木下晴香、平間壮一ら出演 音楽劇『コーカサスの白墨の輪』メインビジュアル&コメント到着
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音楽劇『コーカサスの白墨の輪』メインビジュアル (撮影:皆川聡)
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すべて見る2026年3月に東京・世田谷パブリックシアターで上演される音楽劇『コーカサスの白墨の輪』の公演詳細が明らかに。また、メインビジュアルとスタッフ&キャストによるコメントが到着した。
本作は、ベルトルト・ブレヒトがナチスの弾圧を恐れてアメリカでの亡命生活を送っている中で、未来への希望を込めて書かれた戯曲。今回は、劇作家・演出家の瀬戸山美咲が未来の戦争が終わった後の物語として再構成し、オリジナル楽曲を全編にちりばめた音楽劇として上演する。人工知能などの題材も織り込み、“こども”を巡って生みの親と育ての親、どちらが真実の母親かを争う裁判を描いたブレヒトの傑作を「これから」の物語として描き直す。
内乱のさなか、置き去りにされた太守夫妻の“こども”を自分の“こども”として育てる料理女・グルーシェ役を木下晴香、グルーシェの婚約者で戦地に赴く兵士・シモン役を平間壮一、“こども”を連れ戻しにやってくる太守夫人・ナテラ役をsara、グルーシェを支えるスリカ役を加藤梨里香、“旅一座の歌手”役を一路真輝、反乱によって偶然裁判官となるアズダク役を眞島秀和がそれぞれ演じる。そのほか、森尾舞、西尾友樹、武谷公雄、辰巳智秋、斎藤瑠希、大久保祥太郎、阿岐之将一、酒巻誉洋、浜野まどかといった実力派も顔をそろえた。公開されたメインビジュアルは、旅一座が前を見つめて進んでいく姿を描いた疾走感あふれる構図が印象的だ。
東京・世田谷パブリックシアターでの上演は、2026年3月12日(木) から30日(月) まで。その後、4月11日(土)・12日(日) に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、4月18日(土)・19日(日) に岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場、4月24日(金)・25日(土) に佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホール、5月2日(土)・3日(日・祝) に愛知・春日井市民会館で上演される。また、3月17日(火) には終演後に瀬戸山と白井晃(世田谷パブリックシアター芸術監督)によるポストトークが行われる。
【あらすじ】
未来の戦争が終わった後、荒れ果てた大地に人々が戻ってくる。土地の所有をめぐって対立する人々に向けて、旅の一座の歌手(一路真輝)が、かつて起きた戦争の物語を歌い始める。
復活祭の日、太守が倒されるクーデターが起きる。料理女・グルーシェ(木下晴香)は混乱のさなか、戦地へ赴く兵士シモン(平間壮一)と結婚の約束をする。シモンと別れたグルーシェは、城から逃げ出す太守夫人・ナテラ(sara)が“こども”を置き去りにするのを目撃する。グルーシェは、友人の料理女・スリカ(加藤梨里香)の制止を振り切り、“こども”を連れて逃亡する。そして、厳しい寒さの中、たどり着いた辺境の地で、グルーシェはシモンを待ちながら“こども”を育てていく決意をする。
一方、呑んだくれのアズダク(眞島秀和)は、戦争の混乱の中、でたらめな経緯で裁判官に選ばれる。アズダクは賄賂を懐に入れ、イカサマまがいの判決を下していく。
やがて内乱が終わり、ナテラが“こども”を連れ戻しにやってきた。ナテラとグルーシェ、どちらが“こども”の母親か。アズダクによる裁判が始まる。
■上演台本・演出:瀬戸山美咲 コメント
人間とは何か、を考えたいと思います。人間は戦争をします。動物も縄張り争いをしますが、人間のように計画的な戦争は起こしません。人間が戦争をやめられないのは、言葉があるからだと私は思います。言葉があるから人間は生存の不安を実際以上に大きく感じてしまうし、言葉があるから他者を煽動してしまうし、兵器をつくって戦争を実行に移せてしまう。ひとたび戦争が起きれば、終わらせるのは困難であり、火を鎮めたところで燻り続ける。そんなことはわかっているはずなのに、繰り返してしまう。現在の世界は暴力的・排外的な方向に加速しているように見えますが、すべては古代からつながっていると思います。
では、未来でも人間はこのままなのでしょうか。ブレヒトの『コーカサスの白墨の輪』は、第二次世界大戦末期の時代から過去の戦争を振り返る構造になっています。過去の歴史に学ぶことを描くと同時に、人間の変わらなさを描いているようにも見えます。今回は、遥か先の未来から、今より少し先の未来を振り返る形で上演します。果たして、人間は今より「マシ」な存在になれるのか。人間の可能性を探る旅を始めます。
■木下晴香 コメント
『コーカサスの白墨の輪』グルーシェ役を務めます、木下晴香です。
思い入れのある劇場でこの大作に臨む機会をいただけたこと、大変うれしく光栄に思います。上演台本・演出の瀬戸山美咲さんとご一緒させていただくのは3度目。毎度、瀬戸山さんの言葉を通して目の当たりにする現実や願いには強く心揺さぶられてきました。今回は、未来に設定を移したこの色褪せない作品に、素晴らしいキャスト・スタッフの皆様と挑みます。旅一座のような素敵なビジュアルも出来上がりました。いざ、人間の可能性を探る旅へ。身震いもしていますが、溢れんばかりのやる気とともに誠心誠意作品に向き合ってまいります!
2026年春、劇場でお待ちしております。
■平間壮一 コメント
「人間」とは何か「人はなぜ争うのか」を考えることが自分自身も好きなのですが、考えても答えが出るものではなく、自分に何ができるんだろうと考えるうちに諦めてしまうことが多いのです、がこの作品を読んだときに「考える」ことが大切なのだと気が付かされました。瀬戸山さんが人間は言葉を持っているから複雑になってしまうというお話をされていて、稽古の中でそのお話もたくさんできたらと思っています。世田谷パブリックシアターはいつかは出たいと思っていた劇場で、今回出演する機会をいただけてとてもうれしいです。この作品を通して、観てくださる皆さんが「どんな自分でありたいか」を考えるきっかけになったらいいなと思っています。ぜひ劇場にお越しください!
■sara コメント
「人間とは何か」という今作品のテーマをお聞きして、まずはじめに頭に浮かんだのは、人間の持つ「寂しさ」でした。自分ひとりでは、自分の存在を肯定することができない。だからいろいろな形で自分を表現することで、他者と繋がる。寂しいという感情からは逃れられないけど、そこから生まれるエネルギーが連鎖して、摩擦を生んで、世界を動かしている。不完全で愛おしい生き物だと思います。AIが進化して、人間の手を離れ、不可能だったはずのことがどんどん可能になっている今の世の中で、人間という存在の愚かさと愛おしさに、じっくり向き合ってみたいなと思います。
■加藤梨里香 コメント
スリカ役で出演いたします。加藤梨里香です。
原作を拝読し、人間らしさ、人間臭さ、そして人間の優しさが溢れ出ている作品だと感じました。
瀬戸山さんが再構築される今作で、スリカはグルーシェの一番の理解者であり親友として描いてくださること、また歌でも物語を展開していくことをお聞きしています。
グルーシェ役の木下晴香ちゃんとは、初共演以来ずっと仲良くさせていただいているので、今回再び関わりの深い役をできることがうれしくてたまりません。全力でグルーシェ、そして晴香ちゃんを支えることができたらと意気込んでいます。
また新たな挑戦となりそうな要素もあり、今作への期待が沸々と高まっております。
今より少し未来の『コーカサスの白墨の輪』をぜひ楽しみにしていただけたら幸いです。
劇場でお待ちしております!
■一路真輝 コメント
あの『コーカサスの白墨の輪』が瀬戸山美咲さんの手によって新しい世界へ生まれ変わることになります。過去の戦争を描く作品は多いですが、未来に起こるかもしれない戦争を舞台にする。もしかしたら未来はAIに支配されているかもしれない?! そんな斬新な企画の作品に素敵な共演者の皆様とご一緒させていただけるのが今から楽しみです。原作にある旅一座のように出演者全員で新しい未来の『コーカサスの白墨の輪』を作っていけたらと思っています。
■眞島秀和 コメント
百戦錬磨の方々とともに作品作りに関わらせていただけること、すでに怖さ8割楽しみ2割で震えております。
物語の設定が近未来に置き換わるということで、普遍的なテーマが皆様にとってより身近なものになると思います。
2026年3月までもうしばらくありますが、ブレヒトと瀬戸山さんの世界観に思い切り飛び込んでいきたいです。
頑張ります。
よろしくお願いいたします。
<公演情報>
音楽劇『コーカサスの白墨の輪』
原作:ベルトルト・ブレヒト(東宣出版 酒寄進一訳)
上演台本・演出:瀬戸山美咲
音楽監督:坂井田裕紀
出演:
木下晴香、平間壮一、sara、加藤梨里香
森尾 舞、西尾友樹、武谷公雄、辰巳智秋、斎藤瑠希
大久保祥太郎、阿岐之将一、酒巻誉洋、浜野まどか
一路真輝、眞島秀和
【東京公演】
2026年3月12日(木)~30日(月)
会場:世田谷パブリックシアター
※3月17日(火)は終演後に瀬戸山美咲と白井晃(世田谷パブリックシアター芸術監督)によるポストトークあり。
【兵庫公演】
2026年4月11日(土)・12日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【岡山公演】
2026年4月18日(土)・19日(日)
会場:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場
【佐賀公演】
2026年4月24日(金)・25日(土)
会場:鳥栖市民文化会館 大ホール
【愛知公演】
2026年5月2日(土)・3日(日・祝)
会場:春日井市民会館
公式サイト:
https://setagaya-pt.jp/stage/25041/
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