。2週目で早々に宮武が失敗すると、カメラに向かって“愛嬌3連発”の罰ゲーム。照れながらも「恥ずかしがってた方が恥ずかしいって知ってる?」と開き直る。続いて山下も失敗し「マジで焦る、これ」と関西弁で焦りながら愛嬌3連発。得意分野と言わんばかりにサラッと披露したように見え、「これ罰ゲームちゃうやん」「みんなも喜んでるやん」と不満げなメンバーたちに会場は爆笑に包まれた。
続いて、「借り物競走」が開催された。モニターにお題が出現し、メンバーが客席に降りて、会場のSTARRYに借りに行くという企画。1番手の鈴は「パーフェクトUVスキンケアジェルNA」と、具体的な日焼け止めを探すことに。「全く同じ商品」という条件ながら、発見して成功。山下のお題は「長さに自信があるレシート」を探し、STARRYがあちこちでレシートをひらひらさせる中、「これ長いよ結構」「めっちゃ買ったな」と約40センチもあるレシートをゲット。
宮川のお題「ハヤテの私物とお揃いのもの」では、「意外と多い」と驚きながら、最終的に小さなボディミストを借りてきた。「俺、中学生から使ってるんですよ。いまだにずっと持ってて。おかんから受け継いでるのよ」と宮川。池田が「僕の誕生日にくれたんだよね」とお揃いエピソードも披露し、会場を和ませた。続く、池田の「調味料」というお題では、「これおる?意外とおるって噂を聞いて」と半信半疑だったが、会場をぐるっと回りながら探すと、なんと瓶のタバスコを発見。全て英語で書かれた海外製のタバスコで、会場も盛り上がった。最後の鈴川が探すのは、数量限定で販売した「WILD BLUE Memorial 8cm Single CD」。「俺とハヤテは絶対ないと言ってた」と言いつつも会場を巡った結果、発見に成功。「何人かいたよね」「俺STARRY尊敬したわ。これはだいぶレアですよ」とメンバー一同、STARRYの愛に感激していた。
驚いたのは、お題の品物を持っているSTARRYの周りの観客たちが「ここにあるよ!」と指をさしてメンバーにアピールしていたことだ。「今一緒に過ごせる時間をいいものにしたい」と、STARRYたちも一体となって作り上げる意思とあたたかさを感じた。
1年間の軌跡を振り返り、想いを歌声に込める
企画で盛り上がった後は、STARRYへの想いを込めたミディアムバラード『君がいたから』。スタンドマイクで一列に並んだ5人が、夕陽の映像を背景に透明感のある歌声を響かせる。楽曲の途中、『POP』から『WILD BLUE』までのメイキング映像が流れる演出では、山下が感極まって泣きそうになるのを堪える表情を見せる場面も。観客席からも感動の涙が溢れていた。
続く『Thankful Days』では、「皆さんペンライト綺麗ですよ」という言葉と共に、花束や花びら、お花畑の映像に彩られしっとりと歌い上げる。最後は宮武のフェイクで締めくくると「ありがとうございます」「ありがとうって曲や」と口々に感謝を表現していた。
そして、1人ずつ感謝のメッセージを伝えていく。リーダーでもある山下は「X(旧Twitter)でカウントダウンをしてくれていたのはすごく嬉しい。曲でありがとうを届けたいと思っていました」とSNSでの応援への感謝を伝えた。鈴は「まだ1年しか経ってないのに、僕たちを見に遠くから足を運んでくれて嬉しい。成人式くらいまでは頑張りたいと思います!」と等身大の言葉で会場を和ませる。
池田は「大事な時間を僕たちのために使っていただきありがとうございます!1年前はこのような場所でパフォーマンスをする姿は想像できませんでした。いろいろな幸せのエネルギーを届けていきたい」と感謝を伝えた。鈴川は「STARRYのおかげで僕たちはここに立てています。絶対に幸せにすると決めて僕もここにきました。STARRY、風邪引くなよ〜!」と締めくくり、会場を笑わせた。
宮武は「STARRYたちは今日を待ち遠しく過ごしていてくれてたんじゃないかなって。実は昨日まで髪を染めてなくて隠していたんですけど、STARRYへの愛情です。同じ量でお互いに愛せているのが嬉しい」と、この日のために金髪にしたことを明かしながら想いを語った。
そして、再び山下が「企画、セトリ、グッズも全部自分たちで考えたんです。幕張でやると聞いた時は震えが止まらなくて。俺たちでできるのかなっていうのがあったんですけど、STARRYが楽しんでくれたら、ただそれだけの気持ちです。WILD BLUEとSTARRYは同じ思いを持った、対等な関係。一緒に色々な表現を作っていけたらと思います」と、熱い思いを伝えた。
最後に披露した新曲『君の笑顔とあの空』。「明るい曲です。明るい感じになれますか?」「なれます!」というやり取りの後、「思いを込めて作った曲です」との言葉で始まった。青空の背景に虹がかかり、歌詞に合わせて虹を描くような振り付けも美しく、全く疲れが見えない5人の爽やかで明るいパフォーマンス。青い銀テープが打ち上がり、本編を締めくくった。

暗転の中、アンコールの声が会場に広がり始まる。次第に、「おかわり」のコールと手拍子が一つになった時、ライブに向けた“企画会議”の映像が流れ始めた。衣装やトロッコなどの演出、途中に映像を作りたいことなどを話すメンバーたち。「アンコールしてくれるかなあ」とアンコールの演出について話しながら「客席」とメンバーが客席から登場することを匂わせると、会場からは歓声が。
そして、客席へメンバーが登場し、ボールを投げながら手を振って練り歩く。ぴょんぴょん飛び回り、Tシャツにデニム姿でうちわやカンペカードにファンサをして答えていく、まさにアイドルらしい可愛らしい姿も見せる。
『Bubbles』では、カラフルでポップな映像と共に、「抱きしめて」の歌詞で宮武を鈴が抱きあげる一場面も。わちゃわちゃしながらステージに上がった5人は、ポップでナチュラルな雰囲気の楽曲ながらキレのあるダンスを披露した。続く『Oh Girl』では、この時間が終わってほしくないとばかりの一体感が広がる。ステージにセットされたソファーの周りにメンバーが集まり、池田が鈴川の肩に頭を乗せる場面では歓声が。オレンジのキャップを被った山下、寝そべる宮武など、チームワークの良さを終始感じさせた。メンバーは口々に「アンコールありがとう!」と感謝を伝えながら、「『アンコール』じゃない言葉言ってなかった?」とSTARRYへ投げかけると、「おかわりー!」との声が返ってくる。すると、「これ俺かもしれん」と山下。「ブログで、おかわりって思ってほしいって書いたんだよね」と言うと「これからはそれにする?」と話が広がり、「おっかわり!おっかわり!」とSTARRYと一緒にコール。新たなアンコールの掛け声になるのかもしれない。
「グッズも含めてみんなで写真撮りますか?」と写真を撮ろうとすると、22歳になった鈴川へのバースデーサプライズ。ステージにケーキが登場すると「俺、マジでないと思ってたわ!1日過ぎてるし!」と驚く鈴川。STARRYからも「おめでとう!」と祝われると、「やばい!お前ら大好きや!……ごめん。普段言わないのに感情が昂ってお前らとか言っちゃった」と可愛い一幕もあった。
サプライズ発表が続々と
さらに、ここから怒涛の発表が続いた。まずは、5thデジタルシングル『Astrist』のリリースとPV公開を発表。宮武は「今まで見たことないWILD BLUEになってるよ。ちょっとセクシー過ぎたかも」と新たな一面をアピール。
続いて6thデジタルシングル『君の笑顔とあの空』のリリースと、WILD BLUE初の冠番組『WILD BLUEのわぶっていきましょう!』(ABCテレビ)の主題歌への決定。
そして、1stアルバム『CURVE』が2026年に発売されることが決まったと知らせた。アルバムの名付け親だという宮武が「カーブの意味は、僕らの道が色々な道を辿っていく意味を込めて。近道じゃなくても遠回りしていこうっていうタイトルです」と説明した。
5人にとってもサプライズだった最後の発表は、2026年のホールツアー『CURVE』開催決定。この日一番の歓声が湧き上がり、「ホールツアー!?」と驚きながら、大喜びする姿を見せた。また、12月28日に、WILD BLUEスペシャルイベント『ほりでい』を開催することも発表した。
ラストを飾ったのは、『First Light』。池田のやわらかで語りかけるような歌い出しから、鈴川のおしゃれで透き通った声、宮武のドキッとする表情、山下の表現力、鈴の目線や表情まで抜かりのない表現まで、一人ひとりの魅力が最後まで光っていた。歌うのも踊るのも、この空間にいることが楽しくて幸せで仕方がないと伝わってくるような5人の姿に、STARRYは酔いしれた。ステージいっぱいに広がって歌い上げる5人の姿は、まさに1周年にふさわしいフィナーレとなった。
企画・演出を手がけ、STARRYへの感謝を込めて作り上げた『SKY VOYAGE』。デビューから1年とは思えない、遊び心に満ちた、まさに新たな船出にふさわしい内容となった。始まったばかりの5人の旅は、これからますます大きく広がっていくのだろう。WILD BLUEの船はさらに大きな海原へと漕ぎ出していく。どんな嵐が来ても、この日の温かい記憶とSTARRYとともに、5人は進み続ける。
WILD BLUE公式サイト
https://wildblue-official.com/
取材・文/かたおか由衣 撮影/小林弘輔
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