8年ぶりの来日公演が間もなく開幕 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団『Sweet Mambo』
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Photo: Karl-Heinz Krauskopf
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すべて見る2009年に急逝した振付家、ピナ・バウシュが率いたヴッパタール舞踊団、8年ぶりの来日公演が埼玉、京都で実現する。上演されるのは、日本初上演となる『Sweet Mambo』。ピナの最愛のダンサーたちが踊り継ぐピナ最晩年の作品に、多くのファンが熱い眼差しを向けている。
1940 年、ドイツ・ゾーリンゲン生まれのピナは、ドイツ表現主義ダンスの巨匠、クルト・ヨースに学んだのち、1971年にヴッパタール・バレエ団に振付家として招かれた。その後バレエ団はタンツテアター・ヴッパタール(ヴッパタール舞踊団)と改称、芸術監督に就任したピナは、ダンスと演劇との既成の概念を超えた斬新かつ衝撃的な話題作を次々に手がけ、『春の祭典』、『カフェ・ミュラー』、『コンタクトホーフ』をはじめとする数々の作品で多くの観客を魅了した。

来日公演もたびたび行い、2004年には彩の国さいたま芸術劇場にて『天地 TENCHI』を共同制作、2007年の京都賞受賞も大きな話題に。その死後は、映像作品、たとえばピナのもとで『コンタクトホーフ』の上演に挑むティーンエイジャーたちの姿を捉えたドキュメンタリー『ピナ・バウシュ 夢の教室』、や、ヴィム・ヴェンダースによる映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』などで、彼女の温かみあふれる美しいダンスの世界に触れ、その不在による心の穴を埋めてきた。舞踊団の来日公演は2017年の『カーネーション』以来。ピナとともに創作を重ねてきたダンサーたちの生の舞台に再び触れたいという願いが、ようやく叶う。


『Sweet Mambo』が初演されたのは2008年。その後、ピナの没後初めてヴッパタール舞踊団に新作を振付けたアラン・ルシアン・オイエンをアーティスティック・ディレクションに迎え、2022年に再演。初演時のダンサーたちが集い、当時入団22年目の瀬山亜津咲、またピナの助手を務めたロベルト・シュトゥルムがリハーサル・ディレクターを担った。
再演にあたりオイエンは、ピナが『Sweet Mambo』の創作過程においてダンサーたちに質問した内容を、もう一度彼らに投げかけたという。ピナ亡き後も彼女の遺志を踊り継ぐ初演時のダンサーたち(再演にあたり、一部出演者の入れ替わりあり)が、オイエンと共にピナからの問いと再び向き合い蘇らせた。英・ガーディアン紙の評は、「ピナはもはやここにいない。にもかかわらず、ヴッパタール舞踊団のダンサーたちの目、声、そして心の中に、彼女は存在している」と星5つで絶賛。



舞台ではたびたび、「忘れないで」という言葉が発せられるという。キャストには、古くからのファンにとっては懐かしいダンサーの名前も。新たなダンサーたちも加わって、あらためて紡ぎ出されるのは、ピナからダンサーたちへの、そしてダンサーたちからピナへの惜別の歌のような、温かな愛にあふれたステージ。心震える体験が待っている。

文:加藤智子
<公演情報>
ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団
『Sweet Mambo』
演出・振付:ピナ・バウシュ
出演:ヴッパタール舞踊団
アンドレイ・ベレツィン、ナオミ・ブリトー、ナヨン・キム、ダフニス・コッキノス、レジナルド・ルフェーブル/アレクサンダー・ロペス・グエラ、エレナ・ピコン、ナザレット・パナデロ、ジュリー・シャナハン、ジュリー・アン・スタンザック、アイーダ・ヴァイニエリ
【京都公演】
2025年11月21日(金)・22日(土)
会場:ロームシアター京都 メインホール
京都公演チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2563203
公演情報:
https://rohmtheatrekyoto.jp/event/134435/
【埼玉公演】
2025年11月27日(木)〜30日(日)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
公演情報:
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/104660/
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