北山宏光「今の時代に僕が演じる意味」強く意識 令和に舞台でよみがえる『醉いどれ天使』に意気込み
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舞台『醉いどれ天使』製作発表会見より、前列左から)深作健太(演出)、渡辺大、北山宏光、大鶴義丹、佐藤仁美 後列左から)阪口珠美、横山由依、岡田結実
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すべて見る北山宏光が主演を務める舞台『醉いどれ天使』の製作発表会見が10月16日、都内で行われた。日本が世界に誇る黒澤明と三船敏郎が初タッグを組んだ同名映画(1948年製作)の舞台版。北山は主人公の若きヤクザ・松永を演じ「自分なりの松永を生きていきたい」と意気込んだ。
映画版で松永を演じた大スターの三船に対して「意識はしている」と認めつつ、「だけど、今の時代に僕が演じる意味を持たなければいけない。大きなお手本ですが、オリジナルにしていくのが課題」だと闘志を燃やす。役どころについては、「無骨な言葉づかいもありますが、柔らかい心の弱さみたいなものを、台本から抽出できたらいいなと思う」と説明し、「人間らしい松永を演じられたら。見た方が共感できる“落としどころ”を表現したい」と力強く語った。
稽古が始まって約2週間が経過したそうで、「追い込まれています(笑)。でも、ここ数日で『もしかしてここかも』と思えるところをつかみ出した」と日々、手応えは増している様子。改めて「歴史ある作品に携われることをうれしく思います」と喜びを噛みしめ、「観ていただいた皆さんに何か心に残るもの、咀嚼して体に染み込み、考えていただける作品を作れたらいいなと思っております」と決意を語った。
映画は戦後の混沌とした時代に生きる人々の葛藤をいきいきと描き、黒澤監督による力強く斬新な世界観と三船の演技が絶賛され、今なお名作として世界中で愛されている。1948年、映画公開の約半年後にはほぼ同じキャストとスタッフによる舞台版も上演され、2021年にも舞台化されている。脚本は前回に続き、蓬莱竜太。今回は新たなスタッフ・キャストにより、2025年の舞台版として上演される。
製作発表会見には北山をはじめ、共演する渡辺大、横山由依、岡田結実、阪口珠美、佐藤仁美、大鶴義丹、演出を担当する深作健太が出席した。
渡辺は松永と対峙する酒好きで毒舌な貧乏医師・真田を演じ、「深作さんの演出はパンクでロック。令和の新解釈」だと太鼓判。松永(北山)との関係性については「映画だと親子のようですが、僕と北山さんは1個しか(年齢が)違わないので、少し年の離れた兄貴くらいの距離感をとれれば。とびきりの“陽”で松永を引きずり込んでやりたい」と抱負を語った。
松永と同郷で彼に思いを寄せるぎん役を演じるのは、横山と岡田のダブルキャストだ。横山は「自分の夢や希望もそうですけど、他人の夢や希望も応援できる気持ちを持った人物。結構母性があって、相手にも温かい気持ちを生み出せる人」だと役柄を語った。
一方、初の舞台出演となる岡田は「こんなに素敵な皆さんとご一緒できる喜びを噛みしめています。素敵な作品を届けられるよう頑張ります」と思いは人一倍。「戦後すぐのお話。今の時代も、戦争から目を背けられない、向き合っていかないといけない現実がそこにあるので、思いを込めて、偽物を演じないように頑張りたいと思います」と力強く語った。
松永の恋人でダンサーの奈々江役を務める阪口は、「現実主義で、生きるためなら手段を選ばない女性。上へ行きたいという思いが強いが、そうしないと生きていけない世界は、とても虚しくかわいそうだなとも思う」と語り、「強さの裏にある気持ちをうまくくみ取り、表現できるよう頑張りたい」と話していた。
また、佐藤は真田の診療所に住み込む美代を演じ「いろんなバックボーンを持った女性が登場するが、一番芯が強くて、情に厚い」。他の共演者に遅れ、稽古に参加しているといい、自身が遅れをとっていないか心配する様子も。そして、松永の兄貴分・岡田役の大鶴は「戦争で人々が等しく傷つきながら、新しい世界に向かうなか『いや、そんなことは認めない』と邪魔をする悪魔的な役」と説明し、「松永との対比を恐ろしく、真っ黒に演じたい」と不敵な笑みを浮かべた。
豪華キャスト陣が集まり、演出の深作も「ベテランから初舞台の方まで、バリエーション豊かで、稽古も順調に毎日楽しみながら進んでいる」と期待感。パンデミックを背景にした時代性に加えて、「女性がキラキラ光っている」と“令和版”の魅力を力説。「こりゃ、蓬莱さん、モテるわと(笑)。映画のシナリオを受け継ぎながら、演劇としてアップデートしている」と蓬莱の脚本を絶賛した。
東京公演は、2025年11月7日(金) から23日(日・祝) まで東京・明治座で上演。その後、11月28日(金) から30日(日) まで愛知・御園座、12月5日(金) から14日(日) まで大阪・新歌舞伎座で上演される。
取材・文・撮影:内田涼
<公演情報>
『醉いどれ天使』
原作:黒澤明、植草圭之助
脚本:蓬莱竜太
演出:深作健太
出演:
北山宏光
渡辺大 横山由依・岡田結実(Wキャスト) 阪口珠美/佐藤仁美 大鶴義丹
堀野内智 神農直隆 生津徹 宮地大介 葉山昴 松井朝海 桑畑亨成/荒井洸子 片岡正二郎
西川裕一 八木橋華月 浅倉智尋 奥富夕渚 夕希奈
【東京公演】
2025年11月7日(金)~23日(日・祝)
会場:明治座
【名古屋(愛知)公演】
2025年11月28日(金)~30日(日)
会場:御園座
【大阪公演】
2025年12月5日(金)~14日(日)
会場:新歌舞伎座
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2561783
公式サイト:
https://www.yoidoretenshi-stage.jp
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