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片岡仁左衛門、文化勲章を受章「本当に幸せだなというのが実感」「子孫への置き土産」

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文化勲章を受賞した片岡仁左衛門

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歌舞伎役者の片岡仁左衛門が、文化勲章を受章。取材に応じ、受章の喜びと共にこれまでの俳優人生、そして今後への思いを語った。

吉報は電話で聞いたといい「正直なところ『えっ』と思ったんですけど、まずは有頂天にありがとうございます、お受けさせていただきますと喜んだ」と振り返る。仏前で先祖への報告を済ませると「正直、私がいただいていいのかな、これは自分には大きすぎるんじゃないかな」という思いもよぎったそうで、「でも、いただけるというのは、大変ありがたいことで、子孫への置き土産と言いますか。そういう気持ちです。本当に幸せだなというのが実感ですね」と喜びを噛みしめていた。

記者から「どんな点が評価されたと思うか?」と問われると、「分からない、自分では(笑)。それが本音ですから。胸張って喜べればいいんだけどね、なんか照れくさいですよ」と思わず照れ笑い。そして、「これからも質を落とさないよう、なお一層精進して、多くの方々に長い歴史を持つ歌舞伎に親しんでいただけるように努力しなければいけない」と決意を語った。

「舞台を勤めていて、嬉しいのは、お客様に受け入れられた空気が伝わってくるとき。やはり、役者というものはお客様に受け入れていただいて、初めて幸せを感じる」

そう語る仁左衛門は、90年代前半に大病を患い、およそ1年間の休業も経験。「ちょうど内々で襲名が決まっていまして、三男の自分が継いでいいのかと悩んでいる最中に、生死の境を行ったり来たりしていた。仲間の活躍をチラシで知るのも辛かった」と振り返り、「そのとき思ったのは、私が継ぐべき人間であれば、命は助かるだろうということ。ですから、神様が命をくださった責任感がある」と感謝の気持ちを語った。

後進に伝えたいのは「役を掘り下げることの大切さ」だといい、「先輩たちがこうしていたからこう、ではなく、その先を考える。私自身も、いまだに『なんでこんなことに気づかなかったかな』ということがたくさんありますからね。とにかく『これでいい』『よくできた』とは思わず、額面通りじゃなく、台詞の裏をしっかりつかまないといけない」と話していた。

片岡仁左衛門 プロフィール

・代数:十五代目
・屋号:松嶋屋
・本名:片岡孝夫
・年齢:81歳

・昭和19(1944)年3月14日、十三代目片岡仁左衛門の三男として大阪に生まれる。
・昭和24(1949)年9月 大阪・中座にて『夏祭浪花鑑』 市松で本名の片岡孝夫で初舞台。
・平成10(1998)年1・2月 歌舞伎座にて「吉田屋」の伊左衛門、『助六曲輪初花桜』の助六ほかで十五代目片岡仁左衛門を襲名
・平成18(2006)年12月 日本芸術院会員
・平成27(2015)年10月 重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)
・平成30(2018)年11月 文化功労者

昭和39(1964)年、大阪・朝日座にて初役で挑んだ『女殺油地獄』河内屋与兵衛が高く評価される。その後は義太夫狂言を中心に力量を発揮、評価と人気を高めていった。数々の名演の中でも、父から継承した『菅原伝授手習鑑』の菅丞相は、知性と憂い、清廉さがにじみ、最高の当り役といわれて久しい。

後進の育成にも熱心に取り組み、上方出身俳優の研修発表会 「上方歌舞伎会」の指導、かつて兄の故二世片岡秀太郎が指導・監修を手掛けていた「松竹・上方歌舞伎塾」の流れを汲む若手・中堅俳優らの公演「あべの歌舞伎 晴の会」の指導・監修を務めるなど、芸の伝承にも尽力している。昭和61年度文化庁芸術祭賞、昭和62年度日本芸術院、平成18(2006)年紫綬褒章、平成28(2016)年読売演劇大賞 大賞・最優秀男優賞ほか。

取材・文・撮影:内田涼

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