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ぴあ 総合TOP > 『PSYCHIC FES 2025』座談会 主催スタッフ&ヤマトパンクスとの座談会で明らかになった同フェス誕生秘話「受けなくてもいいから、自分の言葉で歌いたい。このフェスも、そんな気持ちで作ったイベント」

『PSYCHIC FES 2025』座談会 主催スタッフ&ヤマトパンクスとの座談会で明らかになった同フェス誕生秘話「受けなくてもいいから、自分の言葉で歌いたい。このフェスも、そんな気持ちで作ったイベント」

音楽

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ヤマトパンクス(PK shampoo) Photo:高木龍仁

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Text:西澤裕郎 Photo:高木龍仁

PK shampooがプロデュースするサーキットイベント『PSYCHIC FES』の第三回が、東京・新宿歌舞伎町エリアで2025年11月15日(土)に開催される。2023年の第一回を新宿歌舞伎町一帯のライブハウスにて初開催し、2024年の第二回は大阪・心斎橋一帯のライブハウスにて開催。そして、第三回となる今回は再び東京は歌舞伎町での開催となる。ヤマトパンクスに縁あるミュージシャンを中心に40組近くが出演するカオティックな本フェス。毎年恒例となった対談シリーズだが、今回は『PSYCHIC FES』の主催チーム・スタッフであるコロムビア・クリエイティブ株式会社・岩永拓郎、ぴあ株式会社・新井貴大を迎え、どのように同フェスが誕生し、どのような想いを持ってフェスを作り上げているのか、内側の目線からじっくりと語ってもらった。

── まずは、岩永さんと新井さんが『PSYCHIC FES』チームの中で、どのような役割を担っているのか、また普段どのようにPK shampooと関わっているのか教えてください。

岩永 僕は『PSYCHIC FES』の中では、硬い言い方をすると主幹事会社のひとつ。フェスの現場でよく歩き回っているおじさんみたいな役割ですね(笑)。普段はPK shampooのディレクター兼マネジメントの取りまとめのような立場で、レコーディングやMV制作、その他のビジュアルまわりなど、制作物に関しては基本的にすべて一緒に手掛けています。

新井 僕は、PKが現マネジメント体制になる前にヤマトと一緒に飲んでいるときに「お祭りをやりたい!」「新井さんやってくれ」と言われて(笑)。なので、『PSYCHIC FES』の立ち上げ時からのメンバーであり、いわば言い出しっぺですね。主催のひとりとして、会議の進行なども含めて全体を見させてもらっています。PK shampooとの仕事でいうと、バンドが東京でのワンマンの規模を広げていく過程で、チケット担当としての関わったところからはじまっています。ぴあのチケット販売やプロモーションを通じて仕事をご一緒するようになり、そこから発展して今のような形になった、という流れです。

左から 岩永拓郎(コロムビア・クリエイティブ株式会社)、ヤマトパンクス(PK shampoo)、新井貴大(ぴあ株式会社)

── ヤマトさんは、飲みの場で新井さんと話していたときのことを覚えていますか?

ヤマト 当時、僕は近くにいるバンドとの対バンに嫌気がさしていて、「もうワンマンだけでいいわ!」みたいな感じに思っていたんです。それをライブ制作のATフィールド・郡司さんに話したら、「お前ひとりがすごくてもムーブメントにしないと意味がない」って言われて。当時郡司さんが手がけていたYogee New Wavesなんかを例に挙げて、「彼らもドミコやネバヤン、Suchmos、Tempalayとともにシーンを作っているだろう」と言われ、確かに一理あると思ったんです。ただ、誰かとツーマンして地道にツアー廻って、みたいなことはめんどくさかったので、ガサッと集めてパーティーしちゃえばいいんじゃないかと思って。それを誰かに相談しようと思って浮かんだのが新井さんでした。当時周りにいたいろんな人にも電話して「こういうことをやりたいんですけど」って話したら、意外とみんな「いいね」って言ってくれて。

岩永 だいたい飲みの場の話って、聞いてる側は「いいね〜」って言いながら、内心どうせやらないだろうなって思っているもんなんですよ(笑)。実際、ほとんどが結実しない。でも、これはめずらしく動いた案件だったんだよね。

ヤマト 僕、何回も言ったんですよ。本当に5回、10回は「やりたいんです」「新井さん、どうやってやるんですか?」って伝えて。

ヤマトパンクス(PK shampoo)

新井 正直最初は、ヤマトが本気で言ってるのか分からなかったんですよ。でも何度も言われるうちに、「これは本気なんだな」と思って。で、ある新年会で「もういい加減やりますよ!」って話になって。「そこまで言うなら今すぐ会場押さえるわ」って、その場で各所に連絡したらZepp Shinjukuが取れちゃって。「じゃあもう、やるしかないね!」って(笑)。

── 岩永さんは、どのタイミングでPK shampooの制作にジョインしたのでしょうか?

岩永 僕が正式に関わり始めたのは、2022年11月くらいですね。それ以前は、ヤマトとはただの飲み仲間で(笑)。もともとPK shampooには正直あまり近づきたくないと思っていたんです。僕はもっと「高尚なアーティスト」を担当したいと思っていたので(笑)。

ヤマト 高尚じゃ(笑)!

岩永 よく飲むようになって仲良くなっていった頃、PKの前マネージャーが金を持って飛んだ事件があって。ちょうど『S区宗教音楽公論』のレコーディングやMV制作を手がける頃からジョインすることになったんです。その流れで、翌年2月の『Don't Trust PK shampoo tour』の初日、Zepp Hanedaの時に「Zepp Shinjukuが取れた」という話を聞いて。そこから、PKチームとぴあで建て付けを作るところから始めて、打ち合わせを重ね、今でも2週間に一度は定例ミーティングをしています。

── 初年度は、Zepp Shinjuku、新宿BLAZE、MARZ、Marbleの4会場での開催でした。

新井 本当は、初年度から新宿LOFTを使いたかったんです。ただ、立ち上げが突発的に決まったこともあって、現実的に押さえられたのがこの4会場で。

岩永 ちなみにシネシティ広場も初年度から候補にあったんですけど、あまりにも予算がかかるということで断念しました。で、ヤマトが拗ねたんです。打ち上げを大きめなハコでやりたかったけどできなかったことでも拗ねて。

岩永拓郎(コロムビア・クリエイティブ株式会社)

ヤマト 本当はホテルを借り切ってシャンパングラスで優雅に乾杯するパーティーにしたかったのに、チンチンとおしっこまみれになってしまって……。僕は最初から言ってたんですよ! 『PSYCHIC FES』の打ち上げは上品な社交場にしたいって。

新井 言ってない(笑)。

岩永 でも、結果的にあの打ち上げが「PSYCHICらしさ」を形づくった気もするよね(笑)。

ヤマト 最悪ですよ(笑)。無用な伝統は消し去りたいです。

──『PSYCHIC FES』といえば打ち上げみたいな印象もありますけど、最初はどんなテーマがあったんでしょう?

新井 初年度のテーマというかコンセプトとして「パーティーをしたい」「祭りのようなイベントにしたい」というのがありました。明確にスローガンを掲げたわけではないけれど、自然とそういう言葉が出ていた気がしますね。

岩永 「パーティー」「祭り」っていうワードは、よく会話の中に出てましたね。

── 初年度のブッキングは、どのように決めていったんですか?

岩永 基本的には、チーム全員で話し合って決めました。ここにいる3人だけじゃなくて、毎回10人前後のメンバーが会議に参加して、まずは「出てほしいアーティスト」をそれぞれ挙げていく。その中から、ヤマトが「この人がいい」「この人は違う」とフィルターをかけていって、最終的には、ヤマトの感覚で選ばれたアーティストが自然と集まっていく。結果的に『PSYCHIC FES』らしい顔ぶれが揃った、という感じですね。

新井 初年度のブッキングでは、「先輩もいて、後輩もいる」というバランスを意識していました。PK shampooを取り巻く先輩・後輩たちでひとつのシーンを形として作れたらいいなと。去年の大阪公演もそういう要素がありつつ、PKのルーツが関西にあることを踏まえて、関西時代の仲間やお世話になった人たちを反映させるようにしました。そういう色を意識しながら、みんなでアイデアを出し合っていった感じです。

岩永 今年3年目は、その集大成みたいな感覚で、自然な流れで決まっていきました。もう「この人は絶対ナシ」みたいな話もほとんどしなかったと思います。

新井 実際、最初は「どうなるんだろう?」って思ってたけど、タイムテーブルを組んで全体像を見たら、めちゃくちゃいい感じになってたんですよね。狙ってやっているわけじゃないのに不思議とまとまりが生まれるというか。2年間やってきた積み重ねの結果なのか、自然に整っていく感じがありました。

岩永 僕は、“AT系”じゃなくて、“PSYCHIC系”っていうジャンルができているといってもいいんじゃないかなって思っています(笑)。

──『PSYCHIC FES』は、東京→大阪→東京と、毎年開催地を交互にしていますよね。その意図はどんなところにあるのでしょう?

ヤマト 僕は上京して3年半くらい経つんですけど、正直、大阪のやつらがうるさいんですよ(笑)。「ヤマトパンクス、東京行って変わった」とか「大阪を捨てた」とか。

一同 (笑)。

ヤマト いや、そりゃ変わってますよ。でも、たまに大阪や京都、神戸に帰ると、やっぱり居心地がいい。関西って場所が本当に好きなんです。人の温度感もそうだし、「帰ってきたな」って思える。正直、できることならずっと大阪でやっていたいくらい。むしろ「なんで東京でやってるんだろう?」と思うくらいですね(笑)。でも僕は今東京に住んでますし。

岩永 大阪開催は、自然な流れで決まりましたよね。初年度の終盤には、「じゃあ次は大阪でやるか」みたいな話が当たり前のように出てきていた。

ヤマト 大阪ではGREENSの関下さんがイベンターとして入ってくれていて、「来年どうします?」って前のめりで言ってくれるんですよ。誰もまだ何も決めてないのに(笑)、こっちが追いつかないくらい、みんな前向きで。だから東京と大阪を交互にやるというサイクルが自然と定着していった。みんなも「来年は大阪やんな?」みたいな空気で動いてくれているのがうれしいですね。

岩永 それはPK shampooの活動として見ても、すごく理にかなっていて。4人とも関西の大学出身で、メンバーの拠点も関西。バンドとしては全国規模で大きくしていきたいので、東京という市場はしっかり攻略しなきゃいけない。でも大阪はルーツであり、最重要な場所。だから東京→大阪→東京のリズムが、活動全体の設計にもすごく合ってるんですよ。今年はありがたいことにシネシティ広場で開催できたので、次の大阪では「同じくらいインパクトのある場所でやりたいね」なんて話も、飲みの席で自然と出てくるくらいです。

── 実際、東京と大阪で、雰囲気の違いって感じますか?

岩永 初年度と2年度でいちばん違ったのは、酒の消費量ですね(笑)。夏で暑かったからかもしれないけど、毎年出しているお茶割りカーの売れ行きが、段違いに良かった。

ヤマト スーパーとか近くのコンビニから氷が全部なくなったんですよ(笑)。

新井 フロアも出演アーティストも含めて、全体のパワーが圧倒的に高くて。(大阪の)アメリカ村のあの界隈ではサーキットイベントがたくさん行われてるけど、『PSYCHIC FES』のときは、なんだかビックリするくらいの熱気があって(笑)。あれは本当に独特でしたね。

ヤマト 出演してくれた後輩バンドたちのテンションもすごかった。言葉で伝えるとかじゃなくて、もう全身で喜びを表現してる感じ。あのときはもう、みんな楽しすぎておかしくなってる状態というか。うれしさのあまり暴走してる感じでした(笑)。

新井 正直、1年目が思っていた以上にうまくいった感覚があって。その熱量がしっかり2年目の大阪にも伝わっていたというか。出演してくれたアーティストも、お客さんも、みんながその勢いを受け取ってモチベーションに変えてくれていた気がします。

── そして、今年は再び東京開催ということで、その熱がまた東京に戻ってくる感じですね。

新井 期待のハードルも上がっているし、それを超えていかなきゃって気持ちは強いですね。今年シネシティ広場も使えるのは本当に良かったなと思っています。初年度以上に、歌舞伎町という街全体とフェスが一体化して見えるような形になるはず。もちろん「もっとお金があれば」っていう広げ方もまだまだありますけど、明らかに2年前とは違うスケールにアップデートできた実感があります。そこはぜひ楽しみにしてほしいですね。

── シネシティ広場が加わることで、タイムテーブルの組み方や出演順の考え方も大きく変わってきますよね。

ヤマト ありえない座組にしたいっていうのは最初からありました。縦の流れも、横の並びも、ほかでは見られない組み合わせにしたくて。たとえば初年度で言えば、ENTHから神聖かまってちゃんにつながるような流れ。ああいう感覚って、なかなかほかのイベントでは観れないと思うんです。今年のシネシティ広場だけ見ても、トップバッターがKING BROTHERSで始まって、眉村ちあきさん、瑛人さん、TENDOUJI、そしてSuiseiNoboAzで締めるみたいな。もうハイカロリーですよね(笑)。

岩永 そういう大きな組み立てって、ヤマトが「自分がお客さんとして観たい」っていう視点で並べているんですよね。

ヤマト 「自分だったらバイト休んででも行く」と思える組み合わせを各会場に作るんです。大学生、高校生の自分でも「このイベントやばくない!?」って友達と話題になるような。そういうテンションの上がるラインを5会場、6会場分、全部で作る感覚ですね。

岩永 今回は特に、横の並びの被りをあまり気にしなかった印象があります。去年や一昨年は「この人とこの人は客層が似てるから、時間をずらそう」みたいな調整をしていたけど、今年はむしろ、かぶっても面白いっていう考え方で組んでる。

ヤマト どうせ被りますから(笑)。あと分散してもらわないと、どこかがパンパンになっちゃうので。むしろ、「客層が似ているなら、あえて同時間にぶつけちゃおう」っていうパターンもあります。そこでお客さんがどっちを選ぶか、その選択の熱も楽しんでほしい。僕の趣味と似ている人が来るイベントだから、「大丈夫、絶対好きになるから!」っていう気持ちだし、どのステージでも必ず何かに引っかかる。そこはもう、信じてもらって大丈夫です。

── 岩永さんが先ほど「AT系じゃなくPSYCHIC系」とおっしゃっていましたが、新井さんは、今年のラインナップについてどう感じていますか?

新井 尖っていると思いますね(笑)。PK shampooがフェスをやる存在意義みたいなものがちゃんと反映されたブッキングになっている。大人の事情で決まったようなブッキングは本当にほぼなくて、心から「これが今年のPSYCHIC FESのラインナップです」と言い切れる。ちゃんと“らしさ”がある並びになっていますね。数字やトレンドで判断せず、自分たちの好きな音楽、人間関係、信頼を優先している。そのうえで、ちゃんと美しくまとまったラインナップになっているのがおもしろいし、すごく楽しいです。

── 今年ももちろんクリトリック・リスが出演します。

岩永 3年連続、皆勤賞です(笑)。

新井 クリトリック・リスって今やどのサーキットイベントにも出ているじゃないですか? だからこそ、『PSYCHIC FES』ではどうおもしろく見せるか、どう新鮮に機能させるかをスギムさんには期待したいです。

岩永 そういう意味で、サーキットのトリの任せ方ひとつ取っても、ほかのイベントとはちょっと違うんですよ。やっていることは似てても、感覚が違うというか。うちは「PK shampooのファイナルを観に来ないタイプの人たちをも救い上げる場」もあるというか(笑)。

── PK shampooと同じ時間帯にクリトリック・リスが出演していますもんね(笑)。

ヤマト 去年、LOSTAGEの五味さんが上げてた スギムさんの写真は面白かったですね(笑)。新井さんがさっき言っていたように、大人の事情とかレコメンド的なブッキングが一切ないイベントなんです。ありがたいことに、「出たい」って言ってくれるアーティストが本当に増えてきてて。うれしい反面、ある程度は距離を置きながらやらなきゃいけない部分でもあると思っていて。若いバンドマンたちから「サーキットとかクソだと思ってたけど、PSYCHICはちゃんと意味のあることをやっている」って言ってもらえることも増えてきて、それは大切にしたいですね。

── 今回のラインナップで驚いたのが、瑛人さんです。ヤマトさんが熱望したそうですが、そこまで出てほしいと思った理由は、どこにあるんでしょう?

ヤマト 瑛人さんに出てほしくない人なんています(笑)?

新井 ヤマトは前からライブで「香水」を弾き語りでカバーしてたもんね。

ヤマト ソロで出たライブで4回連続「香水」だけ歌って帰ったことあります(笑)。本当に好きなんです。「二条駅」っていう曲があるんですけど、あれも「香水」から着想を得て書いたんですよ。譜割りもちょっと不思議にしていて、あの曲の感じを取り入れました。

── そうだったんですね!? 今年はお酒でもオリジナルドリンクを出すそうですね。

ヤマト 「「滋賀におもしろい酒造会社があるから来てみなよ」って誘われて行ったら、酒蔵の方とも知り合って。お酒の作り方の考え方とか姿勢に共通する部分もあって、すごく刺激を受けたんです。そういう出会いがこのフェスにも繋がっていて。僕、かなりの出不精でほっといたらずっと家でゴロゴロしているような人間なんですけど、最近は誘われたことに対して、とりあえず乗ってみようって気持ちになっていて。

岩永 結局、そういうことなんですよね。出不精だったヤマトが、飲み場とか外の出会いから繋がって、今の『PSYCHIC FES』を作ってる。新井さんもそうだし、僕もそう。お茶割りカーをやってくれている多治見さんも、もともと飲みの場で知り合った人で。彼はヴァイオリニストでもあって、PK shampooの楽曲に4曲ほど参加してくれているんです。そうやって飲み場や出会いの場から自然に人が集まって、「一緒におもしろいことやろうぜ」ってなる。結局、そこに尽きるのかもしれませんね。

新井 実際、日本お茶割り協会さんと、いいちこを作っている三和酒類さんには、毎年本当に多大なご協力をいただいていて。今年は、さらに支援の幅を広げていただいたお力添えもあって、シネシティ広場での開催が実現できた部分もあります。輪がどんどん広がっていって、それがまた太く強く繋がっていく感じがすごくありがたい。それもやっぱりヤマトのほっとけないキャラクターが大きいですよね。憎めないというか、気づいたら手を差し伸べたくなる人柄というか。

ヤマト 昔の僕は、本当に皮肉屋で冷笑的というか。バンドを始めたばかりの頃は、1歩引いたところからいらんことだけ言うタイプだった。でも今、そういうやつが多すぎるんですよ。最近は、逆にでっかい声で笑ってる人が一番かっこいいと思うようになったというか。この不景気の中で、人の足を引っ張るようなことばかりやってても仕方ない。むしろ「行くしかないだろ!」って真っ先に声をあげて走り出すのがイケてるよね、って空気をすごく感じていて。もし10年前の自分が今の自分を見たら、きっと「何アツくなってんねん、こいつ」って言うと思う(笑)。昔はライブでもMCなんて一切しなかったし、今の自分はまったく別人みたいだろうなって。

新井 丸くなった感じはありますよね。昔からおもしろいやつだったけど、当時は張り詰めた空気があって、ちょっと怖いと思われるくらい尖ってた。最近は本当に変わったなと思います。

岩永 丸くなったというより、開けてきたって感じだと思うんです、ヤマトは。

ヤマト 30歳を超えましたからね(笑)。やっぱり“カッコつく年代”ってあるんですよ。内省的で、尖った目つきとか、そういうムードが似合う時期や場所ってあると思う。そういう在り方はいまでもカッコいいと思うし、否定するつもりはまったくないけど、それはもう俺のやることではなくなったというか。昔だったら、サーキットイベントなんて絶対出もしなかったけど、今は、自分でそのサーキットを主催している。昔はそうやって楽しそうにしている人を「なにはしゃいでんねん」って冷めた目で見てたけど、やってみたら楽しいんですよね。

── ヤマトさんは主催でありながら、PK shampooとしても出演します。岩永さんから見て、バンドとしての変化はどう感じていますか?

岩永 『PSYCHIC FES』の影響もあると思いますけど、全体的に開けてきた感じがありますね。今回のアルバム(『PK shampoo.log』)制作を通して、歌詞やメロディのフォーカスがすごく明確になってきたんですけど、メンバーから「ファイナル以外は全部対バンでやりたい」って話が出てきて。普通はアルバムのリリースツアーってワンマンでやることが多いし、曲数的にもそのほうが合理的なんですけど、新しい刺激を優先したんです。実際、その選択が良かったと思っていて。対バンでやることで得られる刺激が大きいし、演奏力もここ2年半で格段に上がった。これまで以上に自力で勝負できるバンドになったなと感じています。初年度の『PSYCHIC FES』でZepp Shinjukuを満員にして、そのあとメジャーEPのリリースツアーで同じ場所に戻ってきたときは埋めきれず悔しい思いもあったんです。でも、この2年間でフェスもバンドも開いていく中で、ちゃんとお客さんがついてきてくれた。その結果として、ツアーファイナルは満員のZepp Shinjukuでライブができた。それは、横で見ていて本当に誇らしかったですね。

── さらに、ヤマトさんは新曲も制作中ということで。

岩永 アルバムの制作が終わって、すぐに新しい曲作りを始めてるんですよ。「アルバムを作ったら、しばらく曲は書かない」って言っていたはずのヤマトが、ツアーファイナルが終わったその足で京都に行って曲を作った。それを見て、やっぱり開けてきたなと思いましたね。

ヤマト 自分でもびっくりしました。「京都で缶詰になって曲書いてくる」って、自分の口から言うなんて思っていなかったので。まぁ結局、地元の友達と毎晩ガールズバー行っちゃいましたけど……(笑)。

岩永 ヤマトって、ものすごく歌詞にこだわりがあるんですよ。メロディはわりとスムーズに出てくるけど、歌詞を決め切るまでに時間がかかる。今回のアルバムでもそうだったけど、そういう思索の時間がヤマトにとってはすごく大事なんですよね。その上で、もう1段上げて形にする瞬間のハードルを、ちゃんと越えられるようになってきた。それは本当に素晴らしいことだと思う。……今ちゃんと聞いてました(笑)?

ヤマト 聞いてなかった(笑)。

岩永 これからも“バズらなそうな曲”をどんどん作っていこうぜ(笑)。

── あははは。みなさんの気のおけない関係性が、『PSYCHIC FES』を生み出しているんだなと伝わってきました。最後に、「行こうか迷っている人」「毎年来てくれている人」に向けてメッセージをいただけますか?

岩永 ある意味で『PSYCHIC FES』は、ヤマトパンクスというフィルターを通して、来てくれる人の人生観を変えるようなフェスになってきていると思っていて。たとえば、家で鬱屈としている人や、学校や職場で居場所がないと感じている人でも、この日だけは全部忘れて思いっきりはじけてくれる場所になったら本当にうれしい。この記事が出る頃に、まだチケットがあるかどうか分かりませんが、ぜひあの空気を感じに歌舞伎町に来てください。新宿という街は、PK shampooにも『PSYCHIC FES』にも本当に似合うと思う。個人的にはまずは最後まで完走すること。タフなイベントなので全力で走り切ります!

新井 いろんなポイントはあるんですけど、これだけ出演者も多いので、普段聴かないようなアーティストもたくさんいると思うんです。だからこそ、「なんでこの人がこのイベントに出るんだろう?」と思うようなスロットにこそ足を運んでみてほしい。ヤマトの中では文脈が通っているけど、僕自身はよくわかっていなかったバンドがいたとしても、実際に現場で観ると、すごい腹落ちするし出会えてよかったなということが多々あって。そういう出会いのきっかけになってくれたらうれしいですね。

ヤマト 僕は何でもすぐ「人生が~社会が~時代が~」とか話を大きくする癖があるんですけど、単純に本心でもあって。ただのイベントで終わらせたくないというか。音楽もそうで、自分にしか歌えないことを歌わないと意味がないと思っていて。ありふれた恋愛ソングを書いてバズるぜ!みたいなことにはまったく魅力を感じない。受けなくてもいいから、自分の言葉で自分のことを歌いたい。『PSYCHIC FES』も、そんな気持ちで作ってきたイベントで。自分がわざわざやるからには、どういうイベントにしなきゃいけないんだろうという暗中模索の中で、一つひとつ手探りで積み上げてきた3年間ではあって。まだまだ至らない部分や、もっとこうすればいいのにとかはあるかもしれないけど、1個1個積んでいって、最終的におっきい何かになればいいかなと思っています。まだまだ未完成でもありつつ、だからこそ先が楽しみなイベントだと思うので、ぜひ一緒に作ってくださいって感じですかね。よろしくお願いします!

★ヤマトパンクス(PK shampoo)さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼント!

【応募方法】
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①ぴあ音楽編集部・Xから応募
・ぴあ音楽編集部(@OngakuPia)のXアカウントをフォロー。
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2025年11月24日(月・休) 23:59まで

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※当選者の方には11月26日(水) 以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。

②ぴあ音楽編集部・Instagramから応募
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※日本国内に在住し、郵便物・宅配物の受け取りが可能であることをご確認ください。
※このキャンペーンにInstagram(META社)の関連はございません。

<イベント情報>
『PSYCHIC FES 2025』

2025年11月15日(土)
会場:東京・新宿 Zepp Shinjuku (TOKYO) / 新宿LOFT / LOFT BAR / 新宿MARZ / 新宿Marble / シネシティ広場
時間:各会場 開場 11:00 / 開演 12:00

出演:ART-SCHOOL / アンジーモーテル / 171 / 瑛人 / 思い出野郎Aチーム / かずき山盛り / KING BROTHERS / クリトリック・リス / 小林私 / sidenerds / サニーデイ・サービス / 挫・人間 / さよならポエジー / ザ・シスターズハイ / 時速 36km / 自爆 / ジュウ / SuiseiNoboAz / SuU / STANCE PUNKS / 多次元制御機構よだか / w.o.d. / THIS IS JAPAN / でぶコーネリアスEX / TENDOUJI / トップシークレットマン / PK shampoo / Hue’s / フリージアン / PURIKURA MIND / 古舘佑太郎 / the bercedes menz / ポップしなないで / 眉村ちあき / モーモールルギャバン / 山田亮一とアフターソウル / よさこいマン / ラブリーサマーちゃん / 浪漫革命 / 忘れらんねえよ

【チケット情報】
前売スタンディング 7,300円(税込 /ドリンク代別)

▼チケット発売中
https://w.pia.jp/t/psychicfes-2025/

※予定枚数に達し次第受付終了

■『PSYCHIC FES 2025』オフィシャルサイト:
https://pkshampoo.jp/psychicfes/

■PK shampoo オフィシャルサイト
https://pkshampoo.jp/

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