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カライドスコープ × May Forth × Reccaが魅せた真っ向勝負の大熱演! 『3×3×3 Tour』下北沢SHELTERを熱狂レポート

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『3×3×3 Tour』10月28日 東京・下北沢SHELTER / May Forth Photo:イノコシゼンタ

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Text:ヤコウリュウジ Photo:イノコシゼンタ

今、まさにライブハウスシーンで頭角を現しているカライドスコープ、May Forth、Reccaという3バンドが共鳴し、実現した共同企画ツアー『3×3×3 Tour』が10月28日、東京・下北沢SHELTERで開催された。平日に関わらず、チケットは早々にソールドアウトし、当日は開場のタイミングから待ち切れない観客で長蛇の列。その状況に意気を感じないわけがないのがこの3バンド。互いに譲らず、それぞれが真っ向勝負の大熱演を繰り広げていった。

まず先陣を切ったのは「SHELTER、ぶち抜きにきました!」という頼もしい宣言もあった名古屋のMay Forth。ここ数年、体制が固まらないところもあったが、満を持して現体制になり、10月22日には新作として3rdミニアルバム『Pilgrims』も発表。バンドとしてのテンション感もかなり高まっているのに加え、仲間でありライバルであるカライドスコープやReccaにイベント初日の一番手として食らわしたい気持ちもあるはず。観客の熱気も相当なモノだが、そこに気後れせず、息継ぎなしで畳み掛けるのはライブバンドだからこそ成せる技。「ニコマコス」ではカンタ•デ•ラ•ロッチャ(g/vo)が爽快かつ伸びやかな歌声を響かせ、ショートチューン「生活遠心分離」から勢いを落とさず「天使が住んだ町」、荒々しいベースからまっすぐに突き刺す「太陽系の約束」と続くのだから、言わずもがなSHLETERは大爆発。うーちゃん(b)のどこか挑発的なプレイ、もっといけ、と言わんばかりのリズムを叩き出すニジロウ(ds)の存在感もいい。

May Forth

May Forth

この3バンドはライブハウスへ攻め入るバンドだ、とカンタが力強く語ってから放ったのはアンセムと言っていい「海のセレナーデ」だった。カンタがギターを鳴らしながら歌い始めた瞬間、観客から大きなシンガロングが起こり、会場中がロマンティックなパンクロックに包まれていく。最高潮と言っていいムードでバンドインすれば、そのシンガロングはさらに大きくなり、バンドサウンドと一体となる音の素晴らしさがより高まっていったのはとても印象的だった。

そこから鋭い2ビートでキレよく進む「夏色の風」、間奏がもはやモッシュパートと化していた「通り雨に攫われて」でフロアを揺らしまくった後の「月のセレナーデ」も秀逸。数え切れないほどのダイバーも飛び交い、ヒートアップし続ける中、突っ走ってきたことで時間的余裕があることを確認し、急遽「夏色の楽園」と「Mary Jane」を追加していく。この対応力もライブを本気でやってきたバンドだからこそに違いない。

ライブハウスは濁りのない愛で包み込みたい、と「新しい国」を壮大に響かせてから、ラストナンバーはエネルギッシュに「次回予告」。最後の最後まで「今日みたいな日があるから、バンドやってて良かったと思います」とカンタが口にするほどの熱狂に埋め尽くされていた。

May Forth

2番手として登場したのは京都発ツインボーカルはちゃめちゃロックバンド、カライドスコープ。他に類を見ないポップさと万華鏡的キャッチーさで話題をさらい、年明けには同じくBADASSに所属する10-FEET、ヤバいTシャツ屋さん、G-FREAK FACTORY、NUBOと共にするツアーも控えている要注目バンドだ。

登場するや否や、これ以上ないほどの熱気が充満するフロアを見渡し、「まだいけそうだな? まだ始まってなさそうだな」とおとちゃん(b/vo)が叫び、いきなり「PAPA」を投下。絶妙なポップセンスに彩られてはいるが、そのひとつひとつの音塊が強い。そうくるならば、と声と拳を上げる観客へ尋常じゃない中毒性を誇るフレーズ満載な「ずっきゅん♡」、アグレッシブなダンスチューン「hungry」を連投。フロアはこれ以上ないほどの盛り上がりにも見えるが、おとちゃんは「始まったぞー! 3×3×3、何十倍にも何百倍にもしてけー!」、「最後まで夢見ようぜ!」と何度も問いかける。まだまだ先が観たい、ここに集まった観客ならそこに届くと信じているのだ。

季節を先取りして《Can You Believe …》というフレーズも耳に残る「Jingle Bells」、寒くなったから暖めましょうか、と「SUMMER★」を鳴らすというシャレも効かせつつ、ニイナ(g/vo)の「何か、ワヤワヤしたくなってきたー!」という言葉から飛び出した「WAYA★WAYA」は観客のダンスとシンガロングが止まらない。10月も終わりに近づき、外はアウターに手が伸びそうな気温だが、SHELTERは観てるだけで汗が吹き出る、これぞライブハウスと断言できる状況でしかない。

カライドスコープ

カライドスコープ

「誰かがCDを出したとかじゃなくてね、企画としてこれだけの為にツアーをするのが初めてなんです。すごくすごく、うれしいです。なんでカライドスコープを呼んでくれたんですか、と(発起人の)カンタくんに聞いたとき、普通にカッコいいから、と言ってくれて。いちばん大事なモノだなと思いました。お金とかじゃなくて、ただカッコいいだけ。今、売れてるバンドとかもいるじゃないですか。でも、ただカッコいいっていうだけで呼んでくれて、ただカッコいいというだけで集まってくれた人たちがいて、今日はどこよりもここがカッコいいと思います」ーーおとちゃん

確かな感触を手にしたのであろう、おとちゃんが純粋な思いを言葉にし、そこから「絶対に伝わる日。君だから、君にだから歌ってます」と続け、仲間へ歌う「LOVE ME MORE」は文字通り会場がひとつになり、《Love love love me more》のフレーズで大合唱。目には見えないこそ信じられるモノがある。言わば魔法のような瞬間でもあった。 最終盤はパンチラインの嵐で襲いかかる「O.M.G」でフロアをグチャグチャにしながら、ここで締め括りと思わせながらショートチューン「テルミー」でダメ押し。「最高の1日が始まったわ!」とおとちゃんが叫び、ニイナはギターを抱えたままフロアへダイブ。ハイライト続出のステージだった。

カライドスコープ
カライドスコープ

そして、3番手、本日のトリを務めるのは東京発の3ピースロックバンド、Reccaだ。ライブハウスに根を張って着実にステップアップし、昨年は全国51カ所をまわるツアーも敢行。ライブの冒頭、足元を確かめるように軽く音を鳴らした後、「オレらには踊れる曲もないし、楽しめるような曲もないかもしれないけど……東京Reccaの鳴らす音はすべて君と歌う為にある。下北沢SHELTER、ヤバい日にしよう」と白井紘雅(g/vo)が語りかけたように、無骨さもあるが、ブレない芯を持ったバンドと言っていい。

そんな言葉から始まった「感情のすべて」はとても頼もしく、観客の心を揺さぶるには十分すぎる威力。どこまでも歌声を張り上げる白井、藁谷俊希(b/cho)とヤマギシマサト(ds/cho)のリズム隊も初っ端とは思えないほどの力をこめて躍動し、とてつもないグルーヴを生み出していくのだ。ロックンロールの渦に巻き込むようなイントロから「オレらの時代!」と白井が大声を上げて「21」をドロップすれば、会場中から突き上げられる数え切れないほどの拳。感情のまま吐き出される歌声は粗野さもあるが、観客の拳のひとつひとつを握りしめるような温かさがある。音、言葉、拳で確かな約束を交わしているような光景でもあった。

ギターリフが鳴った瞬間、観客が歓喜した「vice」でビートも曲調も変貌しながら、ミキサーの中に放り込まれたかのように心を揺さぶった後、「君の心に純粋に、正直にオレらの音楽を突き刺して帰ります」と白井が思いを伝えてから突入した「天つ風」は胸を鷲掴みにされた1曲。語りかけるような歌声もそうだったが、「何だって、お前の楽しみ方を研ぎ澄ませ。お前の心を研ぎ澄ませ」信頼しているからこその強い言葉を観客に突きつける白井の姿。そこに連動して前のめりでプレイする藁谷とヤマギシ。バンドとしてひとつの塊となって続けた「春すぎて」もすさまじい威力を誇っていた。

Recca
Recca

「ライブハウスは自由なところ。歌ったり、踊ったり、自分の好きなように、自分の心を信じて、貪欲に楽しんでください。オレらの鳴らす音すべては君と歌う為にある」ーー白井紘雅

そう改めてバンドの矜持を白井が口にし、絞り出すように歌い始め、フロアから盛大なカウントも起こったのが「ボーイ・ミーツ・ミュージック」だ。その音、言葉に頷きながら拳をステージに向ける観客。自らの興奮を伝える為だけじゃなく、それはReccaも心に賛同する為に突き出した拳のようにも見えてくる。分かり合い、分かち合うバンドと観客の姿。それはライブでいちばん観たいモノに違いない。クライマックスで生まれたシンガロングはとてつもなくアンセミックな響きだった。

「オレたちには一発食らったら忘れられねえぐらいのパンチ力がある」、「常に更新しよう。常にここが最高到達点」と白井が大声を上げ、腕をぶん回して「still remember」、唸りを上げるグルーヴで飲み込む「before」と続け、締め括りはこれしかないだろう、「Starry Night」だった。ステージとフロアが共鳴し、生まれたシンガロングは歌声を超えてもはや叫びと言ってもいいほど。だが、それがどこまでも胸を打つ。途中、ギターにトラブルもあったが、そんなことはもうどうでもいい。白井はマイクを握りしめてフロアへ飛び込み、藁谷とヤマギシはがむしゃらにプレイを続行。白井が定位置に戻り、仕切り直して再び「Starry Night」をプレイしたが、高まりに高まったところからのスタートだけあって、フロアは狂乱の様相。最後の一音が鳴り止んだ瞬間がまさしく最高到達点のライブだったと記しておきたい。

必ずや今後のライブハウスシーンを席巻するであろう3バンドの共演は、予定調和で終わることなどなく、それぞれが本気をぶつけ合った美しき夜だった。きっとそれぞれの道を進みながら、時に交わり、刺激を与え合い、大きくなっていくのだろう。例えば3年後、この3バンドによるスリーマンが行われるとしたら、どんな会場でどんな光景が広がっていくのか。少し想像しただけでも楽しみが尽きないに違いない。

Recca
Recca

<公演情報>
カライドスコープ × May Forth × Recca presents『3×3×3 Tour』
10月28日(火) 東京・下北沢SHELTER
出演:カライドスコープ / May Forth / Recca

【Set list】

■May Forth
1. ニコマコス
2. 生活遠心分離
3. 天使が住んだ町
4. 太陽系の約束
5. 海のセレナーデ
6. 夏色の風
7. 通り雨に攫われて
8. 月のセレナーデ
9. 夏色の楽園
10. Mary Jane
11. 新しい国
12. 次回予告

■カライドスコープ
1. PAPA
2. ずっきゅん♡
3. hungry
4. Jingle Bells
5. SUMMER★
6. WAYA★WAYA
7. LOVE ME MORE
8. O.M.G
9. テルミー

■Recca
1. 感情のすべて
2. 21
3. vice
4. 天つ風
5. 春すぎて
6. ボーイ・ミーツ・ミュージック
7. still remember
8. before
9. Starry Night

関連リンク

カライドスコープ 公式サイト: https://www.kaleidscope.jp/

May Forth 公式サイト: https://forthmay.ryzm.jp/

Recca 公式サイト: https://recca.ryzm.jp/

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