【つきみ主催ライブ『Mwah!』対談・第2弾】ににちゃん(つきみ)×サクラ&ワキタルル(ちゃくら)が明かすお互いの存在とツーマンへの本音
音楽
インタビュー
左から ワキタルル(ちゃくら)、ににちゃん(つきみ)、サクラ(ちゃくら) Photo:sakawa hikari
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すべて見るText:吉羽さおり Photo:sakawa hikari
つきみによる3カ月連続主催ツーマンライブ『Mwah!』の第2弾が、11月13日(木)渋谷Spotify O-Crestで、4ピース・ガールズバンドちゃくらを迎えて開催される。恋愛や誰かと思い合うことの難しさや、自分の不器用さをリアルにキャッチーに綴った曲が共感を呼び、結成3年を迎えた今年キャリア初となるフル・アルバム『いびつな愛ですが』をリリースしたちゃくら。今回の3カ月連続企画では唯一つきみの後輩となり、サクラ(vo/g)とワキタルル(b/cho)によれば、つきみの古参ファンだと語る関係性だ。何度も対バンはしているが、こうしてツーマンでとなると約1年ぶり。それぞれバンドとして苦難もあり、経験を栄養にしながら過ごした時間を経て向かい合うステージとなる。このライブを目前に、出会いから互いの存在についての話を聞いた。
──つきみとちゃくらとの出会いはどういう感じだったんですか。
ににちゃん ちゃくらを組む前から、ふたりはライブに来てくれていたんです。
ワキタルル そのときのライブの物販で、ににちゃんに「好きです!」って言ったのが初めましてでした。
サクラ ワキタが、「今、好きなガールズバンドいるんだよね」って教えてくれたのがつきみだったんです。学校が八王子だったんですけど、つきみが八王子でライブをするってなったから、ふたりで観に行ってみようよとなって。私はインディーズのバンドのライブを観るのが、つきみが初めてでした。

ににちゃん つきみをはじめて1年目とかだったのかな。そのときのライブ、フロアに5人くらいしかいなかったですけど、そういうときから来てくれていたんですよね。
サクラ 私はライブハウスに行くのも初めてだったから。すべてが新しく見えたし、かっこいいなって思いましたね。
ににちゃん 結構やばかったよ、あのときのライブ(笑)。
サクラ 何歌っていたかも覚えてますもん。あのときに聴いた「さよなら春」がずっと忘れられなくて、そこからもずっと聴いていて。昨年最後に対バンしたときにリハで「さよなら春」やってくれて。久しぶりに聴けたって思って泣いちゃって。
ワキタ 対バンでは毎回のように泣いてるよね。「ガールズバンド」とか「さよなら春」は思い出が詰まっているのももちろんですけど、この曲がつきみというバンドに出会わせてくれて、自分たちが今ガールズバンドをやっていて、こうしてつきみと一緒にライブをやっている──っていう思いが全部が重なって泣けるんですよね。舞台袖で、体育座りして聴きながら泣いていました。
ににちゃん そもそもつきみのことは、どこで知ったの?
ワキタ 最初はSNSでした。八王子のバンドを調べていたときに、関連みたいな感じで出てきて。それで聴いてみたのが『オトコ一瞬ダチ一生』で。
ににちゃん 1st EPだ。
ワキタ 聴いてめっちゃ好きになって。ににちゃんが作ることにめっちゃ意味がある曲だなと思うし、私たちも恋愛脳だから刺さるところがすごく多くて。
──こうして活動初期からお客さんとしてライブを観てくれていた人たちが、バンドを組んで、こうして対バン、ツーマンをするっていうのは熱いものがありますね。
ににちゃん 本当にそうですよね。ふたりがバンドをはじめたと聞いて、曲聴こうって思ったら、めっちゃ売れてるやんっていう(笑)。すごい先輩風吹かせちゃったなって思ったけど。

ワキタ そんなことないです(笑)。つきみには我々の初めての自主企画にも出ていただいているので、ちゃくらのバンドの歴史に最初からいてくれる存在なんです。
サクラ 初めて見つけたガールズバンドのかっこいい先輩だったから。憧れていたし、羨ましいと思うところもあったし、ずっと追いかけています。
──普段、先輩のバンドとしてににちゃんに相談事をすることもあるんですか。
ににちゃん ほとんど恋バナですね。
ワキタ 前の打ち上げもずっと恋バナしてたよね。逆にサクラは、恋バナとかしていてもににちゃんと恋愛観が違うじゃん? つきみのどういうところにグッときたの?
サクラ 女の子のイタいところとかかわいいところ、悲しいところ、全部わかるなっていう歌詞なので、恋愛観が全然違うなっていうのはないんですけど。お客さんを大切にする感じとかがすごい好きだなって。
ワキタ 愛を感じるよね。
サクラ その愛し方が、私は好きなんです。
──ににちゃんは、ちゃくらというバンドやその曲にどんな印象を持っていますか。
サクラ それ知りたい。
ワキタ っていうか、聴いてくれていますかちゃくらの曲。
ににちゃん めっちゃ聴いてるよ、歌えるから!
サクラ しゅかちゃん(つきみ・ds)に、「ににちゃんが機材車でちゃくらの曲流してるから知ってるよ」って言われて。嘘つけって思っていましたけど。
ににちゃん めっちゃうまいから(笑)。「19歳」とかもシンガロングできるし、「あいつ」とかもいいよね。恋愛観としては似ているところも、ありそうじゃないところもありなのかなって思っているんですけど。いい意味で、ちゃくらのことは全然後輩じゃなく、ライバルだと思っているので。ちゃんと新譜もチェックしています。
ワキタ わお!
ににちゃん それこそ曲を書いてるルルちゃんも、女の子にしか書けないことを歌っているなって思うし。これ、つらい思いがあるのかなって思うし。自分もメロディは意識して作っているから、メロがキャッチーなのはいいなってなるし。「アイビー」とか「ユスリカ」もめっちゃいいよね。
サクラ・ワキタ えー、これはマジだ。

ににちゃん わかりやすいだけじゃなくて、いろいろ考察したくなる歌詞を書いているのもいいなって思う。
──ワキタさんは歌詞を書くときは、自分の体験や出来事が反映する感じですか。
ワキタ そうですね。フィクションとか想像で書いたことがほぼないです。最初の「海月」からずっとそういう感じで、自分がデートに行った、海月を見に行った、それで「海月」という曲を書いたみたいな。結構そこからはじまって、実体験を書いているという感じですね。
──サクラさんはそこをどう解釈して歌っていくんですか。
サクラ 解釈というか、その曲がどうやって生まれたのかが言えない曲がないというか。ワキタがなんでも話してくれるんですよ(笑)。昨日こういうことがあって、悲しくてとか言っていた1週間後に曲が生まれていたりして。曲の歌詞の一部を見たら、これはあのことねって全部わかるので。ストーリーテラーとしてルルの話をいかにうまく伝えるかは意識しています。
ワキタ 私がおしゃべりなんですよね。スタジオとか機材車とかでも、聞いて聞いて!ってなんでも喋っちゃうんです。それが曲になってるから、4人の解像度は同じくらいのベクトルであるのかな。
──そこは、つきみも同じような感覚がありそうですね。
ににちゃん 言ってます。この曲はここがこうでこうで、こういう気持ちで作ってたとか。自分もおしゃべりだから、しちゃうかな。嘘つけないしね。
──ソングライティングでは胸に秘めた思いを曲として形にすることは多いと思いますが。みんなに話をして、そこで怒ったり笑ったりを共有して、さらにまた曲にもなっていくアウトプットの仕方は女の子らしいところでもありますね。
ワキタ 人に話すことで自分の気持ちや考えが整理される感じがあるんですよね。みんなに話したことを改めて自分で整理したり、言葉に起こすことで曲になっているのかなっていう、そういうループなのかなって思うんです。

──実際そうやって曲が完成したとき、気持ちとしてはどういう感覚になるんですか。
ワキタ 成仏っていう感じ、南無〜みたいな(笑)。書いたら結構すっきりするタイプではありますね。
──ににちゃんはどうですか、曲にしたことで心のつっかえは取れたりするものですか。
ににちゃん いいえ。
ワキタ・サクラ (笑)。
ににちゃん 歌うたびに思い出すんですよね。歌にしてしまった以上、どうしても思い出しちゃう感じがあって、仕留めきれてないのかな?
ワキタ たしかに、ライブでは思い出さないわけがなくて……。
サクラ 私が歌ってると隣で泣いてたりするんですよ。ひとりで思い出して。
──ワキタさんとサクラさんの話している感じを聞いていると、すごく賑やかで本当に友達同士という感じがありますね。その関係性っていうのは、バンドをはじめてからもずっと変わらずですか。
ワキタ ずっとこうですね。仕事仲間以前に友達っていうのがあるので。何の楽器をやっているとか知らないというか、まず私が仲良くしたい人とか、好きな人たちを集めたから。それはずっと根本にあります。
──結成から3年という時間を一緒に過ごしてきて、バンドとして芽生えてきた思いはありますか。
ワキタ 信頼ですかね。
ににちゃん それは、大事だよ。
サクラ たとえぶつかり合っても関係を高め合えてる気がする。
ワキタ ケンカはあまりしなくて。ただ、すごく静かなミーティングみたいなものはするんです。友達同士である面と、本当に大事だと思っているからこそ、お互いここは直さなきゃいけないみたいなことはビシッと言う。そのメリハリは大事だったなと気づきましたね。

──つきみの場合は、メンバーとはどういう関係性ですか。
ににちゃん 友達ではないですね、“メンバー”です。でも家族より大事。メンバーって、ただの仕事仲間ともまたちがって、つきみというバンドそのものと同じくらい大切で。ケンカっていうのはしないんですけど……ただ、自分がめっちゃキレてたりはするかな(笑)。
サクラ 鬼教官になるんだ。
ににちゃん 基本的にバンドの進み方とか決めることは自分がマネージャーと話して、こういうふうに進めるんだけどいい?って感じなので。ふたりは一歩引いて見てくれてるというか。でもまちがえそうになったら糺してくれて。
ワキタ それはめっちゃわかります。
ににちゃん メンバー全員でこうっていう感じではないから、ちょっと他のバンドとは違うかもしれないです。自分のことを支えてくれているイメージですね、つきみは。
ワキタ 結構近いかもしれない、私も結構暴れ馬タイプなので。
サクラ そうだね。
ワキタ それを他の3人が首輪をクッと引っ張ってブレーキをかけてくれて、危ない危ない行き過ぎだったっていうのがあったりするから。それは4人それぞれがやっているので、均衡は保たれている気がします。
ににちゃん 私は暴れ馬ではないよね?
マネージャー いいえ。
ワキタ・サクラ 爆笑。
ワキタ じつはしゅかちゃんが、ににちゃんにでっかい首輪つけて操ってるのかもしれない。
──ツーマンが楽しみではありますが、普段打ち上げなどでは聞けない、このインタビューの場だからこそ聞きたいこと、伝えたいことはありますか。
ワキタ 我々ちゃくらは、つきみのなかでどういうポジションにいますか。
ににちゃん 本当に後輩だと思ってないから。ライバル。ガールズバンドだっていうことでちょっと身構える感じもあるし、早く追い越さなきゃなって思うし。でも多分、立ち位置や目指しているものは違うと思うんですよね。

サクラ いつも一方的に好きですって言ってるから、初めてここまで聞けたかもしれない。
──ににちゃんとしては、目指すところは違うと感じているんですね。
ににちゃん ちゃくらのライブを観ていると、“ロックバンド”として目標を持って進んでいるんだろうなと思うので。そこがかっこいいなと思うんですよね。つきみはジャンルが難しいところで、どこにも属せない感じがあるから(笑)。自分たちで築いていくしかないんですけど。
──ちゃくらは12月にはZepp公演も決まっていますが、今バンドとして目指すもの、目標とするステージなどはありますか。
ワキタ 各々がこのハコに立ちたいんだというのを持っているとかでもなくて、頑張っているものが大きくなっていったらいいよねという感じなんです。この先が自分たちがどういうハコを埋めていくんだろうとかよりも、どういうバンドになりたいかを考えるんですけど。
ににちゃん どういうバンドになりたいの?
サクラ 昨日考えたやつ話せば?
ワキタ ちょっとメモを──これ昨日確信して、朝5時くらいにチームのLINEグループに送ったんですけど(笑)。私たちのやりたい音楽は、生きづらくてもそんな自分を愛せるようになりたいと思う4人が、嘘のない言葉で心の痛みを鳴らす、それがちゃくらっていう。
ににちゃん いいね。キャッチコピーみたいな感じだ。
ワキタ これまで、どういうバンドになりたいかとか目標はなんだろうとか考えたときにぼんやりとしていて。それが理由でどういうライブをしたらいいか、どういう曲を作ったらいいのかがわからなくなったときがあったんです。もう一度ちゃんと考え直そうっていう期間が、つい最近まであって。そのなかで出した答えだったんですよね。
ににちゃん とってもいいと思う。
──それが明確に言葉になってからのライブって絶対に変わりますよね。
ワキタ 4人が同じものを心に留めてできたら、外れないはずだから。そこが大事かなと思います。つきみも何かそういうものはあるんですか。
ににちゃん ないかな。嘘をつかないっていうくらいかな?
ワキタ 私はガールズバンドの方が信じられるなって思うんです。だからガールズバンドが好きで、ガールズバンドをやりたいって思ったんですけど。ににちゃんも然り、歌詞に嘘をつかないでくれるんですよね。それがすごく信じられるんです、言葉の重みが違うから。
ににちゃん 曲は自分のために書き続けようと思うんですよね。お客さんのためにとか、これを歌ったら受けるんでしょ?じゃなくて、自分の歌いたいことしか歌いたくないからなのかな。その筋を通すっていうだけ、やりたいことをやるというだけなんですよね。

──それでは最後に、11月13日(木)渋谷Spotify O-Crestでのツーマン『Mwah!』への意気込みを聞かせてください。
ワキタ つきみは、我々の3年という短い歴史のなかにすごく濃くいる存在だから、それをちゃんと出せるようなライブ、こういうストーリーがあってツーマンができるというこの幸せを表現したいなって思います。元々私たちライブのSEがつきみだったんですよ。
ににちゃん うれしいことにね。
ワキタ そのくらい本当に大好きで。そういうのも全部踏まえた愛のあるライブをしたいですね。
サクラ 昨年から今年にかけてちゃくらもつきみも、きっといろんなことがあったと思うんです。それを経たつきみとちゃくらのツーマンは自分でも胸熱な気がしているし。今のちゃくらをつきみに見てほしいっていうのがあるし。つきみを見たいっていうのもあるので。すごく楽しみです。
ワキタ 多分前回対バンした時期は、我々は3人で活動をしていたので(ドラムの葉弥が療養のため一時活動を休止)、4人のちゃくらでつきみと対バンするのは本当に久しぶりなんです。ちゃくらの本領発揮できる状態で、大好きな先輩だからこそ、自分たちをぶつけられるなって思います。
ににちゃん うれしいなあ。
ワキタ つきみのお客さんにもちゃくらに出会ってほしいなと思うし。私たちのお客さんにもつきみという大好きな先輩がいるっていう紹介をしたいです。
ににちゃん ちゃくらは本当にかっこいいので、つきみのお客さんにも絶対に観てほしいです。好きなものは共有したいしね。ちゃくらが今まで観たつきみのライブでいちばんいいライブができたらいいなって思います。
ワキタ かっこいい!
サクラ そういうところが好きです。

<ライブ情報>
3カ月連続主催ツーマンライブ『Mwah!』
■10月30日 東京・下北沢SHELTER ※終了※
ゲスト:レイラ
■11月13日(木) 東京・渋谷 Spotify O-Crest
開場 18:30 / 開演 19:00
ゲスト:ちゃくら
■12月17日(水) 東京・新宿LOFT
開場 18:00 / 開演 19:00
ゲスト:炙りなタウン
【チケット情報】
前売 3,500円 / 当日 4,000円
※入場時ドリンク代が必要
https://w.pia.jp/t/tukimi-mwah/
関連リンク
つきみ 公式サイト:https://tukimi.bitfan.id/
ちゃくら 公式サイト:https://lit.link/chakura0617
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