原因は自分にある。が6年で掴んだもの「軸をしっかり持つことで、複雑さが深みになる」
音楽
インタビュー

原因は自分にある。 (撮影/梁瀬玉実)
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ネットカルチャーを代表する奇才から楽曲提供を受け、常に新たな姿を見せてくれる「原因は自分にある。」。
7月に国立代々木競技場第一体育館で『ARENA LIVE 2025 序破急』を2日間にわたって開催し、10月15日に約2年4ヶ月ぶりとなる4thシングル『パラノイドランデブー』をリリースする。タイトル曲は川谷絵音、カップリングは笹川真生、久下真音という豪華クリエイター陣を迎え、さらなる魅力が引き出されている。
新曲への思いと代々木でのライブを振り返りながら、大倉空人、小泉光咲、杢代和人、吉澤要人の4人に“ゲンジブ”のこれからを聞いた。
6年越しの川谷絵音とのコラボレーション

――4thシングルの表題曲『パラノイドランデブー』は川谷絵音さんの提供曲です。楽曲の印象を教えてください。
大倉空人(以下、大倉) 僕にとって川谷さんは 「ゲスの極み乙女。」さんのイメージが強く、ピアノロックサウンドの楽曲を予想していたので、意外な雰囲気でした。今の川谷さんが大事にされている音楽の核から生まれたサウンドなのかなと思います。違う時期にお願いしていたらまた別のサウンド感になっていたのかもしれません。アーティストの方に楽曲提供していただく面白さを感じました。
吉澤要人(以下、吉澤) この曲のテーマは、「自分が自分らしくある場所への、逃避行」です。テーマを踏まえて歌詞を見ると、楽曲に登場する人物の苦悩とか希望とか、そういうものも見えてきます。
大倉 「メタにメタを重ねて複雑になる」っていうラップの歌詞がすごく好きなんです。これって、まさに、僕らゲンジブのことを表していると感じます。作曲家やアーティストの方が「ゲンジブってこういうのが魅力だよね」って思ってくれたものと、僕らの世界観が融合して楽曲ができる。そうやって楽曲提供をしていただくと「ゲンジブの楽曲ってこういうもの」っていう定義がどんどん複雑になっていくんですよね。いろんな方の解釈が重なって。
でも、その複雑さをちゃんとゲンジブの深みにするには、僕らがライブに立つときに軸をしっかり持つことが大事だと思います。「ゲンジブってこういうグループだよ」っていう芯を持って演じることで、複雑さが深みに変わる。この歌詞を聴いて、改めてそう感じました。


小泉光咲(以下、小泉) 3曲すべて聴いて、すごいバランスのいいシングルだなと思いました。「パラノイドランデブー」は川谷さんの色も出しつつ、ゲンジブの色もあって、僕らにとって挑戦的な楽曲です。「希望的観測の定義」はガラッと変わって、ゲンジブを知ってる人ほど楽しめる。本当に全部バランスがいいなと思いました。
――川谷さんともお会いしましたか?
吉澤 僕らはお会いしてなくて、杢代と長野(凌大)がラジオに出演してお会いしてます。
杢代和人(以下、杢代) すごく優しくてフランクな方で、楽しくお話しさせていただきました。もともと川谷さんは、僕らが「原因は自分にある。」に改名した2019年に「気になる」ってSNSで触れてくださってたんです。6年越しに楽曲提供をしていただくことができました。
しかも、ずっとゲンジブの曲を聞いてくれていたらしくて。僕らの楽曲『豪雨』がエンディングテーマのドラマ「じゃない方の彼女」を見ていたと。「おもしろい楽曲だ」と関心を持ってくれていたそうで「やっとタッグを組めた」とおっしゃってました。「ゲンジブなら大人っぽさも出してくれるんじゃないか」と考えて作ってくださったそうです。僕らを知ってるからこその世界観に仕上がっていると思います。
――レコーディングで印象に残っていることはありますか?
杢代 2年4ヶ月ぶりのシングルっていうことで、気合を入れて臨みました。大人っぽくてセクシーな楽曲です。「ただ格好つけるだけだと聴いてる方も面白くないよね」というディレクションをしていただいて。歌詞によってニュアンスを変化させながら、何回も録りました。
僕らが声を録ってから、生楽器の演奏で音を録っていただきました。そうしたら、生の楽器演奏が良すぎて、色がついたみたいに華やかになったんですよ。完成した演奏を聴いたときの衝撃は大きかったです。川谷さんすげーなって(笑)。


小泉 3曲ともに、表現の幅が広がるような曲です。歌詞を解釈しながら歌い方を変えて録りました。例えば、『パラノイドランデブー』で「笑える日が来ますように」っていう歌詞は、苦しく歌ったり、ちょっと笑って歌ってみたり。いろんなニュアンスで歌ってみて、ディレクターさんと相談しながら作り上げました。
大倉 僕は「はい、ポーズ」っていう歌詞があって、普段とはちょっと違う声を意識しました。20テイク以上録って、奇跡の一回が音源に入ってるんですけど(笑)。パフォーマンスでもいろいろ遊べるパートだなと楽しみです。
――今回のレコーディングで、他のメンバーの成長も感じましたか?
杢代 (武藤)潤くんの歌い方が変わってて、聞いたときにびっくりしました。いつもと違う歌い方で歌ってるなと。いろんなパターンを試してみて、一番ハマる表現を選んだと言っていました。
大倉 僕は(桜木)雅哉の「Ah」のインプレの歌い方がすごいなあって感じました。雅哉自身も今年すごく変わろうとしてる年で、難しい音階を歌い上げるのはさすがだなって。マンネ(末っ子)の成長を感じました。
原因は自分にある。の世界観を広げる楽曲

――笹川真生さん提供の『ビネットネット』は少し怪しさのあるダンサブルなナンバーです。
大倉 笹川さんの作る楽曲は、ゲンジブの世界観とマッチしていると思いました。僕らの音楽の核となっているのは、ネットカルチャーです。歌詞を見ても僕たちにすごくリスペクトを持って書いてくださったことが伝わってきました。
吉澤 笹川さんの持つ独特な世界観とゲンジブの世界観が、ここまでぴったり合わさるんだっていう驚きと喜びがありました。この一曲が、お互いの世界観を掛け合わせた完成形なんじゃないかって思うぐらい完成度が高くて。サウンド感の中毒性が本当に半端ないです。
小泉 『ビネットネット』は笹川さんが僕らの世界観をすごく理解してくれた上で作ってくれたので、歌っていて気持ちいい曲でした。ネットミームの言葉が入っているなど、ゲンジブらしさが詰まってる。僕らに寄り添ってくれた感じがすごくあります。

大倉 『希望的観測の定義』は12月のFCツアー「GNJB FC Limited Tour Laboratory-」でも披露する予定です。コールの部分を覚えていただいて、一緒に声出して盛り上がってもらいたい!
吉澤 レコーディングしていて楽しい曲でした。「僕らってこんな風に見えてるんだ」とか「こんなことあったな」とか。数年前のYouTubeの中で出てきた言葉、例えば「勝海舟」とか(笑)。そういう僕らの遊び的なノリで生まれた言葉が曲になっています。
この楽曲は観測者レベルが高くなればなるだけ楽しくなっていく楽曲だと思います。一つひとつ「この歌詞にはこういうエピソードがあるんだよ」って全部説明できたら、真の観測者です(笑)。
それぞれの中にある「シニカルとキラキラ」

――"ゲンジブ"の魅力はシニカルな世界観とキラキラしたアイドルの両面ですが、皆さん自身ではどんなところが当てはまりますか?
吉澤 僕の好みの世界観は、シニカル。よくわからない表情が好きなんです。映画や写真を見ていて、視覚的なもので直接伝わってこない感じというか、いろんな捉えかたができるものがすごい好きです。例えばサイコパス系の映画で、サイコパスの人が笑顔になっているときの表情とかが好きです。逆に、自分はめちゃくちゃよく笑う人だし、楽しいことが大好きなんですけどね。
大倉 僕は“リアルアイドル”でやらせてもらっているので、言ったことに嘘をつきません。例えば、携帯の裏に自分のトレカ挟んだよって報告したら、もう今も挟んでますし。バッグの中に自分のグッズつけてるよって言ったら今もつけてる。ファンの方に嘘がないっていう姿が、自分のアイドル像です。
シニカルな部分は、物事に対して考えることが多いんです。SNSをよく見ていて、ちょっと心ないコメントを見つけたらすごく深く考えてしまう性格なので。そういう考えるところが、シニカルな部分なんじゃないかなって思います。



杢代 僕はコミュニケーション能力が高い方だと思うので、友達は多いです。撮影が3日間でも共演者の方々と結構仲良くなっちゃうタイプです。
シニカルな面は、感情の起伏があまりないところです。号泣したりイラついたりがなくて、淡々としてる。「年齢より落ち着いていますよね」ってよく言われます。家ではそんなに喋らないし(笑)。ドライって言われることもあります。
小泉 僕のシニカル的な要素は、狂気的な笑顔だったり、笑顔なのに可愛いとは別のジャンルでちょっと怖いという。その瞬間でガラッと雰囲気が変わる部分です。あと、プライベートだとラーメンにいくらでも並べるんです。2時間とかも全然平気。待ってる間は携帯触りながら、そのお店の動画を見たりして。ラーメンへのモチベーションを上げてます(笑)。そういう一つのことへのこだわりの強さも、シニカルな部分かもしれないです。
キラキラアイドルは、フォルダーがほとんどSNSにあげる用の写真ばっかりです。いつでも出せるように意識して写真をとっています。そこがアイドル的要素かなと思います。
「もっともっとライブをしたい」

――7月の代々木第一体育館でのライブも素晴らしかったです。それぞれステージで印象に残っていることを教えてください。
小泉 最初の登場シーンです。まさか上から登場するとは、観測者の皆さんも思ってなかったと思います。大きな会場じゃないとできない演出で、インパクトがすごくあったなと。初めての挑戦がたくさんあったので、もっと場数を踏んで慣れていきたいです。
あと、上から見た景色がすごく良くて。観測者のみんなが会場を埋め尽くしてる景色を見て、本当に感動しました。もっともっとライブをしていきたいなっていう気持ちがいっぱいになりましたね。
大倉 僕は天井から吊られたカメラ、天カメの演出です。映像を経て『Mania』のパフォーマンスへ続くときに、羽根を上から映すカメラワークと、オーケストラアレンジで「Mania」の演奏が始まります。大きな会場でしかできない特別な演出で、天使と堕天使というコンセプトだからこそできたシーンでした。今回すごくコンセプチュアルなライブをやって大好評だったからこそ、次はこのライブを超えるようなライブを考えていかなきゃなと覚悟とプレッシャーも感じましたね。期待を裏切れないというか。自分たちメンバーが一番ゲンジブに近い存在だからこそ、自分たちが守っていかなきゃなっていう気持ちになりました。
吉澤 僕は誕生日をお祝いしてもらったことです。もう本当に幸せな時間でした。
一同 おめでとう!(拍手)
吉澤 自分たちのライブ当日に誕生日を迎えるってなかなかないことですよね。しかもメンバーのみんなもサプライズで用意してくれて。僕、サプライズとかはないと思ってたんですよ。長野凌大から「原因は自分にある。は、こういうことはやらずにライブ作品で見せるものです」ってずっと言われてたんで(笑)。諦めてたんですけど、僕のいないところで打ち合わせしてくれてたみたいで。


小泉 そうよ。僕と空人でリハーサルもしたんだから。ケーキが出てくるんですけど、いろいろ手こずりすぎて、なかなか進まなくて(笑)。
大倉 悔しいよな……。もう一回やり直したかったよな。
小泉 そこも今後への課題の一つではあるかなと。
杢代 サプライズをスムーズにするっていうのは意識していきたいなと思います(笑)。
吉澤 観測者のみんなもすぐにペンライトを紫色にしてくれて……。愛を感じました。なので、またぜひ誕生日にライブをやりたいなって。
大倉 贅沢だなあ。「他のメンバーにも同じ景色を見てほしいです」とかじゃないんだ(笑)。
杢代 え〜、5月20日がいいな、俺は。
吉澤 とにかく、もっとライブをやりたいですね!
杢代 僕が印象に残っているのは、リハーサルでのことです。最後の曲で、みんなで飛んでバサっと降りる演出があって。歩幅も距離感も列もニュアンスも、リハーサルで何回も揃えてたんですよ。そうしたら、最後のリハーサルで、武藤潤だけ4拍も早く降りたんですよ!
僕は一番外側にいたので、「何かが落ちた? 誰かが落ちた!?」「体調崩してふらついた?」とかめっちゃ焦って。僕らは通常通りに降りて「おい!大丈夫か」って言ったら「間違えて降りちゃいました〜わあ〜」みたいな(笑)。
大倉 ピリつきましたね。僕は近くだったので。4拍前に「あああああ!」って叫び声が……。
吉澤 定点のリハ映像を見たら、かなり離れてるはずのカメラに武藤潤の「あああああ!」って声が入ってるんですよ。ちゃんとヘッドセットしてるから。めちゃくちゃ印象に残ってます(笑)。
杢代 集中してないわけでももちろんないですし、緊張感もあったと思うんですけど、なんでああいうことになっちゃったんだろう(笑)。
小泉 本番失敗しなくてよかったよ。
大倉 あの潤くんのミスがあったから気を引き締めて、本番は成功できました。

――代々木第一体育館はエビライ(EBiDAN THE LIVE)でも立たれていました。それでも、ワンマンライブは違いますか?
杢代 全然違いましたね。
大倉 エビライは、若干アウェー感というか。全員がゲンジブのファンの方ではないっていうところで。「会場にいるファンのみなさんを観測者にするぞ」みたいな心意気があるんで、まだまだチャレンジャーです。同じ会場でも違う景色に見えました。
小泉 1日目、感動したよね。上から見てたからすごい景色が良くて。
吉澤 僕ら7人だけがステージに立ってるじゃないですか。ゲンジブのワンマンライブはそこが大きく違うかなって。何十人っていう人がステージに立ってるのと、僕ら7人が一致団結して立ってるっていうのは、全然違う。僕らに会いに来てくれたみんなっていうのがすごく嬉しいですね。
――見えてきた課題や、今後やりたいことを教えてください!
杢代 アリーナ2DAYSは初めての経験で。1日目は全てが初めてなので盛り上がるんですけど、2日目も同じクオリティで盛り上げていかないといけない。これがアリーナツアーで4公演とかになったら、集中力を保つことがもっと大切になってくると感じました。
目標として、東京ドームの夢はあります。でも次の目標は、アリーナツアーだと思っていて。今は東京でアリーナライブを開催していますけど、行ったことのない土地でもライブをしたい。会いに来てもらうんじゃなくて、僕たちから会いに行く。そういう姿勢を見せていきたいです。
大倉 地方行きたいです。四国!とか近畿!東北!とか、九州も!
小泉 もっともっとライブをしたいです。
観測者の偉大さを実感

――ライブやリリースイベントを通して、観測者のみなさんに対して感じていることは?
吉澤 観測者の力の偉大さを、観測者のみなさんに分かってほしいって思います。そう感じたのは、僕らが『CDTV ライブ!ライブ!』に初めて出演する前日にインスタライブをやって、ハッシュタグをみんなで決めたんです。そのハッシュタグをつけて、僕らのパフォーマンス中にポストしてねっていうことをやったら、トレンドに入って。
大倉 2位。1位は番組名で、2位が僕たちが発信したハッシュタグでした。
吉澤 2位まで上がれたのは、観測者のおかげ。観測者の力の偉大さをそのときに実感しました。ライブのたびに観測者のパワーを感じています。みんなも、自分たちの力が偉大だってことを知ってもらえたらと思います。
杢代 アイドルはファンのみなさんがいないとできないですから。ライブ会場のキャパが大きくなるにつれて、もっともっと感謝を大切にしていかなきゃなと思いが強くなっています。
みなさんそれぞれ、会いに来られないタイミングもあると思うんです。それぞれの事情はあるけど、僕らはずっとライブをしているから。「いつかまた会いにきてね」という気持ちです。ライブに来たことがなくても、僕らに興味を持ってくれている方はみんな観測者だと思っています。本当に感謝です。
大倉 また会いましょう。アイル・ビー・バックですね。
一同 (笑)
小泉 『希望的観測の定義』も観測者がいなきゃ作れなかった曲ですし、ライブもみなさんが来てくれないと成立しない。僕らだけでは成り立たないからこそ、ライブでさらに恩返しできたらと思います。
大倉 今年は特典会が多くて。リリースイベントや、個人的にも写真集を発売させてもらいました。個人ファンミーティングでみんなが僕に会いにきてくれて、僕のことを大好きでいてくれるみんなに感謝を伝えることができたのは嬉しかったです。
応援してくださるみなさんのおかげで一歩踏み出せました。新しくシングルを出せること、アリーナ公演やツアーなど、いろんな壁もありますけど、みなさんの声を力に乗り越えていった。未来が見えるようになったいい1年だったなと感じています。
――観測者のみなさんはライブで拝見しても、みなさんおしゃれでキラキラしてます!
大倉 やっぱり、大好きな僕たちに会いに来てくれてるときが、一番みんな笑顔だし、可愛いんですよ!




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原因は自分にある。公式HP
https://genjibu.jp/
2025年10月15日(水) 4th CDシングル「パラノイドランデブー」リリース
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撮影/梁瀬玉実、取材・文/かたおか由衣
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