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「喜劇はどこにでもある」──松尾スズキ、名作小説『クワイエットルームにようこそ』を自らミュージカル化!構想を明かす

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松尾スズキ (撮影:源賀津己)

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松尾スズキが20年前に発表した小説で、その後映画化もされた『クワイエットルームにようこそ』。女子専用精神病院の閉鎖病棟を舞台に、フリーライターの佐倉明日香、そのパートナーの焼畑鉄雄、さらに患者や看護師との奇妙な交流を描く。芥川賞にもノミネートされたこの名作を、松尾自らミュージカル化。音楽を宮川彬良が担い、主人公の明日香を元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の咲妃みゆが務める。そこで現在鋭意執筆中の松尾に、ミュージカル化に当たっての心境、構想などを語ってもらった。

“魅力”としか言いようのない、咲妃みゆという煌めき

――今まさに台本を執筆中とのことですが、やはりミュージカル脚本となると、小説、映画脚本とはまた違う難しさがありますか?

どこに曲がはまるかを考えながら書くのは、やはりなかなか大変な作業ですね。音楽の宮川(彬良)さんがどこから前奏を始めるのかなとか、セリフとセリフの間に歌詞が入っている場合、どう処理していくのかなとか、想像しながら書かなければいけませんから。とは言っても宮川さん、勝手に変えてきますけどね(笑)。仮歌を聞いていたら、書いていない歌詞がいっぱい入っていたり(笑)。まぁそういったことも含めて、面白いなと思います。

――現状上がっている30ページほどを読ませていただきましたが、しっかり“ミュージカル”でした。

作り方が違いますからね。オープニングはこういう曲だから、2曲目はこういう曲が来た方がバランスはいいだろうとか、そういうことを考えながら進めていくので。やはり“The Musical”と謳ったからには、楽曲を中心に作っていかなければいけない。『クワイエットルームにようこそ』を選んだのも、ストーリー自体がシンプルな分、楽曲の間にお話をはめ込んでいけると思ったから。ただショーの部分がこれからまだまだ入ってくるので、削ぎ落しても、削ぎ落しても、むしろお話があり過ぎるなと思っちゃうんですけどね。

――松尾さんの目指すミュージカルを体現するべく、主演の咲妃さんをはじめ松下優也さん、昆夏美さん、桜井玲香さんといった強力なキャスト陣がそろいました。

COCOON PRODUCTION 2026『クワイエットルームにようこそ The Musical』ビジュアル

今までとは全然違うキャスティングですよね。咲妃みゆさんはもともと注目していて、もう“魅力”としか言いようのないものをお持ちの方だなと。普通の演技をしていても、ちょっとキラキラしているというか。今回演じてもらう佐倉明日香は、たぶん咲妃さんが今までやったことがないような役。それだけに楽しみですし、今も彼女が演じている姿を頭に描きながら書き進めています。焼畑鉄雄役の松下優也さんのことは、正直これまで存じ上げませんでした。ただ周りのすすめで『ケイン&アベル』と『キンキーブーツ』を見させてもらい、あぁすごいなと。ここまでやわな男はやったことがないと思いますが、アベルもやれて、ドラァグクイーンのローラもやれるなら、もうなんでも出来るよね、と思っています(笑)。

どんなに辛い時でも、人はやっぱり面白さを求めるもの

――看護師の江口役を映画版に引き続きりょうさんが、また患者の西野役を秋山菜津子さんが演じられます。

映画版のキャストをどこかに使いたいなとは思っていたんです。そう考えた時に、りょうさんが一番いいのではないかなと。以前から演出したいと思っていた方ですし、よしここだ!と。秋山さんにはもう、信頼しかないです。笑いが出来る人なので、より面白さは増すと思いますし、あとやっぱり怖い(笑)。怖さに関しても大いに信頼しています。

――さらに大人計画の面々が脇を固めます。

まぁミュージカルという点では難しいとは思いますが(苦笑)、そうじゃない部分で頑張ってもらいたいですね。それなりに彼らもエンタメの世界で鍛えられてきていると思いますし、なによりコメディなので、そこは信頼して書けるなと思っています。

――振付のスズキ拓朗さんとも初顔合わせですね。

スズキくんの舞台は何度も見ていて、構成や振付が面白いなと思っていました。今回はショーを作るという意味において、スズキくんに任せてみようかなと思う部分もあって。やはり精神病院の閉鎖病棟って、重い題材にしかなりようがないですから。そこをどうポップに見せていくかが勝負ではないかなと。そう、僕もこないだ、ヘルニアの手術で10日ほど入院したんですよ。ものすごく辛かったんですけど、それでもやっぱり面白いものを求めていましたから。すぐそこにあるものが取れないってことがもうすごくおかしくて、マジックハンドを買ってきてもらったり(笑)。喜劇ってどこにでもある、それはこの作品に限らず言い続けていきたいです。

取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己
ヘアメイク:板垣実和


<公演情報>
COCOON PRODUCTION 2026
『クワイエットルームにようこそ The Musical』

作・演出:松尾スズキ
音楽:宮川彬良
振付:スズキ拓朗

出演:
咲妃みゆ、松下優也、昆 夏美、皆川猿時、桜井玲香、
池津祥子、宍戸美和公、近藤公園、笠松はる、
りょう、秋山菜津子

香月彩里、田川景一、エリザベス・マリー、中根百合香、
永石千尋、原梓、藍 実成、感音、古賀雄大、
羽衣*、芹犬*、等々力静香*、中野亜美*、吉田ヤギ*(*コクーン アクターズ スタジオ第1期生)

<ミュージシャン>吉田 能、熊谷太輔、中條日菜子、福岡丈明、藤野“デジ”俊雄、山下綾香

【東京公演】
2026年1月12日(月・祝)~2月1日(日)
会場:THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/quietroom2026-milanoza/

【京都公演】
2026年2月7日(土)~11日(水・祝)
会場:ロームシアター京都 メインホール

【岡山公演】
2026年2月22日(日)・23日(月・祝)
会場:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場

公式サイト:
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/quietroom2026.html

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