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COPES×アルコサイト『Grasshopper vol.34』初対バンながら抜群の相性を見せつけた一夜

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『 Grasshopper vol.34』8月25日 東京・下北沢DaisyBar  Photo:りょうぺい

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Text:横堀つばさ Photo:りょうぺい

2025年8月25日、東京・下北沢DaisyBarにて『Grasshopper vol.34』が開催された。『Grasshopper』は、チケットぴあ注目の次世代音楽シーンを担う若手アーティストを応援するライブハウス企画として2022年にスタート。「若手バンドがたくさんの人に知ってもらって勢いよく飛び立てるようなイベントにしたい」という思いから「Grasshopper=バッタ」と名付けられた本イベントは、注目のニューカマーを数多く招き、ネクストステージへ踏み出す好機を生み出してきた。

35度目の開催へ王手をかけた今回は、COPESとアルコサイトの2組が出演。初対バンながら、抜群の相性を見せつけた一夜の様子をレポートする。

COPES

「頭から楽しむ準備できてるか!」の一声と共に、どかんと一撃をぶっ放したCOPESは、「E•I•E•I•O」を始まりの一曲にセレクト。さながら和歌における本歌取りのように、民謡「ゆかいなまきば」のメロディーを引用しながら、スカのビートをマッシュアップしたこの曲は、どこまでも人懐っこく「さぁさぁ下北、踊ってこ」とカメイナナコ(g / vo)が誘った通りのダンスフロアを形成していく。

「COPESから下北のみんなに愛の歌!」とライブ終盤に届けられた「ウォーアイニー」然り、巧拙を問われることなく口ずさんでいた童謡をポップに、そしてパンクに変化させていく手法は3人のベンチマークと言えよう。こうしたスタイルに込められているのは、誰もが口ずさめる歌にしたいという思いであり、直感的に踊れるナンバーを作り上げたいという願いのはず。決して現実から目を背けるためではなく、この人生を思い切りフルスイングで笑い飛ばすための遊び場。それをクリエイトせんと、はしゃぎ倒しているのがCOPESというバンドなのである。

COPES

そう考えると、カメイの爽快なギターから雪崩れ込んだ「crazy」の<上向かなきゃ始まらない 無我夢中で打ち上げろ1発を>という1ラインも、彼らの人生哲学を照射したリリックとして切実に鼓膜を揺らす。しいなゆうき(b / vo)のロングトーンに掲げられるピースサインは、どうにかこうにか日々をストラグルした先で出会えた喜びを象徴していた。

COPES

「アルコサイトとは初めまして。良いグルーブを生み出せれば」と投下した「summer」と、ちょた(ds)の四つ打ちが弾ける「free」で生み出したのは、擬音や鼻歌をダイレクトに落とし込んだようなリリックから成る発語の気持ち良さ。こうした口馴染みの良い作詞からも、一貫してあなたに歌ってほしいというピュアな欲求が垣間見えるわけだが、根源的な快楽に訴えかけてくるミュージックを提示したからこそ、「わちゃわちゃだけじゃないんで」と届けられた「proof」が強い光を放つ。<ねえ聞かせて、ねえ聞かせて あのつまらない話を>とここまでと打って変わった繊細な情景描写とツインボーカルの掛け合いを通じて、ささいな会話の愛しさにフォーカスが当たっていく。決して能天気なだけではないと深くフロアに刻み込んだところで、「ライブハウスでまだまだ遊べますように!」とシャウトした「path」からラストスパートへ。「月曜の夜からハチャメチャやろうぜ」と「song」から「forth」をプラスし、幕を下ろした。

COPES

「やろうぜ!俺たち、アルコサイト。ここが俺らの秘密基地!」とアルコサイトは「秘密基地」でキックオフ。小西隆明(g)のリフが天へと唸り、信頼と友好を前提に自由を謳歌するライブハウスの原理を<好きにやる 好きにやれ ここは秘密基地>とズバリ射抜く。自分たちの感情を吐き出し、オーディエンスがそれに応答することで生じるスペクタクルをパッケージングできた理由は、本イベントに「生きててよかったって思わせるような歌を歌います」とコメントを寄せた通り、あるいは「知らなくても良いぜ。一緒に歌おう」と咆えた通り、迸る情動をこの場にぶっ立てることこそが4人に課された命題だと自覚したから。

アルコサイト

グッドサインをジョッキに見立てて「乾杯!」と告げた「迎え酒」も「今日までお疲れさん!」としか言っていないし、森田一秀(ds)と濵口亮(b)の連打が鳴り止まぬ「TEENAGE KICKS」だって「トキメキに導かれるままに進め」と告げている。それは「月曜日から来てくれてありがとう。どこまでもいこう!」と披露した「オリオン」も同様で、<届かないものをただひたすら追いかけて 透明な未来を嫌った><この夜を忘れないように 生きろ、生きろ、生きろ>とずっとここが出発点であり、スタートラインが束になることで太い道ができていくのだと伝えているのだ。「昨日じゃない、明日じゃない、今を生きろ」と叫ばれたメッセージは、アルコサイトの生き様と一言一句違わず合致していた。

レトロな柔らかさを宿した北林英雄(vo / g)の歌声が響いた「墓場まで持っていくわ」を終え、北林はこんな言葉を口にする。

アルコサイト

「仕事の関係とか、お金とか超えたいし、人の心を動かすのは人の心やと思うから。難しい関係じゃなくて、俺は今までで一番良い歌を歌いにきたし、一番良いライブをしにきたんで。お金じゃ買えないような人生の主題歌を歌いにきた」

いつだって赤裸々な心でベストを更新し続けていくことを先制すると、「ロックが足りない」へ。「ここは足りないヤツの集まり。俺たち足りないばっかり!」「俺はお前の心の声が聴きたい」とがっぷり合い四つを組んでいく。奥の奥まで潜り込んで、大人ぶって隠した声を代弁すること。それが彼らの歌う意味であり、アルコサイトが掲げるロックの正体なのだろう。

アルコサイト

間髪入れずに「お前の心に俺はぶっ刺しにきた。楽しいだけならライブハウスじゃなくたって良い。でも、俺はお前の心に歌いたいから。ロックンロールを歌いにきた!」とねじ込んだ「最後の恋」で、ここまで今この瞬間を歌い通してきたアルコサイトは<ごめんね、新しい季節をわたしは歩いていく 正真正銘最後の恋を探しに行くのよ>と過去を歌って未来へ進み出す。それは決して懐古ではなく、簡単には剥げれない思い出を音と共に美しく散らすため。ラストは「今日ここで出会えたのは偶然なんかじゃない。きっと運命だから」と「告白」から「Forever Young」を連打し、ゴールテープを切った。

アルコサイト

COPESとアルコサイトがこの瞬間をマキシマムに幸福にする術をくれた『Grasshopper vol.34』。次回は10月16日(木)に大阪・CONPASSにて、Barbara、CheChe、QOOPIEの共演が決定している。ジャンルを横断するブッキングで、ライブハウスの面白さと化学反応を追求する本イベント。まだまだ多くのバッタたちがこの草原から羽ばたいていくのだ。

<公演情報>
『Grasshopper vol.34 supported by チケットぴあ』

2025年8月25日 東京・下北沢DaisyBar
出演:COPES / アルコサイト

<次回公演情報>
『Grasshopper WEST vol.6 supported by チケットぴあ』

10月16日(木) 大阪・CONPASS
開場 18:30 / 開演 19:00
出演:Barbara / CheChe / QOOPIE

【チケット情報】
一般 3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割 2000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2233401

公式サイト: https://fan.pia.jp/grasshopper/

★『Grasshopper』特集ページは こちら

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