加藤和樹が“かっこいい橋本さとし”を引き出す! 音楽ルーツを辿るコンサート『THE Roots』の魅力と新たな挑戦
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加藤和樹
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すべて見る歌手・俳優・声優としても活躍する加藤和樹が毎回さまざまな趣向でゲストアーティストのルーツを辿るコンサート『THE Roots2026』が、2026年2月7日(土)に大阪・住友生命いずみホール、2月8日(日)に東京・第一生命ホールで開催される。
2022年にスタートした『THE Roots』は、これまでに朝夏まなと、小野大輔と共演し、デュエットや朗読を交えつつゲストの知られざる一面を引き出してきた。4回目となる今回は橋本さとしをゲストに迎え、ロックやアニメ主題歌、王道ミュージカルまで幅広いレパートリーで、新たな魅力を引き出すことを狙う。
『THE Roots』誕生のきっかけや今回のコンサートに向けての意気込みなど、加藤に話を聞いた。
音楽の原点=ルーツを深掘りした『THE Roots』
――2022年にスタートしたコンサート『THE Roots』。なぜこのようなコンサートを開催しようと思ったのでしょうか?
普段、こうしてインタビューをしていただいて深掘りしてもらうことで、自分の音楽のルーツを再確認することがあるのですが、ミュージカルやいろんな作品で出会う方々の音楽のルーツって意外と知らないなと思ったんです。その方がどのようにこれまで歩んでこられて今に至るのか?そのルーツをコンサートという形で探ってみたいと思ったのがきっかけです。
あと、学生時代、カラオケブームだったので、タッキー&翼さんやKinKi Kids(現在:DOMOTO)さん、GLAYさんの曲をよく歌っていたのですが、そのカラオケがこのコンサートをするきっかけでもあるんです。
――というのは?
以前、ドラマ、舞台やミュージカルの打ち上げなどでカラオケのあるお店へ行くことがあったんですね。それまではミュージカル公演ならミュージカルの曲しか聞く機会がなかったけれど、カラオケだからみんないろんな曲を歌うんですよ。当然ながら皆さん上手いんですけど、世代が違うと歌う曲も違って、それが懐かしかったり新鮮だったり、自分が歌うよりもみんなの歌をずっと聞いていたいと思ったんです。この人はこういうジャンルの曲も歌うんだっていう新たな発見もあったりして、そのカラオケがめちゃくちゃ楽しくて。この感じを皆さんと共有できたらいいな、コンサート形式にしたら何かおもしろいことができるんじゃないかなと思ったんです。
――なるほど、それで『THE Roots』が誕生したんですね。
ゲストをお呼びして深掘りするというラジオ番組(『加藤和樹の深ボリRADIO!!』)を配信しているんですけど、その方の日常や音楽の話をいろいろと聞くんです。それもあって、ゲストの音楽の原点=ルーツを深掘りしてみようと、タイトルもシンプルに『THE Roots』にしてスタートしました。
ゲストの【色】で構成して本来のコンサートとは違った空間を演出
――1回目(2022年)、2回目(2023年)のゲストが朝夏まなとさん、3回目(2024年)のゲストが小野大輔さんでした。
朝夏さんは同世代なので聞いていた曲や流行っていた曲が一緒なんですが、来てくださるお客さまの世代はいろいろなので、僕たちのルーツを辿ることで、この時代はこんな曲が流行っていたよねという懐かしさや、曲を聞いていただくことで当時のいろんな思い出がよみがえったり、お客さまのルーツも再発見できたのではないかと思います。朝夏さんは元宝塚スターですが、とても気さくな方で、ご自身のコンサートでは見られないおちゃめな部分を引き出したいなと思っていました。小野さんとは“声優”というお仕事からご一緒する機会があって、案外似ている共通点があったのでそれを朗読にして構成にとりいれたり…。その方々の【色】があるので、本来のコンサートとはまた違った空間を演出することができたと思います。
――J-POPの曲やミュージカル曲など選曲はどのようにして決めたのですか?
コンサートの前に子どもの頃によく聞いていた曲や学生時代に流行っていた曲、歌ったことはないけれどこの機会に歌いたい曲などのアンケートを伺いながら、ゲストのルーツをその方にも当時を思い出してもらえるように、その時代の代表的な曲なども織り交ぜて選曲をしています。そうすることでお客さまにもより共有してもらえるかなと。あとは僕からも歌ってほしい曲や一緒に歌いたい曲などをリクエストしています。

――毎回、ゲストの方とのデュエットもとても聞き応えがありました。
ラジオで深ボリもしているので、具体的な意見交換をしていくと意外な共通点が見つかったりするんです。朝夏さんとの共通点はタッキー&翼さんで、若い頃からよく歌っていたのですが、一緒に歌ってくれる人がなかなかいなくて。二人で歌うことで初めて成立する曲じゃないですか?だからこのコンサートで歌うことができてすごくうれしかったですね。あとは「エリザベート」ですね。僕が大好きな作品なので、トートを演じたことのある朝夏さんにリクエストして、お互いに様々な役変わりをしながらメドレーを歌わせていただきました。僕がシシィになれたのはとても光栄でした(笑)
小野さんとの共通点は“雨”ということ。ラジオに出てくださった時に発覚したんですけど、小野さんは昔の僕以上に雨神様だったんです。雨にまつわるカバー曲をお互いに歌っていたり……。だったら“雨”を題材にした楽曲を入れて、オリジナルストーリーをつくり、小野さんに朗読してもらい僕が歌唱をするということをしました。ゲスト主体の構成なので、僕自身も楽しませてもらっています。
ゲストの新しい一面を見せようと考えた選曲と構成
――加藤さんがとても楽しんでいらっしゃったのが印象に残っています。
本当にめちゃくちゃ楽しんでいます。舞台や作品で共演しても親しい間柄になることってあまりないんですよね。でもお二人とも僕のラジオに出てくださって、その中で何か一緒にできたらいいねっていう話になったり、共通点が見つかったりすると一緒に何かやってみたいと思ったり。小野さんとはずっと二人でがっつりやってみたいという思いがあり、小野さんはオーケストラで歌うのは初めてということで、一緒に新しいものを作り上げていく楽しさがありました。
――確かに拝見していてとても新鮮な気持ちになりました。
お二人ともたくさんライブやコンサートをされていますが、せっかく一緒にやるんだったらゲストの知らなかった一面や新しい一面をお見せできたらいいなと思って選曲や構成を考えています。
懐かしいんだけど新しい、いろんな世代の方に楽しんでもらえるコンサートに
――何より贅沢なのはオーケストラをバックにして歌うということではないでしょうか?
本当に。ありがたいですよね。オーケストレーションは世界観が広がりますし、よりおもしろいコンサートになるんじゃないかなと。歌謡曲からミュージカル曲などいろんな楽曲を歌いますので、それらを表現するには小編成バンドではなくオーケストラのほうがお見せしたいものを作れるのではないかと思っています。
――オーケストラで聞く80年代のJ-POPは本当に楽しかったです!
でも、僕自身はタイムリーには見ていませんが、70年代、80年代にたくさんあった歌番組はビッグバンドの演奏で皆さん歌っていましたよね。
――そうですね、歌手の後ろでひな壇のように並んで演奏されていました。
このコンサートのオーケストラ=THE Roots チェンバーオーケストラの方たちは若い方が多くて、すごくノリが良くて協力的にやってくださるので、とてもおもしろいんです。オーケストラだからこその表現がありますし、形を変えることで懐かしいんだけど新しいと感じてもらえるんじゃないかと思います。そういう意味では、いろんな世代の方に楽しんでもらえるコンサートになっていると思います。
単純に“かっこいい橋本さとし”を見たいと思った
――そして今回のゲストは橋本さとしさんです。
プライベートでも仲良くしてもらっているんですが、ミュージカル『カム・フロム・アウェイ』、『ラブ・ネバー・ダイ』と続けて共演させてもらって、とにかくおもしろい!大先輩だからこそルーツを知りたいなと思いましたし、さとしさんは基本ロックなのでミュージカルではないさとしさんの本気を見たいなと思ってお声がけさせていただきました。単純に“かっこいい橋本さとし”を見たいと思ったんです。普段からかっこいいんですけどね。
――加藤さんから橋本さとしさんはどんな方ですか?
う〜〜ん、ひと言では難しいんですが、カッコよくておもしろくてとにかく優しい方です。僕も人に腹を立てたりすることはあまりないんですが、さとしさんが怒っているところを見たことがなくて、こういう大人、こういう先輩になりたいと思わせてくれる方です。あとはなんと言ってもあの深みのある優しい声が大好きなんですけど、芝居になるとその深みがグッと増す感じが堪らないです。ずっと目標にしていきたい方です。
――では、橋本さとしさんの音楽のルーツはロック?
もう絶対ロックです。海外のロックバンドのライブにも足を運んでいるという話を聞きましたし、実際にロックを歌っているさとしさんを見てみたいですよね。ただロック以外にもさとしさんが好きなアニメがあるので、その主題歌を中心にアニメソング歌ったらおもしろいんじゃないかなと思っています。僕が一緒に歌いたいんですけどね。
――女性のお客さまが多いと思うので、女の子がよく見ていたアニメの主題歌なんてどうでしょう?
あぁ〜なるほど!アニメって男女関係なく好きですよね、いろんな作品があって。二人の年齢差が20歳なんですが、その時代は誰もが歌えるアニメソングがあったので、男女関係なく楽しくなりますね。もちろんJ-POPも歌いますしデュエットもしたいですし、ミュージカルナンバーも歌いたいし。ラジオに出ていただいた時に聞いたのですが、『レ・ミゼラブル』に出演した3日後に『ミス・サイゴン』に出演したという……すごくないですか!? そんな王道のミュージカルナンバーも絶対に歌ってほしいと思っていますし、一緒に歌えたらうれしいですね。
「加藤和樹系橋本さとし」って何?
――ロックにアニメソングにJ-POPにミュージカルナンバー、盛りたくさんですね!
具体的にはこれからなのでどうなるかまだわかりませんが、いろいろと考えていますので楽しみに待っていてくれたらと思います。誰よりも僕自身が楽しみにしていますし、トークも絶対におもしろいと思うので。
――さとしさんワールドに飲み込まれないようにしないといけませんね!
以前、ラジオ出演時やコンサートの告知文のコメントに「加藤和樹系橋本さとし」って書いていたので、逆だなと思って言ったら「いや、ちゃうねん」とだけ言われたんですけど、何が違うんだろうと……(笑)。さとしさんの人を巻き込んでいくエネルギーやその場を持っていく力は天性のものだと思うんです。そしてあの声の引力ですよね。あの声で喋り出すとすごく安心感があるし、そしておもしろい。ずるいですよね〜、みんな、さとしさんが大好きですから。
――後輩の面倒見も良さそうですね。
もうめちゃくちゃ良いです。大先輩ですので、変な言い方になってしまうかもしれないのですが、対等に接してくれるんです。それがどんなにうれしいことか。後輩やアンサンブルのみんなにナチュラルに突っ込まれる先輩ってあまりいないですよ。年齢差も感じさせないですし、懐がとても柔らかくて大きい素敵な大先輩です。
――稽古場の様子が見えるような気がします。
さとしさんのすごいところはできないことはできないとちゃんとおっしゃるんです。先輩風を吹かせてできるように装うこともできると思うんですけど、全くカッコつけないところがカッコ良い。稽古中はカッコ悪いところも全部見せるし、恥をかくところだと言うその強さがすごいなと思います。そして本番では素晴らしい芝居をされます。そういうところは劇団☆新感線で培ってきたものじゃないかなと思います。未だに劇団☆新感線に出るのは緊張するって言っていましたから。
――キャリアを重ねてこられたさとしさんなりの後輩へのメッセージなのかもしれませんね。
はい、そう感じますね。稽古場でカッコつけても意味がないっていうことをさとしさんから学びました。そんなところまで見せてもらってもいいのかなって思うくらいすべてを見せてくれますし、そういった空気感を作り出せるのがさとしさんだなと思います。
さとしさんワールドに翻弄?僕が一番被害を受けるかも
――そんな素敵な大先輩と二人だけでコンサートを行います。
念願でしたので僕自身が一番楽しみにしていますし、さとしさんワールドに翻弄されて、一番被害を受けるかもしれません(笑)
――そうなんですよ、さとしさんに翻弄される加藤さんが見られるのではないかとちょっとそこも楽しみです。
いやあ〜僕もどんな自分が出てくるのかがわからないんですよね。ラジオに出てくださった時も感じたのですが、やはり一筋縄ではいかないと思いますし、どう出てくるかわからない、その読めそうで読めないところがとても魅力的だと思います。僕はホストなので飲み込まれないように、さとしさんの新しい魅力を引き出せるようにがんばりたいと思います。
――加藤さんがホストとしてがんばろうとすればするほど、さとしさんがぶち壊しにくるような気もしなくはないのですが……
はい、僕の腕が試される時がきたように思います!
――『THE Roots』4回目にして新たな局面を迎えますね!
ちょっと大きすぎる壁のような気もしますが、何が起こるのか僕自身がとても楽しみにしていますし、あの深みのある声でいろんな曲を歌っていただこうと思っています。さとしさんのルーツを皆さんと共有したいですし、このコンサートでしか味わえない橋本さとしを引き出したいと思っていますので、僕がうまく立ち回れるのかも合わせて楽しみに見に来ていただけたらと思います。
取材・文:真名子陽子
<公演情報>
アーティストのRootsを辿るコンサート
『THE Roots2026~Kazuki Kato × Satoshi Hashimoto~』
出演:加藤和樹 橋本さとし
指揮:山下康介
演奏:THE Roots チェンバーオーケストラ
【大阪公演】
2026年2月7日(土) 15:00開演(14:30開場)
会場:住友生命いずみホール
【東京公演】
2026年2月8日(日) 13:30開演(13:00開場)/17:30開演(17:00開場)
会場:第一生命ホール
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2562533
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