『オルセー美術館所蔵 印象派』国立西洋美術館で ドガ、ルノワール、モネら印象派の画家たちの「室内」をめぐる表現上の挑戦をたどる
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エドガー・ドガ《家族の肖像(ベレッリ家)》 1858-1869年 油彩/カンヴァス 201×249.5cm オルセー美術館、パリ 🄫 photo:C2RMF / Thomas Clot
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すべて見る「印象派の殿堂」とも呼ばれるパリのオルセー美術館の傑作約70点 を中心に、印象派絵画のなかでも特に「室内」を舞台とした作品や室内装飾に関わる作品を紹介する企画展が、10月25日(土)から2026年2月15日(日)まで、東京・上野の国立西洋美術館で開催される。オルセー美術館の印象派コレクションがこの規模で来日するのは、およそ10年ぶりだという。
印象派といえば、移ろう光や大気とともにとらえた戸外の風景がまず思い浮かぶ。だが、近代化が急速に進んだ19世紀後半のパリで活躍を始めた彼らは、活気に満ちた大都市やその近郊における現代生活の情景を好んで画題とし、室内画も多く手がけていた。

同展の見どころのひとつは、「室内」をテーマとすることで、「戸外の光」だけではない印象派のもう一つの魅力が紹介されること。マネ、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌらの優品が勢ぞろいするほか、初公開作も来日する。なかでも、若きドガによる才気みなぎる代表作《家族の肖像(ベレッリ家)》は、鋭い人間観察に基づいて、心理劇のような情景が描き出された傑作で、こちらも日本初公開となる。
今回はまた、ジヴェルニーの印象派美術館や国立西洋美術館をはじめ、国内外に所蔵される重要作も加え、約100点の名品が並ぶ。例えば、室内を舞台とした肖像画は、モデルの人となりや社会的ステータス、あるいは交友関係や家族のドラマなど、さまざまな物語を語ってくれる。

日常の情景では、私的な室内が女性の領域と見られていたこともあり、音楽や読書を楽しむ女性や水浴する女性など、さまざまな女性像がとらえられている。また自然や光に関心をもつ画家たちは、室内空間の延長にあるバルコニーや温室など、室内と戸外のあわいを絵の舞台に選ぶこともあった。そして室内に自然を取り込もうとした画家たちはまた、「壁面装飾」というかたちで新しい芸術形式をも生み出すようになった。
同展は、室内をめぐるこうした多彩な側面から、印象派の画家たちの表現上の挑戦をたどっていく。画家たちの「室内」と「装飾」への関心というテーマは、近年注目を集めている新しい視点によるものだという。名品の数々を新たな視点で改めて見つめることで、印象派への理解がより深まる刺激的な展覧会となっている。
<開催概要>
『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語』
会期:2025年10月25日(土)~2026年2月15日(日)
会場:国立西洋美術館
時間:9:30~17:30、金土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(11月3日、11月24日、1月12日、2月9日は開館)、11月4日(火)、11月25日(火)、12月28日(日)~2026年1月1日(木)、1月13日(火)
料金:一般2,300円、大学1,400円、高校1,000円
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559461
※12月12日(金)~12月26日(金)は高校無料
公式サイト:https://www.orsay2025.jp
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