佐野勇斗が逃げない理由「目標は叶えることより、納得できることが大事」
映画
インタビュー

(撮影/梁瀬玉実)
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すべて見る佐野勇斗にとって、GP帯の連ドラで主演を務めることは大きな目標の一つだった。有言実行を貫く彼は、折にふれて自らを奮い立たせるように、その目標を公言してきた。そして今、夢を現実にした。
10月8日(水)放送開始の水曜ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』で民放キー局GP帯ドラマに初主演(桜田ひよりとのW主演)。桜田扮する社長令嬢の八神結以(愛称ハチ)を誘拐する逮捕歴のある青年・林田大介(愛称リンダ)を演じる。
夢を口にすることがためらわれる世の中で、佐野勇斗は自分のやりたいことを言葉にし続ける。それは、自らに課した“逃げない”という所信表明だ。
キャラづくりを捨てたらリンダに近づけた

「10年俳優をやってきて、ずっとGP帯で主演がやりたいと思っていたので、決まったときはうれしかったです。主演だからといって、やることは変わらないんですけど、でもやっぱり主演としての責任を感じるし、数字も意識する。そのプレッシャーは今までとはまた違いますね。現場にいるときも、自分のことだけじゃなく、自然と周りに目が向きますし」
気負うことなく、いつもの明るい口調で佐野勇斗は話しはじめた。この役のために染めた金髪のせいだろうか。その顔つきはより精悍に、より色っぽくなったようにも見える。
「僕の演じる林田大介は、簡単な言葉で言うなら、地元のヤンキー。そしてひとり親家庭に育ち、特殊詐欺に関与したことがあるという、ちょっとワケありな過去の持ち主です。口調も荒っぽいですし、今まであまりやってこなかったキャラクター。その分、また新しい顔を見せられるんじゃないかというワクワクがあります」

『トリリオンゲーム』のパソコンオタク・学や、『ひとりでしにたい』の毒舌リアリスト・那須田とは、まるで別人だ。
「でも、演じていてもまったく違和感がないんですよね。むしろ他の役よりもアドリブとかペラペラ出てくる(笑)。桜田さん演じる結以と、喧嘩みたいな掛け合いをすることが多くて。そこなんかは隙を狙ってアドリブを入れてるんですけど、やりやすいというか、スッと言葉が出てくる。確かに僕も普段男友達といるときとかは少し口調も荒いですし(笑)」
と、ジョークで場を和ませるのも、彼らしいサービス精神の表れ。撮影や取材に追われる毎日ながら、疲れた顔一つ見せない。タフで、気遣いの人だ。
「最初はもっとつくり込んでいたんですよ。リンダだったらこんな感じかなって、しゃべり方を何パターンか用意してみて。でもいざ現場でやってみたら、どれもあんまりハマらなかったんですよね。で、休憩のときにひよりちゃんと喋っていたら、その感じがいちばんリンダに近いんじゃないかと言われて、なるほど、このままでいいんだと。演じる側としては考えてきたものを全部捨てるのは勇気のいる決断ですけど、今回はあえてキャラづくりはしないようにしました」
反骨心が、逃げずにぶつかる原動力になっている

人質と、誘拐犯。正反対の立場だったはずが、二人は共に逃避行の旅へ。ハチは何から逃げているのか。タイトル通り、「逃げる」が本作のキーワードだ。しかし、佐野勇斗の辞書に「逃げる」という文字はない。
「逃げたい、と思ったことは今までないかも。この仕事を辞めたいと思ったこともなくて。休みがほしいなと思うことはありますよ? でもそれと逃げたいは別だし。どんなに大変なことがあっても、逃げたいとはならないですね」
その強さは、彼の反骨心から来ている。
「天邪鬼なんですよ。難しいことほど立ち向かいたくなるし、人から『どうせできないでしょ』と言われると、『よし。やってやるから見てろよ』となる。反骨心が踏ん張る力というか、逃げずにぶつかる原動力になっているところはありますね。それは、俳優活動もだし、グループ活動も同じです」
今年バズった曲の筆頭として『イイじゃん』が挙げられるなど、M!LKとしての活動も大躍進。佐野の“二刀流”生活は加速度を増すばかりだ。
「撮影が終わって家に着いたら、そこからグループの会議があって。それが終わったらお風呂に入って、次の日の準備。台本を覚えるのもそうだし、バラエティの収録があれば、その準備も必要。なんだかんだやることをやってたら、結局寝るのはすごく遅いということも普通にあります」

普通の人なら、音をあげるようなハードスケジュール。だが、不思議と佐野自身の顔に悲壮感はない。「全部自分がやりたくてやってることだから、特に苦ではないです」と飄然としている。なぜこんなにも佐野勇斗は強くいられるのか。佐野の答えは、ブレない。
「目標があるからです。今やってることは全部その目標を叶えるためだから。目標がある限り頑張れる」
朝ドラへの出演。GP帯ドラマの主演。M!LKとしてドームツアーを実現すること。佐野はいつも問われれば、間髪入れずにそう答え続けてきた。そして、すでにもういくつかの目標は実現した。佐野勇斗のこの10年は、パズルのピースを1枚ずつ埋めていくように、胸に描いた未来予想図を形にしてきた10年だった。完成まで、ピースはあとどれくらいだろう。わからない。でも、わからないからこそ絶対に立ち止まらない。
目標を叶えたときに、ちゃんと納得できる自分でいたい

「あとは納得感ですね」
静かに反芻するように、佐野は続けた。
「いつか目標を叶えたときに、これだけやったから達成できたんだって心の底から納得したい。なんだったらしんどい思いをすればした分だけ、ちゃんと納得できるじゃないですか。だから、どんなにキツくても構わない。きっと全部含めて楽しかったと言える日が来るって信じてるから」
冒頭のやりとりでもわかるように、普段の佐野は取材の場が盛り上がるよう折々に冗談を挟む気さくな性格だ。自分を飾らず、いい意味で少年らしいヤンチャさが覗く。炎に例えるなら、情熱の赤。そんな気取りのない親しみやすさは、間違いなく彼のチャームポイントだ。
でも、こんなふうに目標について話すときだけ、彼はすっと表情を変える。6年続けている毎日の日記には必ず目標を書き、その日1日を振り返っては、自らに反省を課す。真摯で、戦略家で、不断の努力を厭わない。青い炎をたぎらせた男の顔になる。
「変な話、たぶん今、明日ドームツアーですと言われても、そんなに達成感はないと思うんです。もちろんうれしいですよ。うれしいけど、一瞬で喜びは消える。なぜかというと、まだドームツアーに辿り着けるだけの納得感がないから。もっと努力して、もっと苦労して、やっと掴んで初めて胸を張れる。目標って叶えることも大事ですけど、それ以上に大切なのはプロセス。今、このプロセスがいつか一生の財産になるってわかっているから、逃げたいと思ったことがないのかもしれないです」

目標を口にすることは、怖い。なぜなら、叶わなかったときの痛みを先に想像してしまうからだ。でも、そんな恐怖もわかった上で、目標を言い続ける人はカッコいい。だから今、佐野勇斗から目が離せないのだ。
彼の見据える未来に、自分たちの未来も重ねて。佐野勇斗という物語の最前席で、そのプロセスを共有することが、今、多くの人の夢となっている。
佐野勇斗が手錠につながれて逃亡するなら……?

――では、最後にちょっとだけ作品にちなんで佐野さんの素顔を聞かせてください。
ハチとリンダは手錠につながれて逃亡しますが、佐野さんはこの人とだったら手錠につながれて逃亡してもいいという人はいますか。
え。待って。本当に嫌かも(笑)。僕、結構フレンドリーに見えて、一人大好きな人間なんで。
――そこをあえて挙げるとしたら。弟さんとか?
弟も嫌です(笑)。だったら、僕のYouTubeにも出てくれているユッケという友達がいて、ユッケ含む3人仲の良い友達とはいつも一緒にいるんで、彼らとならいけるかもしれない。食の好みとか睡眠時間とか、そういうのが似てるんです。だから、四六時中一緒でも、そんなに苦にはならないかなと。でも、基本的には嫌です。一人がいいです(笑)。

撮影/梁瀬玉実、取材・文/横川良明
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<作品情報>
「ESCAPE それは誘拐のはずだった」
2025年10月8日スタート
毎週水曜よる10時~11時
※初回放送はよる10時~10時54分

【キャスト】
桜田ひより、佐野勇斗(W主演)
ファーストサマーウイカ 結木滉星/志田未来/
松尾諭 山口馬木也 富田靖子 北村一輝 ほか
【脚本】ひかわかよ
【音楽】桶狭間ありさ
【チーフプロデューサー】荻野哲弘
【プロデューサー】秋元孝之、明石広人
【演出】小室直子、長沼誠 ほか
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