『国宝 熊野御幸記と藤原定家の書』三井記念美術館で開催 開館20周年を記念し、定家筆の名宝を翻刻文付きで全巻展示
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《国宝 熊野御幸記》 1巻 藤原定家筆 鎌倉時代・建仁元年(1201)三井記念美術館蔵
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すべて見る2025年12月6日(土)より、中央区日本橋室町にある三井記念美術館で『国宝 熊野御幸記と藤原定家の書―茶道具・かるた・歌仙絵とともに―』が開催される。開館20周年を記念して、藤原定家筆《国宝 熊野御幸記》を久方ぶりに全巻展示するとともに、館蔵品の中から藤原定家にちなむ作品を紹介する展覧会だ。

《国宝 熊野御幸記》とは、建仁元年(1201)10月、後鳥羽上皇の熊野参詣に随行した藤原定家の旅日記である。具体的には、旅の日程や、各地の神社仏閣で行われた宗教儀式や上皇一行の宿泊の様子、定家自身の個人的な感想などが書かれており、定家の代表的な日記『明月記』に記された熊野詣の部分の別記的な性格を持っていると言われている。いずれにしても、後鳥羽上皇という歴史上の重要人物の行動を、著名な歌人である藤原定家が記録した《国宝 熊野御幸記》は、中世における熊野信仰の実態を伝える第一級の史料と言って間違いない。

ほかにも、館蔵品から後鳥羽上皇や藤原定家の書が展示されるが、なかでも初公開となる《大嘗会巻》は注目だ。こちらは平安時代、摂関政治華やかなりし藤原道長の時代に、藤原実資が記した『小右記』から長和元年(1012)の大嘗会の記録を定家が筆写したもので、今回は《国宝 熊野御幸記》とともに、全巻翻刻文付きで紹介する。その他の初公開では、定家の古筆切や消息(手紙)、三幅の藤原定家画像の展示が興味深い。

また、定家風の筆跡で箱書や小色紙などを書く茶の湯における「定家様」の伝統を、実際の茶道具で紹介。さらに、『新古今和歌集』『新勅撰和歌集』『小倉百人一首』などの選者である藤原定家にちなんで、六歌仙など和歌の名手とその歌をセットであらわした歌仙絵や百人一首かるたなども展示する。2026年2月21日(土)より同館で始まる『生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語』につながる展覧会として、日本の古典文学に親しむ美術展にもなっている。
<開催概要>
『国宝 熊野御幸記と藤原定家の書―茶道具・かるた・歌仙絵とともに―』
会期:2025年12月6日(土)~ 2026年2月1日(日)
会場:三井記念美術館
開館時間:10:00〜17:00(入館は~16:30)
休館日:月曜(但し1月5・12・26日は開館)、年末年始(12月27日(土)〜1月3日(土))、1月13日(火)、1月25日(日)
料金:一般1,200円、大学・高校生 700円、中学生以下無料
公式サイト:
https://www.mitsui-museum.jp/index.html
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