沖縄の家族の50年以上にわたる物語 内藤裕子作・演出による三部作の完結編『カタブイ、2025』が沖縄、東京で上演
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『カタブイ、2025』チラシ
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すべて見る沖縄で舞台制作を手がけるエーシーオー沖縄と東京の名取事務所の共同制作による舞台『カタブイ、2025』が、2025年11月2日(日)〜11月8日(土)に沖縄・ひめゆりピースホールで、その後11月28日(金)〜12月7日(日)に東京・紀伊國屋ホールで上演される。演劇集団 円の内藤裕子の作・演出による『カタブイ、1972』、『カタブイ、1995』に続く、三部作のこれが完結編となる。
「カタブイ(片降り)」とはこちらは大雨なのに向こうは晴れているような夏の沖縄特有のスコールのことだそう。『カタブイ、1972』は、サトウキビ農家を営む家族の物語の第1弾として2022年に沖縄、東京で上演。1972年5月15日に沖縄が日本に復帰するまでの半年間の波平家の日常、その葛藤を丁寧に表現し、作・演出の内藤裕子は第十回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞、第26回鶴屋南北戯曲賞を受賞した。2024年にやはり沖縄、東京で上演された第2弾『カタブイ、1995』の舞台は、沖縄の日本復帰の23年後。反戦地主の父からサトウキビ畑を受け継いだ家族を通して、米軍基地、また米兵による暴行事件に苦しむ沖縄を描き出した。


そこからさらに30年後、戦後80年の節目の年でもある、まさにいまの沖縄を舞台とする完結編。1972年、かつての恋人である石嶺恵を訪ねて沖縄にやってきた杉浦孝史は、「本土の人間にとって沖縄の苦しみはカタブイ(=遠い土砂降り)」と語り、政治家を志すが、23年の時を経ても何もできない自分と変わらぬ沖縄の状況、さらには米兵による少女暴行事件をきっかけに、沖縄を去った。2025年の現在、75歳になった杉浦が訪れる沖縄は、いまだに不平等な安全保障条約と地位協定が改善されず、多くの基地があり続け、さらに増えようとしている。弱い人たちに苦しみを押し付け、見ないふりをいつまで続けているのか。この問題提起を促し、そして不条理から立ち上がる家族を描き希望を繋ぐ──。

これまでもさまざまな背景を持つ家族を描き出し、高い評価を得ている内藤。50年以上にわたる家族に焦点を当てた物語は、現代を舞台に、一体どんな結末を迎えるだろう。出演は升毅(プレイヤーズエージェンシー)、佐藤直子(オフィススリーアイズ)、馬渡亜樹(演劇集団 円)、 当銘由亮、古謝渚、宮城はるの、山下瑛司(文学座)。戦後80年の夏が過ぎ、当時を振り返ろうとする空気は次第に薄まっていくように見えるが、この家族の姿を通して、沖縄で起きたこと、起き続けていることに、しっかりと向き合いたい。
<公演情報>
エーシーオー沖縄・名取事務所共同企画・制作
戦後80年企画
『カタブイ、2025』
作・演出:内藤裕子(演劇集団 円)
出演:
升毅、佐藤直子、馬渡亜樹、 当銘由亮、古謝渚、宮城はるの、山下瑛司
【沖縄公演】
2025年11月2日(日)〜11月8日(土)
会場:ひめゆりピースホール
【東京公演】
2025年11月28日(金)〜12月7日(日)
会場:紀伊國屋ホール
公式サイト:
https://www.nato.jp/topics.html#topi_250611
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