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齊藤工「映画は国境を越える手立て」 第38回東京国際映画祭、審査委員5名が語る映画の未来と多様性

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第38回東京国際映画祭 審査委員記者会見より (C)2025 TIFF

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10月27日より日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催中の第38回東京国際映画祭。10月28日(火)には審査委員記者会見がTOHOシネマズシャンテで行われ、カルロ・シャトリアン、齊藤工、グイ・ルンメイ、ヴィヴィアン・チュウ、マチュー・ラクローが登壇した。

本映画祭は11月5日(水)までの10日間にわたり開催。今回のコンペティション部門では、世界100カ国以上から集まった約2,000作品の中から選りすぐられた15作品が上映される。

審査委員長を務めるシャトリアンは「東京に戻ることができ、東京国際映画祭に参加できてうれしいです。長年映画祭で仕事をしてきましたが、映画祭は私たちの視野を広げてくれ、世界をよりよく理解できるように伝えてもらえるありがたい存在です。そして今日、いろいろなニュースやストーリーを知り、お互いを理解することが大切です」と映画祭の意義についてコメント。

カルロ・シャトリアン

審査委員のひとりである齊藤は「この素晴らしい4名と審査委員という形で携われて興奮していると同時に、毎年この時期には東京国際映画祭で映画に浸かるということが日常になってきていたので、映画ファンとしてこの大役を務めていきたいと思います。100カ国以上、約2,000作品から選りすぐった15作品を5人の審査委員、5つの心を持って選んでいきたい。今後と映画祭がどのような方向に向かっていくのか、そういった兆しに参加できたらと思います」と抱負を明かした。

齊藤工

同じく審査委員のルンメイは「今回、東京国際映画祭の審査員として選出され、光栄です。コンペのリストを見ましたが、とても興奮しております。世界各地の映画が選ばれ、ジャンルも異なり、我々としてはクリエイターがどのように映画を作っているのか知ることができる。バッググラウンドの違う方々と審査するという経験は私にとって忘れがたいものになるでしょう」とコメントした。

グイ・ルンメイ

チュウは「大変うれしいことに東京国際映画祭に市山さんのご招待を受けて審査委員として仕事をすることになりました。このメンバーですが、主席をはじめだんだんと知り合ってきているので、とても楽しくすることができると信じています」と審査委員に選ばれた喜びを表現した。

ヴィヴィアン・チュウ

ラクローは「この度は、審査委員に参加できることを光栄に思います。過去2年間、東京国際映画祭では素晴らしい体験をしました。作品を見ながら会話をしながら、楽しい時間を過ごすことを心待ちにしています」とコメントした。

マチュー・ラクロー

記者会見ではさまざまな質問が投げかけられた。ロカルノやベルリンなど他の映画祭に携わった経験のあるシャトリアン委員長は、東京国際映画祭について「東京国際映画祭には過去2回参加しました。コロナ前はいろいろな上映会に参加することができましたが、前回は、コロナ禍中で、あまり多くのことを見ることができなかった。プロとして、今回はより全体的な経験ができると思っています」とコメントし、「10日間、審査委員の皆さんと共にいろいろな作品を見ながら議論していきます。審査委員長として責任を感じますが、我々が感じた気持ちや感情をまとめて結論を解決に導いていきたい」と審査に対する姿勢を示した。

映画祭に期待することとしては、「映画祭では常に予期しなかった見事なものを見ることができることです。それに立ち会えることが、私たちの仕事ですし、驚かされたいと思っています」とコメント。日本とアジアの才能については「私は、映画を作る側でなく受ける側の人間ですが、いろいろ学ばせていただいている中で、作品が何を届けたいのか考えます。我々としては、出会った作品の作り手の支援ができたらと、ロカルノでもベルリンでも、クリエイターを支援してきました」と述べた。

シャトリアン委員長は映画祭の意義についても言及し、「映画祭に関して、我々は多岐にわたって多くの制作された映画を限定的な形で15本観ることになります。マスコミの皆様の力も過小評価できません。映画を支援することに関しては、作品の伝わり方が重要だと思います。劇場の持つ力も忘れてはいけない。配給が決まっていない作品が残念ながら多いですが、これはとても悲しいことです。とても素晴らしく美しい映画祭で紹介される作品が、日の目にあたることが難しいという現状の中で、マスコミやみなさんの力で伝わっていくと思います」と映画祭とメディアの連携の重要性を強調した。

ジャーナリストとしての立場から審査委員長を務めることについて尋ねられると、「私は今回、5名のうちのひとりという思いでおります。過去、審査委員も審査委員長も務めてきましたが、独裁者になろうとしているわけではありません」と謙虚に答え、「映画祭の歴史を見ると、審査委員は、近年は俳優やフィルムメイカーが務めていますが、過去を振り返るとより学術的な方が多いです。今回わたしが委員長を務めますが、他の審査委員も委員長ができるくらい素晴らしい方々です。私は作り手のような内部の人間ではなく、映画の見方に制限はありません」とコメントした。

齊藤は東京国際映画祭の役割や将来性について、「時代としても、国境やボーダーというものを意識せざるをえない時代で、違いでしたり国境を越えられるひとつの手立てが映画だと思っています。東京国際映画祭が映画の可能性や多様性、日本が残してきた日本映画の歴史がどこへ向かうべきかを、いつも客席側から眺めて、自分の中で希望の光を持ち帰ることを繰り返しています」とコメント。そして「個人的には、もっと東京国際映画祭に同業者の俳優やスタッフ、邦画にまつわる人間がより集まるという未来に向かうことが大事と思っています。コンペの多くが、その国々が抱える問題を含んだ作品を市山さんたちが長い時間をかけて選んでくださった。その中で日本映画がどんな存在感があるか、東京国際映画祭の未来を見つめていきたいと思っています」と日本映画界における映画祭の重要性を指摘した。

チュウは国際交流の観点から、「フィルムメイカーとして、10年から15年ほど国際共同制作の作品に携わってきました。異なる方々と仕事をしてきて、とても大切なこととして、どう物語を国際的なプラットフォームに紹介するかがあります。東京国際映画祭はアジアとグローバルを繋げるとても大事なプラットフォーム。映画祭は映画をいろいろな方々に見ていただける場です」と述べ、「近年さまざまな課題があるが、映画祭は最後の聖域だと思います。その役割がとても重要であると思い、プログラマーであっても役者であっても責任は重く、自分たちの物語を世界の方々に見てもらう仕事をしているが、映画はとても重要であることを知っていただきたいと思います」と映画祭の意義についてコメントした。

審査で大切にしたいことについて尋ねられたラクローは「自分の中には映画を観て、俳優の演技やストーリーに心を揺り動かされたい、驚かされたいという気持ちがあります。私たちの人生の中で多くの映画を観てきて、予想することができない、目にしてきてないものを求めています」と回答。同じ質問に対してルンメイは、「私の場合は、大事なのは映画を見て感動できるかどうかです。人々の心を動かせるかが大事。観客として、経験したことのないような、見たこともない知らなかったことを映画を通して知ることができ、感じられることも重要な要素です。もうひとつ大事なことは、製作者がどのような覚悟と勇気を持って作っているのかも大事な部分となります」と述べた。

<開催情報>
『第38回東京国際映画祭』

期間:10月27日(月)~11月5日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区

公式サイト:
https://2025.tiff-jp.net/ja/

(C)2025 TIFF

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