「立川立飛歌舞伎特別公演」が華やかに開幕! 中村壱太郎、尾上右近、市川團子の両宙乗りで観客から大喝采
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「立川立飛歌舞伎特別公演」『新説 小栗判官』(宙乗り左より)小栗判官=市川團子、照手姫=中村壱太郎、素戔嗚尊=尾上右近 (C)松竹
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すべて見る2025年10月23日、東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN(立川ステージガーデン)にて「立川立飛歌舞伎特別公演」が開幕した。
立飛グループ創立100周年記念事業の一環で開催される本公演は今年で3回目の実施となる。開幕を前に、10月19日には出演俳優たちが登場する「開幕記念お披露目会」が行われ、会場から隣接する緑町公園特設ステージまでを練り歩き、多くのギャラリーを沸かせた。また、初日前日には「地元幼稚園児の舞台見学会」も開催したりと、地域の人々に寄り添い、立川を訪れる人々を温かく迎える公演として定着しつつある。今年も、市川中車、中村壱太郎、市川團子、市川猿弥、市川笑也、市川笑三郎、市川青虎らが出演。舞台上のようすを生で映し出す大型LEDビジョンや規格外の高さの宙乗りなど、大規模会場ならではの魅力あふれる歌舞伎を届け、満席の会場を大いに沸かせた。
舞台は中車による挨拶に始まり、続いて壱太郎と團子が上演演目を解説。壱太郎は2023年の初回から毎年出演、團子は2年ぶりの出演だ。今年の最初の演目は、『連獅子(れんじし)』。能の『石橋』をもとに親子の情愛を描いた人気舞踊だが、壱太郎がその概要を解説すると、團子が以前勤めたときの経験を、「獅子になって激しい毛振りをする後半より、前半の踊りが大変だった」と振り返る。
後半の『新説 小栗判官(しんせつ おぐりはんがん)』については、大型ビジョンに人物相関図を映し出し、初めて鑑賞するという人にもわかりやすく作品の魅力をアピール。小栗判官/浪七を演じる團子が「この年で勤めさせていただくとは夢にも思っていませんでした。身の引き締まる思い」と意気込むと、照手姫を演じる壱太郎も「私も負けないようにヒロインを勤めていきたい」と意欲を示し、期待感を煽る。その後舞台には立飛グループのキャラクターであるたっぴくん・たっぴちゃんも登場、写真撮影タイムが設けられ、客席に笑顔をもたらした。
『連獅子』では狂言師右近後に親獅子の精を尾上右近、狂言師左近後に仔獅子の精を藤間勘十郎の長男で小学6年生の藤間康詞が勤め、力強い踊りを披露。TACHIKAWA STAGE GARDENの大きな空間にそのエネルギーを届けた。法華の僧蓮念は青虎、浄土の僧遍念は猿弥。
休憩を挟んで上演された『新説 小栗判官』は、三代目市川猿之助(二世市川猿翁)により復活上演された『當世流小栗判官』をもとに、新たに藤間勘十郎が脚本・演出・振付を手がけたもの。猿翁が当たり役としていた小栗判官と浪七に挑む團子は爽やかかつ勇ましい姿で、また照手姫の壱太郎はか弱さと芯の強さを滲ませるヒロイン像で、客席の熱い視線を集めた。
横山大膳を演じる中車の悪役ぶりも、大型ビジョンの迫力の映像との相乗効果でドラマを盛り上げる。壱太郎と團子が白馬に乗っての宙乗りは、この会場でしか実現し得ないスケール感だが、さらに素戔嗚尊役の右近も加わった両宙乗りの場面では大雪も降って客席の雰囲気は自ずとヒートアップ。俳優たちの熱演とともに次々と放たれるさまざまな仕掛けで、歌舞伎の楽しさを多くの人に届ける公演となった。
「立川立飛歌舞伎特別公演」は2026年の実施も決定。歌舞伎を極上のエンタテインメントとして気軽に楽しめる場がこの地に根付いてきたことを実感させた。
取材・文:加藤智子
<公演情報>
立飛グループ創立100周年記念事業
立川立飛歌舞伎特別公演
ご挨拶・解説
ご挨拶:市川中車
解説:中村壱太郎 / 市川團子
河竹黙阿弥 作
『連獅子(れんじし)』
狂言師右近後に親獅子の精:尾上右近
狂言師左近後に仔獅子の精:藤間康詞
法華の僧蓮念:市川青虎
浄土の僧遍念:市川猿弥
『當世流小栗判官』より
藤間勘十郎 脚本・演出・振付
『新説 小栗判官(しんせつ おぐりはんがん)』
中村壱太郎 尾上右近 市川團子 宙乗り相勤め申し候
小栗判官/浪七:市川團子
照手姫:中村壱太郎
鬼瓦の胴八:市川猿弥
遊行上人:市川青虎
万長後家お槇:市川笑三郎
浪七女房お藤:市川笑也
万長娘お駒/素戔嗚尊:尾上右近
横山大膳:市川中車
2025年10月23日(木)〜10月26日(日)
会場:東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN
公式サイト:
https://tachihi100.jp/kabuki2025/
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