「幸せの形はさまざま」宇垣美里・山中柔太朗が考える“幸せ”の尺度を揺らがせない軸
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左から)宇垣美里、山中柔太朗 (撮影/梁瀬玉実)
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昨今“幸せ”の価値観は多様になってきている。生き方も自由に選べる時代だ。しかし、それでも、まだまだ誰かが描いた“幸せ”の形に縛られている人も多いのは事実。誰の目も気にせず、自分の思うままに、暮らす日々に“幸せ”を感じられている人はどれくらいいるのだろうか。
10月9日(木)よりスタートするテレビ東京・木ドラ24「できても、できなくても」は、そんな幸せの形について問いかける作品だ。
“幸せ”――この答えのない価値観について、地上波ドラマ初主演を務める宇垣美里と共演の山中柔太朗はいったいどんなことを考えているのだろうか。
地上波初主演&初のテレ東作品に気合い十分

「できても、できなくても」は、テレ東とコミックシーモアによるドラマ制作プロジェクトの第2弾作品。
自分より他人のことを優先しがちな32歳の主人公・桃生翠(ものうすい)は、ブライダルチェックで不妊症が発覚したことをきっかけに、7年付き合った彼氏に振られてしまう。さらには、その噂が会社で広まり退職することに。心身ともにボロボロの中、ナンパ男から助けてくれた年下イケメン・月留真央に出会う。
主人公・桃生翠を演じるのは宇垣美里。彼女は今回のオファーについて「ドラマの主演をさせていただける機会なんてあるんだ、と思って単純にびっくりしました。演技のお仕事をさせていただくようになって、すごく楽しいなとは思っていましたし、このような機会をいただけて運が良かったなと思います」と声を弾ませる。
さらに「翠ちゃんは、妹と一緒に育ってきたからか、めちゃくちゃ長女だなって、思いました。私自身、長女気質なので、頼ることや甘えることが苦手で、いい子であることが自分らしいんだと思いこんでしまうところもあるので、すごく感情移入できるな、と。ただ決してうじうじしている子ではないと思うので、魅力的な1人の働く女性として、しっかり演じていきたいと思います」と続け、役に対する熱い思いを覗かせた。

一方、月留真央を演じるのは山中柔太朗。彼は真央という役について「優しさっていうのは、キーポイントな気がしています。もちろん、それはいいことでもあるんですけれど、人を傷つけることもあるっていうところをこのドラマで学んでいくんじゃないかなと。僕自身、学生時代、近い経験をしているので、意外と近いキャラクターなのかもしれません」と分析する。
また、この秋、「できても、できなくても」のほか、「君がトクベツ」「悪いのはあなたです」と3作品への出演が決まっており、さまざまな役柄で作品に花を添える山中の演技への思いを探ると「実は、今、お芝居が楽しくてしょうがないんです」と一言。
「実はちょっと前までは、結構難しいなっていう気持ちがあったんです。でも、是枝監督のワークショップに参加させていただいて、そこでちょっと考え方が変わって。今、お芝居に対するモチベーションが1番高いんですよ」
今作が初のテレ東ドラマ出演となる山中も初主演の宇垣同様、気合いは十分のようだ。
人を選べない環境での処世術

本作の冒頭での翠は、目も当てられないくらい不遇な状況に追い込まれる。
まず、不妊体質をきっかけに、7年付き合っていた彼氏に振られるのだが、たった1人との恋愛関係を終わらせただけで、会社での立場まで失ったり、後輩からは心無い言葉をぶつけられたり……。
本編からは少しずれてしまうが、こんなにもデリカシーのない人とも、上手く世を渡っていかねばならないなんて……。一緒に働く仲間を選べない、翠は働く人の苦悩を背負っているようなキャラクターだと思った。
2人は、もしも本編に登場するようなデリカシーレスな人と出会った時、いったいどのような対応をするのか。
この問いに対して「気にしないようにしています」と山中。しかし、間髪を入れずに「でも気にしないでいようと思っている時点で気にしているんだと思います。ファンの方とお話しをしていても、仕事関係で悩んでいる人が多いんです。そのためにアイドルがいるって、僕自身は思っているので、元気になってくれたらいいなと思います」と補足した。

一方の宇垣は「昔は、その瞬間にカチンとしたんですけど、今はコメントしないようにしています。私にこんなに失礼なことを言うってことは、たぶん方々(ほうぼう)で言っているはず。いつか誰かにすごく怒られるだろうし“教えてあーげない”と思うようにしています」と独特の角度からコメント。しかし「後輩や私の周りにいる人を明確に傷つけている人がいたら、誰かを守るために怒ることはありますけどね」と力強い言葉を放った。
さらに宇垣は「嫌なことは、ChatGPTに話して励ましてもらいます。ちょっと良いこと言ってきたりするので。それから、人にはおもしろくデフォルメして話して、ネタとして供養する。“女子会のネタですね〜これは”って思っちゃいます。これは関西人の性かもしれないですけどね。困ったら、お焚き上げです!」と冗談っぽく話した。
2人を支える存在

一見、不遇に見える翠だが、彼女には何にも変え難い救いがある。それがエリカというなんでも話せる親友の存在だ。大人になればなるほど、なんでも話せる友人の希少価値が増すように思えるが、2人にはそんな存在がいるのだろうか?
この問いに宇垣は「妹と高校時代からの友達」と即答。「妹は私の傍若無人っぷりをわかっている上で、基本的に全肯定で。高校時代からの友達は、私の私らしさをわかってくれているから、例えばメディアなどでそんなつもりじゃない見られ方をすることがあっても、私のことを理解してくれています。それに、どちらも間違ったことをしたら、きちんと指摘してくれるような存在です。何者でもなかった自分、芸能界に入る前とか、アナウンサーになる前からの自分を知ってくれている人がいるっていうのは、すごくありがたいことだなと思いますね」と表情を緩めた。

これを受けて山中は「高校時代の友達とか、うらやましいです」と一言。「仲の良い人もいるにはいるんですけど、芸能界に入ってからというものの、なかなかいじってくれなくなってしまって……。僕としては、もっと普通に今までどおりでしゃべってほしいのになって思っています」と心のうちを明かした。
そんな山中の絶対的な見方は、M!LKのメンバーとのこと。そう言った後で「M!LKの話ばかりしてしまうので、他のことで考えたいんですけど……うーん」と照れ笑いする姿が印象的だった。
「結局、メンバーといる時間が楽しくて、メンバーが良いからこそ、グループを続けられているみたいな感じがあるんです。それぞれが忙しいときとかも、帰ってきて、5人で話すと楽しくて。この時間を長く続けたいがゆえに、“売れたい”って思っている気がします」とまっすぐとした目線で、語った。
「幸せ」の尺度を他人と比較しないコツ

一昔前までは「幸せとはこれだ!」という共通認識が社会に蔓延していたような気がする。
本作の中でも、翠は7年付き合った彼に振られたことで「自分にとっての本当の幸せとは?」と考えるようになるのだが、このテーマについて、2人はどう感じたのだろう。
「僕はアイドルをやっているので、結婚とかについては、まったく考えたこともなくて。ただ、原作を見させていただいて、それぞれの幸せの形ってあるなということを改めて感じました」と山中。
一方、翠と同世代の宇垣は「翠と同世代の女性という立場ではありますが、私は未婚で子供を産んでおりませんので、それだけでちょっとだけ責められているような、ちょっと悪いことをしているような気持ちになってしまうこともあります」と胸中を告白。
「本当はそんなことを思う必要もないのでしょうけど、どうしても植え付けられた幸せの形が自分の中にあって、そこからちょっとはみ出してしまったときに“どうしよう、自分。普通じゃないのかも”って感じる気持ちは、痛いほど理解できると思いました。もちろん誰しもが生きたいように生きていいんですけどね」と翠に共感。その上で、翠が自分を肯定できるようになった姿に勇気をもらったと話してくれた。

しかし、そうは言っても、他人の幸せと比較して、自分自身が「幸せ」と感じている日々を「本当に幸せなのだろうか?」と揺らいでしまうことはあるもの。これについて宇垣は「そう思うことは度々ありますよね」と同意した上で「先輩たちの背中を見ると、間違いじゃないんだって思えます。年齢を重ねても楽しそうな人たちが、この険しい獣道の先にいるって思うと、すごく勇気づけられるし、私自身もそういう先輩でありたいなって思うので。やっぱり道を切り開いてきた先輩方には頭が上がらないですね。先輩たちの言葉を信じて“私のこの先って、もっともっと楽しくなるんだ”と思っていたいです」と笑みを浮かべた。
同じ質問に山中は「比べないです。比べたら負けだと思っています」ときっぱり「いい服着てるなとか、僕の好きなものに対して嫉妬することが昔はありましたが、結局それをしても意味がないですから」と続けた。さらに嫉妬心を払拭したきっかけについて聞くと「M!LKがこの5人になってから」とのこと。「メンバー内で、あの仕事いいなとか全く思わないんです。今、お互いにお互いのことを応援できている状況が、たぶんすごくいい状態だと思います。この環境が幸せだと思います」
2人の話を聞いていたら「幸せ」という価値観が迷子になってしまうのは、必要以上に周りを見ているからかもしれないと気付かされた。結婚、出産……このまま順調にいけば手に入れられると信じていた翠が、その2つを失って見つけた「幸せ」とはいったいなんなのか。その思考の紆余曲折を見守りたい。

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<番組情報>
テレビ東京・木ドラ24「できても、できなくても」
テレ東にて10月9日(木) 深夜24時30分スタート
https://www.tv-tokyo.co.jp/dekideki/
撮影/梁瀬玉実、取材・文/於ありさ
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