『NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし』サントリー美術館で11月22日から 漆工品の名品・名宝が一堂に
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《湯桶》一合 サントリー美術館 ※展示期間:11/22~12/15
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すべて見る2025年11月22日(土)より、サントリー美術館では『NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし』を開催する。中世に栄華を極めた大寺院、根來寺(和歌山県)由来の作品を中心に、日本を代表する漆工品の数々を紹介する展覧会だ。
英語で「JAPAN」と言われることもあるように、日本の伝統工芸を代表する漆。その歴史は、現在わかっているだけでも7500年前に遡り、縄文時代の遺跡からは赤や黒の漆で塗られたさまざまな道具が発見されている。赤は太陽や生命を、黒は全てを包みこむ闇の色を象徴することから、赤や黒の漆の色には神秘的かつ呪術的な意味合いが込められていたと考えられる。特に鉄や水銀を主成分とする顔料、天然の辰砂(しんしゃ)などを駆使した朱漆塗漆器(朱漆器)は、神仏に捧げられ、権力の象徴にもなっていった。


写真提供:宇陀市教育委員会事務局 文化財課 ※通期展示(入替あり)
そうした中、質の高い朱漆器として特別視されたのが「根来」である。「根来塗」とは平安時代末期に覚鑁上人(1095−1143)が開創し、戦国時代には宣教師ルイス・フロイスが「きわめて清潔で黄金に包まれ絢爛豪華」と表現した巨刹、根來寺でつくられた朱漆塗漆器を言う。とはいえ「根来」という名称は、根來寺以外で生産された同様の漆器にも広く使われた。同展では、「根来」の呼び名が定着する以前の時代の漆の名品や、豊臣秀吉に焼き討ちされるまで隆盛を誇った根來寺及び周辺の様子、さらに同時代の各地でつくられた「根来」も合わせて紹介する。

また江戸時代以降も人々の興味の対象となった「根来」をめぐる事象もたどる。江戸時代から明治時代に渡り、収集や研究の対象となった「根来」は、大正時代になると柳宗悦らが提唱した民藝運動も相まって、「用の美」や根來寺への憧憬の念を思い起こさせる愛すべき美術工芸品として特別視されるようになっていく。会場では、昭和を代表する随筆家・白洲正子や、美術蒐集家で茶人としても知られた実業家・松永耳庵、映画監督の黒澤明などの著名人たちが集め、生活の中で愛した「根来」も紹介する。
日本を代表する漆の美を心行くまで堪能できる機会となりそうだ。
<開催情報>
『NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし』
会期:2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)
※会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
時間:10:00~18:00(※金曜・1月10日(土)は~20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日:火曜日(1月6日は18:00まで開館)、12月30日(火)~1月1日(木・祝)
料金:一般1,800円、大学生1,200円、高校生1,000円
公式HP:
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_5/index.html
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