Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > トー横キッズたちを通じて映し出される大人たちの人生 宮崎秋人主演『Too Young』開幕!

トー横キッズたちを通じて映し出される大人たちの人生 宮崎秋人主演『Too Young』開幕!

ステージ

ニュース

チケットぴあ

舞台『Too Young』より (撮影/遠山高広)

続きを読む

フォトギャラリー(11件)

すべて見る

舞台『Too Young』が11月13日に紀伊國屋ホールにて開幕! 初回公演前のゲネプロの様子が報道陣、関係者に向けて公開され、主演の宮崎秋人*をはじめ、綱啓永、朝海ひかる、演出の日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)が会見に臨んだ。

ワタナベエンターテインメントが演劇の新たな可能性を追求する実験的プロジェクト「Diverse Theater」の第二弾として上演される本作。物語の舞台は、紀伊國屋ホールからも近い新宿・歌舞伎町。トー横キッズと呼ばれる若者たちが集う界隈で、雑居ビルから飛び降りて自殺したひとりの少女を巡る物語が展開する。

宮崎が演じる主人公の本郷は興信所の調査員。自殺した少女の母親の依頼を受け、歌舞伎町での彼女の足跡を辿る中で「死んだ少女がいまでも歌舞伎町にいる」という奇妙な噂を耳にする。どこか人生にくたびれた様子をうかがわせる本郷だが、実はかつて家裁の調査員をしており、事件を起こした少年たちと深く関わる仕事をしていた。だが、あるきっかけで仕事を辞めたという苦い過去を持っている。調査で歌舞伎町に集う若者たちと接しつつ、自分に子どもたちと向き合う資格があるのかと問い、葛藤を抱えながらも、それでも若者たちの人生をなんとかしてやりたい“大人”の男を宮崎が好演している。

宮崎は本郷について「初めて(台本を)読んだ時、正直『好きじゃないな、こんな男』と思いました(笑)。『はじめまして』の人の心に土足でズケズケと入り込む。『これを俺が演じるのか?』と。どんな役を演じても絶対に好かれる自信が自分にはあったんですが、今回ばかりは『これは嫌われ役か?』と思い、それも楽しみでした。でも、自分を(本郷に)どんどん近づけていったら、初めて台本を読んだときの本郷像とまた違う一面が浮かんできました」と明かす。

自殺した少女の母親、亀山を演じるのが朝海。娘を死なせてしまったことを悔い、その足跡を辿ることで少しでも娘を知ろうと本郷に調査を依頼するが、物語が進む中で生前の娘と母親との関係、そして彼女が本郷にこの少し変わった依頼をした理由が明らかになっていく。

朝海は、物語の中で少しずつ見えてくる亀山の“裏”の顔について言及。「本当の自分とどう向き合うか? 人に対して本当の気持ちで向き合えるのか? そういう人間の弱い部分が、今回の物語で描かれていると思います。そこは自分も『ちゃんと人と向き合える人間でありたい』と勉強させてもらいました」と明かす。

綱が演じるのは、歌舞伎町の若者たちの世話を焼くトー横の“顔役”的存在、ジャック。自身も10代の頃から歌舞伎町の住人であり、歌舞伎町にしか居場所を見出せない若者たちを受け入れる。本郷とはまた違ったスタンスだが、彼もまた若者たちに対し何ができるのか? と葛藤や迷いを抱えながら、彼らに寄り添う“大人”。根元が黒くなった金髪にした綱がリアリティをもって演じており、舞台上で何度となく交わされる、本郷とジャックのやりとりは大きな見どころ。

演出の日澤は「トー横キッズの存在は知っていましたが、改めて考える中で、別の人種、別の存在のように感じていたものが、台本を読み、稽古を重ね、みなさんの芝居を見ていく中で、どんどん共通部分(が見えて)、社会の中で自分たちの居場所なかったりするのは、僕らも少なからず経験していることで、それが時代の中で社会に表出してきたものだと感じました。生きづらさやコミュニケーションの難しさというのは、我々大人の中にもあって『この世の中、生きづらいな』という思いを抱えているのを感じました。トー横の物語ではありますが、もう少し広げて、ここにいる大人たちの心にもあるつらさ、生きづらさみたいなもの、人間ひとりひとりが持っている難しさみたいなものに焦点を当てて演出できればと思いました」と語る。

日澤の言葉の通り、本作は決してトー横に集う若者たちの生態や彼らが何を考えているかを解き明かす作品ではない。問われているのはあくまでも大人たち──本郷、亀山、ジャック、それぞれに過去や葛藤、弱さを抱えた大人たちが、トー横キッズという“鏡”に向き合うさまが描かれると同時に、トー横キッズという存在を生み出している社会が浮き彫りにされていく。
※宮崎秋人の崎はタツサキ

取材・文/黒豆直樹 撮影/遠山高広

<公演情報>
舞台『Too Young』

日程:2025年11月13日(木)〜24日(月・休)
会場:紀伊國屋ホール

[脚本] 古川 健(劇団チョコレートケーキ)
[演出] 日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
[出演] 宮崎秋人
綱 啓永 伊礼姫奈 岡島遼太郎 大石愛陽
玉置孝匡/朝海ひかる

【STORY】
若者たちがたむろし“界隈”を形成している新宿・歌舞伎町の一角、トー横。ある時、トー横キッズのひとりだった少女が雑居ビルの屋上から飛び降りる。だが、その死はすぐに過去の出来事に……。だが、しがない興信所の調査員、本郷(宮崎秋人)のもとに奇妙な依頼が飛び込んでくる。それは、「娘の生きた痕跡を辿って欲しい」という、死んだ少女の母親(朝海ひかる)からの要望だった。戸惑いながらもトー横を訪れる本郷。調査の途上、その“界隈”の顔役・ジャック(綱啓永)と関りを持つように。「死んだ少女が、いまだ歌舞伎町にいる」というおかしな噂……。本郷は調査を通し、トー横に居座る人間の心の内側に深く潜り込んでいくことになる。

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tooyoung/

フォトギャラリー(11件)

すべて見る