9月24日にキングレコードよりアルバム『東京初期衝動』をリリースした4ピースバンド・東京初期衝動が、東京キネマ倶楽部でメジャーデビュー後初となるワンマンライブ『みなさんッッ‼️さよなランデブゥ〜🐽‼️これガチね⁉️』を開催した。セルフタイトルを冠したアルバムでは、北澤ゆうほ(Q.I.S.)が作曲・編曲を手がけた新曲「さよならランデヴー」と、もうひとつの新曲「愛うぉんちゅー」を収録。さらに、ライブを重ねて磨き上げてきた代表曲8曲を再録している。ライブのセットリストのような曲順で構成し、現在までの東京初期衝動の集大成と始まりを告げるアルバムだ。
そのアルバム『東京初期衝動』同様に「Becauseあいらぶゆー」でスタートしたワンマンは、頭から終わりまでエネルギーを迸らせてステージ上もフロアの観客も体当たりで音楽を奏でる、熱いライブとなった。
登場からしーな(vo/g)、まれ(g)、あさか(b)、なお(ds)で爆音をかき鳴らして、なおのカウントでゆったりとスタートした「Becauseあいらぶゆー」。気だるく、メランコリックな序盤から、アンサンブルのボルテージを上げてパンキッシュに加速すると、観客もコブシを突き上げてサビをシンガロングする。しーなが「もっと、もっと」と声を上げて観客を勢いづけると、続く「高円寺ブス集合」ではしーなが早くもフロアへとダイブして、「バニラ、いけるか!」という声で♪バーニラ! バニラバーニラ求人!のシンガロングがキネマ倶楽部に響きわたる。
メジャーデビュー後も、明け透けで爆裂な勢いは変わらない。むしろアクセルは全開だ。力強いビートと低音のベースで士気を上げていくガレージ感たっぷりの「メンチカツ」では、しーながパワフルに吠え、観客の“メンチカツ食ってシャンっとしろ”の大合唱もいちだんと高くなる。間奏パートでグッと前に出たまれにフロアから歓声が沸き、冒頭の3曲から会場内は熱気で満ちている。
「あまり喋ると、契約違反なこといっぱい言っちゃいそうなので」としーなのMCは控えめでありつつも、「お怪我のないように、最後までお楽しみください」と続く新曲「愛うぉんちゅー」からも怒涛の勢いで、観客を盛り上げていく。音楽、パンクロックがもたらしてくれるパワー、心の底から震わせるような叫びやエネルギーを3コードで歌い上げる「愛うぉんちゅー」。キャッチーで、たとえ初見でもすぐに口ずさめるフレンドリーさがある歌は、新曲ではあるがすでにライブのテッパン曲としての存在感を放っている。
歌詞のフレーズを変え“今、君に会いに来ました!”と叫ぶしーなに、観客も前のめりにコブシを突き上げて歓喜の声を上げた。また続く「Baby Don’t Cry」ではしーなが「すべてのアルバムに皆勤賞のまれちゃんのために作った曲です」と紹介。歌詞にあるその“黒髪少女”まれがかき鳴らすギターに、会場の一体感が増していった。
前のめりなスピードで、荒々しくノイジーなバンド・アンサンブルで聴かせた「トラブルメイカーガール」から、「マァルイツキ」へと続いた中盤では、アルバム『東京初期衝動』で再録された曲たちが続く。
ライブを重ねていくなかでアップデートされ完成されていった曲たちには、たくさんの夜や、たくさんの観客の心や涙を通過してきたことも刻まれるのだろう。より繊細に研ぎ澄まされた歌は、エモーショナルに響きわたる。
「失恋女子を確実に迎えに来ました、“恋スル乙女”……あ、間違えた! 恋する乙女は私だ」(しーな)と、タイトルの言い間違いも愛嬌たっぷりで、テンションを上げていくよきエッセンスとなった「恋セヨ乙女」では観客との掛け合いとともに、演奏のボルテージがぐんぐんと上がっていく。その賑やかさから一転して、「懐かしい曲を」(しーな)という言葉でスタートした「中央線」は、スポットライトのなかでしーなが静かに弾き語りをはじめる。
これまでの感情を爆発させる叫びやボーカルとは違い、一気にミニマムな空間に観客を閉じ込める震えるような歌声に、フロアは静かに揺れる。2019年の最初のアルバム『SWEET17MONSTERS』に収録され、今回再録された「中央線」は、バンドの成長とともに美しくもセンチメンタルな濃度を増したストーリーへと昇華された。歌心が沁みる1曲となったのを感じる。
「ここからは飛ばしていきます」というしーなの声でスタートした後半、なおによるダイナミックなシンバルのカウントで勢いよく走り出した「春」は、グッドメロディとメンバーのコーラス、そしてタフな演奏とで、加速度的に観客の感情をポジティブに上げていく。観客の放つエネルギーやエモーションを一気に引き受けて、優しさが滲む温かい歌声にして返していくしーなの存在感も頼もしい。
ここから間髪入れずに、軽やかに上昇していくようなパンクチューン「次に生まれてくるときは」、「STAND BY ME」、そして「世界の終わりと夜明け前」へとバンド・アンサンブルのボリュームを上げていく。一緒に歌い、コブシを掲げ続ける観客もまた元気だ。
「残り3曲、猛烈にやらせていただきます。楽しんでいって」(しーな)と、「LSD-Love Suki Daisuki-」で終盤に突入した。
今年リリースしたEP『pinkⅡ』に収録された「LSD-Love Suki Daisuki-」は北澤ゆうほが編曲を手掛け、そこでのタッグがアルバムでの新曲「さよならランデヴー」にもつながる布石となった曲。普段のバンドでのアレンジとは一味ちがったビートやフレーズ感で、東京初期衝動のポテンシャルを広げた曲でもある。プリミティヴなパワーに加えて、バンドの持つポップさや一筋縄でない乙女心をブーストしたサウンドが、会場を揺らす。続く「再生ボタン」でしーなは再びフロアへと背面ダイブ。
ラストは、「ロックン・ロール」!と叫びを上げて、バンドが奏でる爆音にも負けないシャウトで、“きみを待っている”と観客へと語りかける。爆音を鳴らしながらも、4人の佇まいには晴れやかさが漂う。しーなの「せーの!」を合図に、4人が向き合って音を合わせ、歓声と拍手のなかで曲を締めくくった。フロアからは、メジャーデビューした4人に、「おめでとう!」の声も飛んだ。
アンコールでは、12月に東名阪ツアー『東京初期衝動ツアー2025』を開催することを発表。そしてまずプレイしたのは、「さよならランデヴー」。東京初期衝動で描いたさまざまなシーンをつなぎながら、そのひとつの終わりと、新たなはじまりへと向かっていくような曲が、この日のアンコールにふさわしい。
ここで改めてしーなは「キングレコードからアルバムが出ました。東京初期衝動、集大成のアルバムをよろしくお願いします」と発表し、「このコードしか弾けなくても、キングレコードからデビューできます。男の子も女の子も、楽器をはじめてみてください」と茶目っ気たっぷりで付け加える。そしてバンド名でもある「東京初期衝動」の会場一体の大合唱で、メジャーでの初のワンマンライブ『みなさんッッ‼️さよなランデブゥ〜🐽‼️これガチね⁉️』を結んだ。
<公演情報>
『みなさんッッ‼️さよなランデブゥ〜🐽‼️これガチね⁉️』
2025年10月5日 東京キネマ倶楽部
セットリスト
1.Because あいらぶゆー -You are my beginning and you are my end Ver.
2.高円寺ブス集合
3.メンチカツ
4.愛うぉんちゅー
5.Baby Don’t Cry -Baby Love Ver.-
6.トラブルメイカーガール
7.マァルイツキ -Full Moon Ver-
8.恋セヨ乙女
9.中央線 -カルス中野 UB Ver.-
10.春 -Sentence Spring Ver.-
11.次に生まれてくるときは-flyingver-
12.スタンドバイミー -スターバックスver
13.世界の終わりと夜明け前-本当の終わりver
14.LSD-Love Suki Daisuki-
15.再生ボタン -New Button Ver.-
16.ロックン・ロール -Pure Rock Ver.-
EN1,さよならランデヴー
EN2,東京初期衝動 -大人の初期衝動ver-
<ツアー情報>
『東京初期衝動 ツアー2025』
2025年12月18日(木)大阪・心斎橋Pangea
開場 19:00 / 開演 19:30
2025年12月19日(金)愛知・名古屋CLUB UPSET
開場 19:00 / 開演 19:30
2025年12月23日(火)東京・下北沢SHELTER
開場 19:00 / 開演 19:30
【チケット情報】
前売 4,000円(税込)
学割 3,000円(税込)
※入場時ドリンク代が必要
▼オフィシャル1次先行: 10月21日(火)23:59まで
https://w.pia.jp/t/tokyo-syoki/
■東京初期衝動 公式サイト:
https://tokyosyokisyodo.jp/