アメリカのロックアイコンが抱える内面に迫る『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
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イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
1980年代、MTV時代だった。ブルース・スプリングスティーンもその頃に活躍していた。本作は彼の半生を綴る。
幼少期の父親とのトラウマやプライベートな女性関係が描かれるが、やはり曲作りの過程が面白い。特に『ネブラスカ』は、偶然にTVで観たテレンス・マリックの『地獄の逃避行』をきっかけに、モデルとなった事件を丹念に調べて作り上げている。
自宅で古いカセットデッキでデモ録音し、その雰囲気が曲にぴったりだと思うと最新機器を使って音の微妙なニュアンスを再現してレコード化させてしまう程のこだわりよう。スプリングスティーンは血管が切れるくらいシャウトする歌い方からワイルドでマッチョな人物と思いきや内面は繊細でシャイな人物なのは意外だった。
全編どこか孤独で寂しい映像が彼の心象とシンクロして心に響く。ちなみにMTVで何度も観た『ボーン・イン・ザ・U.S.A』は勇ましいロックに聞こえるが、歌詞はベトナム帰還兵のことを歌っており、決してアメリカ賛美ではない。僕は当時『ランボー』を思い出した。
<作品情報>
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
11月14日(金)公開
公式サイト:
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/springsteen
(C)2025 20th Century Studios

