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吉永小百合×佐藤浩市×天海祐希、名優たちによる人生賛歌『てっぺんの向こうにあなたがいる』──女性初のエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子がモデル【おとなの映画ガイド】

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『てっぺんの向こうにあなたがいる』 (C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

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女性初のエベレスト登頂を成し遂げた登山家・田部井淳子をモデルに描く『てっぺんの向こうにあなたがいる』が、いよいよ10月31日(金)に全国公開される。主演は、本作が124本目の出演作となる吉永小百合。青年期をのんが演じている。監督は『北のカナリアたち』以来、吉永と13年ぶりにタッグを組む阪本順治。10月27日(月)から開催される第38回東京国際映画祭のオープニング作品にも選ばれた、山好きだけでなく、様々な人に響く人生賛歌だ。

『てっぺんの向こうにあなたがいる』

田部井淳子さんといえば、1975年に、女性で初めてエベレスト登頂に成功した登山家として知られているが、その後、52歳の1992年には女性世界初の世界七大陸最高峰登頂を実現、1999年、還暦を前にして天山パミール高峰五座を手中にした、という凄い人。2児の母でもある。

その田部井さんの著書『人生、山あり“時々”谷あり』を原案に、『銀河鉄道の父』の坂口理子がオリジナル脚本を書き上げ、映画化した。吉永小百合演じる主人公の名前は多部純子となっているけれど、ほぼ忠実に田部井さんの足跡をトレースしているようだ。青年期はのんが演じている。

映画は、純子が女性だけで組織された「エベレスト日本女子登山隊」の副隊長兼登攀隊長としてエベレスト登頂に成功するまでより、その後の姿のほうをさらに丁寧に描いている。

たしかに、なるほど「山あり谷あり」の人生。“山”がエベレストに始まる数々の最高峰登頂だとしたら、晩年のがん発症と闘病は“谷”かもしれない。登頂成功の陰にも、プライベートにも、幾多の谷があった。それをポジティブに切り替える精神と、家族と友人の支えで、切り抜けていく。

「お母さんがやりたいことをやってくれるのが僕の趣味」という包容力にあふれた夫を好演しているのは、佐藤浩市。青年期は工藤阿須加が演じている。登山隊の取材に来て、共感のあまりチームに入ってしまう新聞記者で、純子の生涯の親友となる北山悦子役の天海祐希もかなり魅力的。吉永とは『最高の人生の見つけ方』以来の共演だが、実生活でも大の仲良しのようで、その関係がにじみ出ている。しっかり者の娘は木村文乃、物語のキーマンともいえるちょとグレちゃう息子を若葉竜也。

吉永小百合主演の作品は、ひたむきさ、まじめさが剛速球で投げ込まれるものが結構多いのだが、本作は、そのあたり、阪本順治監督の演出によるのか、夫婦、親子の愛情、友との関係の描き方が、ほどよいさじ加減。福島県三春町生まれである田部井さんのおっとりとした訛りを吉永さんのセリフに加えたことも、功を奏しているのかもしれない。

大手術のあと、リハビリに励む彼女に医師が「ゆっくりでいいですよ」と声をかける。すると、純子さんはにこやかに「ゆっくりは得意です」と答える。そんなシーンがある。

一歩ずつ一歩ずつ、ゆっくりと登れば、いつかてっぺんにつける、そんな信念で何事も行ってきた。リハビリでも同じなのだ。

晩年、大震災で被災した福島のために何かをしたいと「東北の高校生のための富士登山プロジェクト」を始めた時も、頂上に向かう高校生を「ゆっくりでいいからね」と励まし続けた。

「そうか、ゆっくりでいいんだ……」、観た人がそれぞれの人生で、そんな風に思ったりする、応援歌のような映画です。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

(C)2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会

【ぴあ水先案内から】

池上彰さん(ジャーナリスト)
「……それにしても80歳の吉永小百合の登山シーンには驚くばかりです。」

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