知念英和の“眩しくて戻らない瞬間”「壁は、いつか自分を守る砦になる」
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知念英和 (撮影/キムアルム)
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すべて見るおひさまみたいな人だ。彼が笑うだけで、パッと周りが明るくなる。知念英和、20歳。地元・沖縄の太陽を目いっぱい光合成したような彼の輝きは、間違いなく誰かの沈んだ心を照らす灯台になっている。
けれど、自ら「ポジティブマン」と公言する彼だって、毎日が晴天なわけじゃない。曇り空もあれば、涙の雨に打たれたこともあった。それでも知念英和は言う――そのすべてがこれから自分が役者として輝くための道標になってくれる、と。
初の書籍『ひでのよんな~らいふ。』が発売中。主演を務めた『仮面ライダーガヴ』も無事にフィナーレを迎え、次なるチャプターをめくる新星に、今胸にあふれる想いを語ってもらった。
僕の芸能活動の原点となるような1冊になれば

――知念さんにとって初の書籍『ひでのよんな~らいふ。』が発売となりました。
このお仕事を始めたときから自分の本を出すことが夢だったので、形になってうれしいです! しかも20歳という人生の分岐点であり、僕にとっては『仮面ライダーガヴ』という大きなお仕事と向き合っている時期だったので、そんな貴重な瞬間の自分をこうして残せたことに、すごく意味があるんじゃないかなと思っています。
――この『ひでのよんな~らいふ。』は、アイドル誌『POTATO』の連載未公開カットなどをまとめたものに加え、知念さんの故郷・沖縄での撮り下ろし写真も新たに収録されています。
沖縄にはこの夏帰って撮影しました。ただの帰省じゃなくて、お仕事として沖縄に帰ってくるってちょっとカッコいいなと思いながら(笑)。家族はもちろん、久しぶりに友達に会えたのもうれしかったですし、これから僕の芸能活動の原点になるような1冊になればいいなと思っていたので、生まれ育った沖縄で撮ることができて本当に良かったです。

――慣れ親しんだ地元だから見せられた表情というのもありそうですね。
言葉に表すと、“開放”という感じでした。東京でお仕事をしているときは、カメラの前でもどこか仮面をつけているようなところがまだあるんですけど、沖縄だと自然体でいることができました。最後のほうに海に入っているカットがあるんですけど、もともと海に入る予定ではなかったんです。でも、カメラマンさんが「好きに動いていいよ」と言ってくださって。気づいたら頭まで全部入っていました(笑)。
――やっぱり沖縄の人間としては、海を見ると血が騒ぐところがあるのでしょうか(笑)。
騒ぎますよ!(笑) 僕もお仕事でいろんなところに行かせていただきましたが、沖縄の海は磯の香りが違うんです。慣れ親しんだ沖縄の海に「おかえり」と言ってもらったような気がしました。
――この本を持って、ファンのみなさんが聖地巡礼に行くとしたらどこがオススメですか。
やっぱりアメリカンビレッジですね。すごく有名な観光スポットなんですけど、街にいるだけで異国情緒を味わえるというか、海外に来た感じになれるんです。県内の高校生は車の免許を取ったら、ここにデートに来るのが定番でした。
――それ、同級生とかぶりません?
かぶります(笑)。でも、アメリカンビレッジはめちゃくちゃ広いので大丈夫です(笑)。
――あの観覧車で同級生がデートしているところと出くわしたら気まずそうです(笑)。
あの観覧車はカップルで一緒に乗ったら別れるというジンクスがあるので、県内の高校生はあえて避けるかも(笑)。撮影もデート風をイメージしたので、読者のみなさんには僕とデートしているようなシチュエーションを楽しんでいただけたらうれしいです。
「スタダコード大丈夫なの?」って思いました(笑)

――高校生といえば、制服姿もありますね。撮影はブレザーでしたが、知念くんは高校のときブレザーでしたか。学ランでしたか。
学ランでした。なのでブレザーにすごく憧れがあって、とても楽しかったです。アイスを食べるカットがあるんですけど、夏だったのですぐアイスが溶けてきちゃってスタッフさんと急いで撮影したのも思い出です。
――本当だ。アイスから水滴が垂れてます。
溶けるギリギリまで粘っていたのが伝わるカットになっていますね(笑)。制服もあと何年着られるかわからないですし、ファンのみなさんに制服姿をお見せする機会があまりなかったので、このような形で叶えられて大満足です。
――キュートな知念くんだけでなく、ちょっと大人っぽい知念くんの顔も収められていて。ジャケットスタイルのカットとか、とてもカッコいいです。
大人っぽさとゴージャスさと、こういう衣装に袖を通す機会がなかったのですごく新鮮でした。

――インナーは透け感があって、ちょっとセクシーな感じですが、最初に見たときはどう思いましたか。
まさかこんなに透けていると思っていなくて、出来上がった本を見て初めて知ったんですよ。「スタダコード大丈夫なの?」って思いました(笑)。
――スタダコード(笑)。無事にクリアしてよかったです。
もしかしたらこれが最初で最後になるかもしれません(笑)。県内のホテルで撮影したんですけど、シーツの上に寝転んだり、今まで出したことのない僕の一面だと思うので、ずっと応援してくださっている方が見ると驚くカットなのかなと思います。
――まさに20歳のこの一瞬にしか見ることのできない知念くんでいっぱいの1冊ですが、ご自身としては20歳になって大人になった実感はありますか。
ないですね。20歳になったからといってガラッと大人になれるわけではないと思っていたんですけど、生き方とか考え方とか、根っこの部分は何も変わっていないつもりです。
ただ、19歳から20歳になる1年間でたくさんのことを経験させていただいて、責任感や社会人として感じたこと、学ぶことが色々ありました。ですが、好奇心とか楽しむ気持ちとか少年らしさは忘れずに、さらに大人として成長していきたいなと思っています。
僕自身が活躍することで『ガヴ』に恩返ししたい

――やっぱりこの1年は『ガヴ』が大きかったですか。
そうですね。10代最後のタイミングで『仮面ライダーガヴ』への出演が決まって、右も左も分からない状態からスタートしました。役者としてもいろんなことを学びましたし、主演として立たせていただいて、ものづくりの難しさと楽しさを経験することで得たものはすごく大きかったです。
1年間同じ役を演じられる貴重な経験を新人の僕がさせていただけること自体、本当にありがたいことだったなって、撮影中も感じていましたが、撮影が終わって改めて実感しています。
――『ガヴ』、本当に素晴らしい作品でした。
うれしいです。こうして取材してくださる方からも「観てます」と声をかけていただくことも多くて、とてもありがたいです。この間イベントで上海に行ったんですけど、国を越えて海外でも『仮面ライダーガヴ』を愛してくださって、そんな作品に携わらせてもらえたことが本当にうれしいです。ぜひこれからも『仮面ライダーガヴ』をもっともっと愛してください! みなさんがずっと大切に思ってくださっていたら、また戻ってこられるように僕も頑張ります!厳しい現場で1年間成長させていただいた分、ここから僕自身が活躍していくことで恩返ししていきたいです。
――大きな作品を終えて、今まさに役者としてギアが上がっている感じですね。
はい! 素晴らしい役者さんたちを目の前で見てきて、自分ももっとこういうふうに演じてみたいという欲がどんどん出てきて、今がいちばんギアが上がっています。アフレコにも挑戦させていただいたのをきっかけにアニメを観るようになったんですけど、声優のみなさんの表現力に感動して。(『仮面ライダーガヴ』で酸賀研造役を演じた)浅沼晋太郎さんもそうですけど、リスペクトしている声優さんがたくさんいて、自分ももっと声だけで魅せられるようになりたいと思いました。
大きな目標としては、大河ドラマや朝ドラという国民的な作品に出ることです。でもそれだけじゃなくて、今はどんな役でもいろんな作品に携わらせてもらって、役者としてまだ見たことのない景色をたくさん見たいという気持ちがいちばん。一つひとつのお仕事に真剣に向き合って、一歩ずつ成長していきたいです。
第1話を撮ってる頃は、毎日泣いて帰っていた

――改めてご自身のお芝居を振り返ると、よく頑張ったなという気持ちと、まだまだだったなという課題と、どっちのほうがより大きいですか。
それはもう課題のほうが大きいです。観るといつもここが足りなかったなとか、この反省を次につなげなきゃと思うところが毎回あって、全然満足はできないです。でも、どの瞬間もそのときの自分がベストを尽くしてやったもので、そのときの自分にしか出せないものだから。それではそれでいいんだ、と思うようにしています。
――そんな知念さんの“眩しくて戻らない瞬間”はいつですか。
難しいですね……。いっぱいあるんですよ。でも今ひとつ挙げるとしたら、『仮面ライダーガヴ』の第1話を撮ってるときかなあ。とにかくがむしゃらでした。できない自分が悔しくて、毎日のように泣いて帰っていました。でも今となっては、全部かけがえのない日々だったなって。
まだまだ至らないところがたくさんあるんですけど、少しずつ経験を積んで、現場にも慣れてくると、自分のやっていることを当たり前のように思ってしまう。でも、当たり前だと思っちゃダメなんですよね。だからこそ、常に初心にかえって、何かできることはないかと探し続けなくちゃいけない。これからどんなに成長しても、常に謙虚な姿勢で作品のために何かできることはないかと考えられる役者でいたいなと思います。
――どんなに眩しい瞬間があっても、決して人はそこに戻ることはできない。でも、そんな不可逆の日々が道を照らしてくれることもあると思うんです。悔しくて泣いて帰った日々は、これからの知念さんにとってどんなものになると思いますか。
高校のときにお世話になった先生の言葉で今でもすごく覚えているのがあって。“どんなに高い壁も、いつか乗り越えたときに君を守ってくれる砦となる”とおっしゃっていたんですけど、本当にそうだなって。
この1年で僕はたくさんのことを培ってきて、次の現場で活かせるものもあれば、活かせないものもあるかもしれない。だけど、そのすべてがこれから自分が役者として輝くための道標になってくれるんじゃないかと思っています。やってきたことはきっと全部つながっている。そう信じて、これからも頑張っていきたいです。
グランプリを逃したことで、絶対に有名になるぞと決意した

――素敵なお話をたくさんありがとうございました。じゃあここからはちょっとライトな感じで。知念さんの演じたショウマは「二度と闇菓子に関わらないか。この場でオレに倒されるか」が決め台詞でした。ということで、究極の二択を用意したので、直感で答えてください。まず1問目。ゴキブリの出る部屋か、幽霊の出る部屋。住むならどっち?
(即答で)ゴキブリです! 沖縄って大きいゴキブリがたくさん出るんです。なんならおばあちゃんとか素手で捕まえたりする(笑)。だから、僕もゴキブリには耐性があって。それより幽霊のほうが危害を加えられるかもしれないので困ります。
――じゃあ、部屋にゴキブリが出てもキャーッてならないんですね。
ならないです。むしろ誰かゴキブリが出たときは呼んでくれたら退治しにいくんで任せてください!
――では次です。一生どちらかの街にしか住めないとしたら、東京と沖縄、どっちを選びますか。
一生東京です。沖縄のみなさん、ごめんなさい!(笑)でも、東京で役者として夢を追っていくと決めた以上、最後までやり遂げたいと思います。
――ちなみに上京してきたとき、「東京に来た〜!」と感じた街はどこですか。
渋谷ですね。ビルがいっぱい並んでて、人も多くて、東京って感じがしました。僕はオーディション(「第2回スター☆オーディション」)がきっかけでこの世界に入ったんですけど、そのオーディションがあったのも渋谷なんですね。でも僕はグランプリが獲れなくて、泣いて帰りました。そのときに見た街の風景は今でもめっちゃ覚えています。いつか絶対に有名になるぞって決意した日でした。

――恋人と親友が溺れています。どっちかしか助けられません。どっちを助けますか。
え〜。これはよく聞かれるやつですよね。うわあ、どっちを選んだらいいんだろう…。でもやっぱり親友かな。
――その心は。
親友って僕の中では存在が大きくてなくてはならないというか、何があっても自分の味方でいてくれる心の拠り所だと思うんです。安心して自分が自分のままいられる場所があるだけで、人生は豊かになる。僕にとって、親友はそういう存在です。
「カッコいい」「可愛い」より「面白い」がうれしい

――次の質問です。一緒にいたいのは、好きなことが同じ人ですか。許せないことが同じ人ですか。
好きなことが同じ人です。やっぱり好きなことで一緒に盛り上がったり熱中できるのって、人生における至福の時間じゃないかなと思うので。
――ちなみに知念くんが今いちばん好きなことはなんですか。
サウナです。あとはグルメ! おいしいものを食べるのが好きなので、友達や先輩とご飯に行く時間がすごく楽しいです。
――恋人にするなら、話はめちゃくちゃつまらないけど優しい人と、性格は最悪だけど話がめっちゃ面白い人。どっちがいいですか。
えー!! ……前者です。
――話、つまらないんですよ?(笑)
でも性格って直せない気がするんです。話がつまらないストレスと、性格が悪いことで感じるストレス、どっちがよりしんどいかなと思ったら、性格が悪いほうかなって。これはもう完全に消去法ですね(笑)。
――仕事で疲れて帰った日に、恋人が延々つまらない話をしてきたらどうしますか。
そこはもう右から左に(笑)。
――聞いてない!(笑)
それか、もう何も言わずに抱きしめる!(笑)
――それはそれでアリです(笑)。じゃあ一緒に住むなら、掃除がまったくできない人か、めちゃくちゃ潔癖症の人。どっちがいいですか。
潔癖症ですね。僕のほうが至らないところがあって嫌な思いをさせるかもしれないですけど、そこは僕が直そうと心がければいいことなので。あと、そもそも僕自身がわりと綺麗好きというか。トイレ掃除もちゃんとしますし、家が綺麗なほうが幸福も寄ってくるので、潔癖なのはいいんじゃないかなと。
――では最後の質問です。言われたいのは、「カッコいい」or「可愛い」?
「面白い」で(笑)。
――二択でお願いします(笑)。
え〜。クラスの女の子に言われたらどっちのほうがニヤけるかなと想像したんですけど、「カッコいい」かなあ。でもやっぱりそれより「面白い」で! オンリーワンに憧れるんですよ。なので、「ちょっと変だよね」とか「知念くんにしかないよね」と言われるのがいちばんうれしいです。
撮影/キムアルム、取材・文/横川良明
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2025年11月3日(月・祝) 23:59まで
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※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
<書籍情報>
知念英和『ひでのよんな〜らいふ。』
発売中
発行:株式会社ワン・パブリッシング
定価:3,300円(税込)/判型:B5判/ページ数:96ページ
https://one-publishing.co.jp/books/9784651205441/
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