「ジョガスポフィールドをつくりたいし、ジョガスポに関わった子どもたちが、社会やスポーツ界で活躍してもらえたらうれしい」、元ビーチサッカー日本代表・原口翔太郎が描く未来予想図
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原口翔太郎 撮影:大崎聡
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すべて見るすべての子どもたちに平等にスポーツを楽しんでもらうことをコンセプトに、全国各地で参加費無料のスポーツイベントやサッカー教室を開催するとともに常設のサッカースクールも無料で運営するジョガスポーツカレッジことジョガスポ。この社会貢献活動に積極的に取り組んでいるのが、元サッカー日本代表の太田宏介であり、共同代表を務める元ビーチサッカー代表の原口翔太郎である。コラボイベントも好評なジョガスポのあるべき姿、そして未来予想図を聞いて来た。
──立川アスレティックFCとコラボした9月14日・ドーム立川立飛での『ジョガスポ×立川アスレ フットボールフェスティバル』も好評だったと聞きましたが、いかがでしたか?
「初めてのフットサルチームとの合同イベントだったのですが、子どもたちも100名弱来てくれて大変盛況でした。ただのサッカー教室ではなく、お互いの持ち味を出させました。以前好評だったシューズケアクリニックやミサンガづくりも企画しました。ARCOCOさんのシューズクリーナーを使用して自分のシューズを磨いたり、ブックオフさんのいらなくなった洋服を裁断して、カラフルな糸にして、子どもたちに自分好みのミサンガをつくってもらいました。物を大事にしようというメッセージはジョガスポの活動理念にもマッチしています。さまざまなところまで目を向けて社会貢献活動をしていこうという姿勢を立川アスレさんとのイベントを通してできたと思います」
──そのようなアイデアはどこから出て来るのですか?
「基本的に宏介くんと真剣に話し合います。時には夜中になることも。それに関わってくれている周りの方々もアイデアをくれますし、パートナー企業様の方を紹介してくれたりします。今回のARCOCOさんやブックオフさんのように協賛いただいた企業のみなさんやいろんな関わってくれる方々などにいろんな目線でアイデアをいただいて、ジョガスポらしいイベントになりつつあると最近感じています」
──スポンサーもただお金を出す、この商品を紹介してというのではなく、自分ごととしてアイデアを出したり、積極的に関わってらっしゃるのはとてもいい流れですよね。
「まさにそうです。一体型、みんなを巻き込んでイベントを開催できています。参加する子どもだけではなく、周りで見ている保護者や兄弟、パートナー企業様、ボランティアなどいろんな方々を巻き込んで盛り上がってきていると肌で感じています」
──いわきFC10周年記念マッチでのサッカー教室など、コラボイベントも増えていますよね。
「はい。いわきさんとのコラボも大盛況で、またぜひというありがたいお言葉もいただいきました。10月25日(土)・26日(日)には神津島でのビーチサッカーイベントに参加します」
──改めてジョガスポを立ち上げた経緯を教えてください。
「去年宏介くんが現役引退し、いろんな事業をやろうと構想を練っていた時、僕も当時現役を引退してセカンドキャリアでIT企業に勤めていましたが、宏介くんに『一緒にやろう』と声が掛けてもらいました。宏介くんは少年時代習い事に通えなかったことがあり、僕も現役時代からサッカーボールを障がいを持った子どもたちにプレゼントする支援活動をしていることもあり、お互いに子どもたちに何かしたいという思いがありました。それなら月謝無料のサッカースクールを立ち上げようと。そのうち宏介くんにイベントの依頼が入って、徐々に形になっていきました」
──無料の常設のサッカースクールを立ち上げるのはもちろん、持続するのは大変に思えるのですが、なぜできるのですか?
「運営自体はパートナー企業様たちの支援で成り立っていますが、僕と宏介くんがサッカー選手、ビーチサッカー選手として積み上げてきた人間関係のつながりが引退後に生かされています。サッカースクールの厚木校は僕の母校の大学で練習していますので、グラウンド代はかかわらず、松蔭大学のサッカー部の監督にも賛同いただきボランティアとしてコーチをしてくれていますし、ビーチサッカークラス、フットサルクラスとこれまで関わってきたアスリートにはジョガスポ活動に賛同してくれてコーチとして協力してもらってます。みなさんの力、手助けでここまできているので、運もありながらできています。あと僕と宏介くんで営業は積極的に行っています」
──月謝無料だけではなく、今後の構想で、みんな一緒のトレーニングウェアの提供をしようとしたり、スクールまでの送迎も手助けしようとしたり、なぜそこまで気付くのですか?
「僕と宏介くんの子どもの頃の背景もあり、いろんな人の意見を聞いたり、今はとにかく人に会いまくって、いろんな方の話をお聞きすることによって、自分たちの活動に生きるアイデアが生まれたりしています。ウェアに関しては少し遅れていてまだ実現していないのですが、みんな一緒のウェアを提供することで経済的に厳しい家庭の子も嫌な思いをしなかったり、送迎も難しい場面もあるのですが、実現することによって共働きの親を持つお子さんも通えたりします。職業体験や地域のごみ拾いをしたり、ただスポーツスクールを運営するだけではなく、子どもたちに必要なことを宏介くんと考えて、しっかり生み出せているのかなと思います」
──いまジョガスポの常設校は何校ですか?
「湘南校と厚木校の2校です。厚木校がサッカーで、湘南校がビーチサッカーと女子フットサルとキッズプレークラス(運動能力向上クラス)。川崎校は今後スクール開校を視野に、現在は障がいを持つ子どもたちの支援に力を入れています」
──障がいを持っているお子さんへの対応はブレーキを掛け過ぎてもいけないし、もちろんノーブレーキは論外だし、程よいサポートの加減はどのようにして身に着けたのでしょうか?
「僕も3年間この活動をしているので、いろんな子どもと触れ合って学びました。でも僕がやっていることはスポーツを通しての活動なので、サッカーボールを寄付して、サッカー教室をして、日本代表のユニフォームを着てもらってメダルを掛けたりして、子どもだけでなく保護者にも喜んでもらえるように意識してます。どこまでサポートが必要かはしっかり見て自分で判断してひとり一人が苦にならないように、楽しくなるように考えてやっています」
──迷惑を掛けたらとどうしようと思ってブレーキをかけてしまう保護者にとってもうれしい機会ですよね。
「迷惑なんて考えずに全然気にしないでくださいという感じです。常設校でもひとりグレーゾーンのお子さんが一人いたのですが、その子は障がいを隠さずに周りに言うことによって、何が起きたかと言うと、周りの子どもたちがしっかり気を遣えるようになりました。その子がうまくいかない時に周りの子が教えてあげたり、どう言えばわかるか考えたり工夫したりして、非常に我慢強くなった姿を見て、うれしかったですね」
──場を提供した側としては子どもたちが想像を超える成長を見せてくれるのはこれ以上ない喜びですよね。
「僕はビーチサッカーで苦しい経験もしてきました。だけど、いろんな方の支えや助けがあって14年間続けられて、結果を残せました。子どもたち、地元、ビーチサッカー、サッカー界に貢献したいという思いが強いですね」
──現役時代、アスリート社員と選手の両立した原口さんにとって忙しい日々への耐性はあるんですね。
「はい。僕はビーチサッカーの選手をしながら、IT企業に勤めた3年間があって本当に良かったと思います。もし勤めていなかったら、引退後何もできないですから。デュアルキャリアは僕にとって財産です」
──ただ早朝からトレーニングして、22時まで働く毎日は相当強い意志がなければ持続できないと思いますが。
「僕は大学の教授の口利きで大きな会社に入ったのに、半年ちょっとで辞めて、教授の顔に泥を塗ったし、親の期待にも背いた。僕は帰る場所がなく、ビーチサッカーをやめられないので、『絶対に結果を出して、大学や親に恩返しするぞ』という一心で続けていました。途中からは夢というより意地になっていました。『俺がもっともっとビーチサッカーを広げる』『ビーチサッカーを目指す子どもたちがひとりでも増えれば』という気持ちになって、どんどん肉付けされていきました」
──最後に『FIFAビーチサッカーワールドカップ2021』準優勝で終わるのはまるでマンガのようなストーリーです。
「それで現役を終わりましたからね。メダルを取ってから、自分からメダリストと言っているのですが、自分で言うことによってメダリストとしての使命感や自覚を持ち、ビーチサッカーに対してできることが少しずつ動いています。自分たちのビーチサッカー場をつくりたいし、宏介くんとジョガスポフィールドをつくりたいし、みんなが集まれる場所をつくりたい。今はみんなが集まれる機会・環境をつくっていますが、みんなが集まれる場所までつくれれば最高ですね」
──それが原口さんが描くジョガスポの未来予想図ですね。
「ジョガスポの常設校が全国で立ち上がっていくことが一個の目標です。そこで引退したサッカー選手やスポーツ選手が地元でジョガスポ常設校を運営してもらい、手助けしたい。ハード面ではジョガスポフィールドをつくりたいですし、ソフト面ではひとりでも多くの子どもたちに笑顔を届けたい。今はすごい経済格差、体験格差が増えてきている中、習い事に通えない子がいたり、障がいを持っている子どもたちにもスポーツを楽しめる機会をつくったり、意味のある社会貢献、スポーツ貢献を全力でやっていきたいですね。全力で走っているうちにいろんな仲間が増えて、まさに『ONE PIECE』ですよね。いつか日本サッカー協会にも認められて、日本サッカー協会の活動のひとつにもなれればと思っています」
──夢が広がりますね。
「ジョガスポが活動を続けていく中で10年後、20年後、プロスポーツ選手になったり、社会で活躍する人が増えると思います。僕たちがジョガスポを続けることで、たくさんの子どもたちがさまざまな場所で活躍する。そういう未来を描きたいと思います」
取材・構成:碧山緒里摩(ぴあ)
撮影:大崎聡
取材日:9月24日
ジョガスポーツカレッジ公式Instagram
https://www.instagram.com/jogaspo/
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