「やっぱりすごい人だった」佐久間大介(Snow Man)×渋谷龍太(SUPER BEAVER)初共演で惹かれ合った“エンターテイナーの素顔”
映画
インタビュー
(撮影/梁瀬玉実)
続きを読むフォトギャラリー(7件)
すべて見るSnow Manの佐久間大介とSUPER BEAVER渋谷龍太が初共演を飾った映画『ナイトフラワー』は、罪とは何か、愛とは何か、その境界線を問う切なくもスリリングなヒューマンサスペンス。『マッチング』に続いて内田英治監督作品への出演となった佐久間がピンクの髪を黒色に染め、夜の街で生きる男で新境地を開拓。渋谷は夜の街に君臨する冷酷な男をカリスマ性たっぷりに演じて今作で鮮烈な映画デビューを果たした。アーティストとしても活躍するふたりがお芝居の現場で意気投合したその理由とは――?
Snow Manのパフォーマンスがカッコよすぎて……

――今作で初共演を果たしたお二人ですが、これまで交流はあったんでしょうか。
渋谷龍太(以下、渋谷) 最初に音楽番組の特番の現場でさっくん(佐久間)と一緒になった時は、「Snow Manすげぇ!!」って感動したんだよね。パフォーマンスがカッコ良すぎて、声をかけにいったくらい(笑)。
佐久間大介(以下、佐久間) そうそう。ぶーやん(渋谷)が「マジでめっちゃカッコよかったです!」って言ってくれて、メンバー皆でめちゃくちゃ嬉しいなって言ってたよ。
渋谷 「言わずにはいられん!!」っていうくらい、すごく素敵だったから。
佐久間 ありがたい(笑)。
渋谷 音楽番組やフェスでいろんな方と一緒になるけど、あまり自分のアンテナが機能する瞬間ってないんですよ。けど、Snow Manには、めちゃくちゃビビッと来て。「かっこよ!!」ってなって、そこからずっと見て来たから、そういう人と一緒に共演できるっていうのは、純粋に嬉しかったですね。
佐久間 僕もどんな役で共演するのかなって、楽しみでしたし、嬉しかったです。ぶーやんとは音楽番組でちょこちょこ一緒になることはあって、この間も一緒に『ミュージックステーション』に出演したんだよね。その時は、まだ映画で共演が解禁前だったから、なぜ交流があるのか、なかなか言えなかったっていう(笑)。
渋谷 そうそう。
佐久間 ぶーやんは、今作が初めてのお芝居だったんですよ。なのに初めての演技でいけないような領域にもういたのが、ビックリ。セリフで対峙した時、一言目を喋った瞬間から「え、マジで!?」って思ったもん。
渋谷 そうなの?
佐久間 マジで! 分かりやすく言うと、ぶーやんの役って麻薬密売人の元締めっていう怖い役じゃないですか。役を作るときにまずは怖がらせなきゃ……って思うんでしょうけど、怖がらせなきゃよりも、サトウとして生きていて、その生き様で怖いなって人に思わせられていたので、一言目を放った時に「マジか!?」って思って。ちょっとカッコつけようとする役なのに。そうじゃなく、サトウとして生きている姿にこっちが勝手に怖がるっていうね。すごいな~、あれはマジでできないでしょ。
渋谷 いや~、嬉しいなぁ。僕は、最初にステージで見たさっくんと演技をしてるさっくんを見た時に改めて認識が変わったという点は、じつはなくて。最初から「すげえな」って思っていたものが、やっぱり「すげえな」になったという感じかな。
佐久間 へー、そうなんだ、嬉しい……!

渋谷 エンタメに負の感情を入れていて、自分を楽しむということを置き去りにする人もいる気がしていて。そういう人のステージって、やっぱりどこか寂しく見えたり、悲しくなったり。僕、そういう人を見ると心から楽しめないんですよ。「わ、なんか無理してんだな」みたいなものが伝わってきてしまう。
佐久間 あー、そうなんだぁ。
渋谷 それがさっくんは全然、ない人で、自分がエンターテインするということに対してちゃんと楽しくやれている人なんだろうなっていう印象を受けましたね。もちろん僕が分からない、きっと計り知れないいろんなものを抱えてると思うけど。僕の見解が間違っていたとしても、楽しむことを大切にしているって思わせられる人間だとしたら、やっぱすごいなと思います。
佐久間 いや~、嬉しいです!(ニコニコ笑顔に)
渋谷 それは音楽の現場でも、お芝居の現場もやっぱり感じたので、すごい人なんですよ!
ぶーやんとスタッフさんが写真を撮っていてほっこり

――実際にお芝居の現場で対峙してみての印象やお二人同じシーンの撮影現場でのエピソードが知りたいです。
佐久間 印象に残っているのは、内田組のスタッフさんで昔からSUPER BEAVERを推しているファンの人がいらっしゃったこと(笑)。“本当にガチで何年前から知ってます”みたいなスタッフさんがいて、ぶーやんのクランクアップの日に、ぶーやんが一緒に写真を撮ってあげていて。こういうお仕事の現場で、憧れの人と出会えるなんて、そのスタッフさんは、すごい人生を送ってるなって思った(笑)。その時のぶーやんとのやりとりにほっこりしたから、記憶にすごく残っていますね。
渋谷 そうだ、クランクアップの日にそんなことがあったね。現場では、カメラが回ってない時も、さっくんは、マジでさっくんっていう印象でしたね。それがナチュラルボーンなのか、月日を経てのナチュラルボーンになのか。ちょっと俺は分からないけど、とにかく場の空気を、カメラが回っていようが回っていまいが、ステージの上だろうが下だろうが、すごく現場の空気を自然と司れる人なんだなって思った。いろんなところに視線を向けてる人じゃないとできないことだろうなっていう風に思いましたね。
――佐久間さんといえば、トレードマークのピンク色の髪を封印して今作の役作りで黒髪にしたのも話題になっていましたよね。
渋谷 僕は、黒髪になっても気づかなくて。
佐久間 えっ、マジで!?
渋谷 結構この撮影の中で1番ビックリしたんですけど。佐久間くんってイコールピンクの髪の毛じゃないですか。めちゃくちゃアイコニック。なのに黒髪にして気がつかないって、結構すごくない?
佐久間 確かにすごい!
渋谷 さっくんから「黒髪にした」って聞いて、「あ、そういえば」ってなったし、違和感ないんだってビックリ。ピンクの頭であることって、じつはそんなに重要じゃないんだって思いました。さっくん自体に本体があって、ピンクの髪の毛って本体じゃなかったんだって結構ビビったので(笑)。
佐久間 自分も黒髪にビジュアルが変わっても、鏡を見なきゃ分からないことなので、あんまり気になってなかったかな。役のスイッチが入るのは、本番の前の「用意、スタート」ってなった時からかなって思うので、髪色というよりそこから切り替えてましたね。
サトウはどんな人間なのか、プロファイリングしました

――佐久間さん演じる海は、風俗嬢として働きながら格闘家としての成功を夢見る多摩恵を気に掛ける役どころ、渋谷さん演じるサトウは、夜の街に君臨する役どころを演じています。それぞれの役を作られる際に意識されたことが知りたいです。
佐久間 僕はまず役を考える時に、この役の好きなものってなんだろうっていうことから考えます。その時に「多摩恵だな」って思って。いちばんは、やっぱり多摩恵のことを常に考えることを意識しましたね。海は、“多摩恵に幸せになって欲しい”という思いを常に原動力として動いてるんですよ。ドラッグの売人という危険な世界に踏み入れる手助けをしてしまって罪悪感を持つこともあったんですけど、それも多摩恵に頼まれたからなんですよね。
渋谷 多磨恵を見る目が切なかったねぇ。
佐久間 だって、幸せになって欲しいのに、危ないことをするんだもん。「危ない」って言ってるのに、「じゃあ、ずっとこのクソみたいな場所で働けっていうのかよ」って言われて、何も言えないっていう海の心の葛藤があって……だから、手を貸してしまうんです。サトウは、海の中では「マジでココと関わるなよ」っていうところのボスだから、ヤバいなって思いながら行くしかなくて。何かあったら、もう俺が多摩恵を守るしかないかと思って、サトウの所へ連れて行っているので、覚悟がありつつも、実際にサトウを目の前にしてちゃんとビビった海がいるんですよね。そこの、ぶーやんのビビらせるお芝居がすごかった!
渋谷 いや、もう芝居というものが初めてで、役をどう作るかみたいなところまで、至ってないんですよ。ただ、勝手にサトウのプロファイリングをしました。セリフも少ないし、登場シーンも多くないので、この人間が一体どういう人間なのかっていうことを徹底的に自分の中で考えて、人物を作り上げようっていう作業はものすごくしました。
佐久間 そうだったんだ。
渋谷 あとは、その芝居をするにあたって、「音楽の糧になる」っていう風にいろんな方に言われて。芝居をすることで音楽の幅が広がるっていう風に言われてたんですよね。でも、それは芝居をする現場にとって失礼なことだなって思って。とにかく素敵な現場だったので、俺の音楽がどうこうっていうことは一旦さておき、しっかりと役と向き合うこと、初めてお芝居するっていうことで卑下せずに、しっかり作品と向き合うということを考えながらやっていました。音楽のためになるかもしれないなっていう気持ちでは全くやってなかったので、実直にお芝居とサトウに自分なりに向き合えたと思います。
佐久間 サトウの目、ヤバかったもんね。
渋谷 サトウには、母親の存在が無意識のトリガーになっていて。なるべく無にしようと思って演じました。サトウ自身は、そのトリガーを引きずられていることに気づかないから、ああいう動きになっちゃってるんだろうなって。
佐久間 なるほど。
愛の重さは自分と似ている

――ご自身とは全く異なる世界の人物を演じましたが、共感できる部分はありましたか。
佐久間 多摩恵に一途なところですかね。1度大切にしようとか、好きだなと思ったものをめちゃくちゃ大切にできる人っていうのは、すごく好きだし。自分との向き合い方もそう。僕と関わる人みんなが楽しかったって思えるのが1番いいなと思っているので。だから、愛の重さというか、純度で言ったら、海と自分は近しいものを感じましたね。
渋谷 そうなんだ。
佐久間 僕はメンバー大好きなんですけど。例えばメンバーの誰かが、同じSnow Manの現場で「辛い」って感じたら、これは良くないなってなっちゃう。「なんでこいつが苦しまなきゃいけないんだ」って思うから、それを解消しに行かなきゃと思って、戦いに行こうとすると思う。とにかくメンバーが1番だから。あと、ファンへの愛情もそう。「ファンをもっと楽しませよう」と思っているので、いろんなことを形にして届けるとかね。そういう好きな人たちへの愛の向け方が似てるのかなぁと。
渋谷 僕はサトウとマインド的なものは一緒。地元の友達や仲間、家族とかに対して、どっかしら、敏感なんですよね。原因はよく分かんないんですけど。自分の中で振り返ってみると、「きっとあれは仲間に関わることだったからだ」っていうことを意識する出来事はあったかも。動いてる自分はあんま気づいてないんですけど。知らないところで引かれてるトリガーがあるっていう部分がサトウと自分は結構近いのかな。
佐久間 家族や仲間とか、大切な存在は大きいよね。
渋谷 人に思いっきり心を開くタイミングが、僕は多くないんですよ。なんですけど、1回心を開くとすごく信頼するので、身を粉にしてまで、どうにかしてやろうと思っちゃう部分があって。それは冷静さを欠いてる部分でもあることは自覚してるんですけどね。
――お二人とも仲間や大切なもののためにはちょっと振り切れる自分がいるっていう所が共通点で似ている気がしますよね。
佐久間 気が合うのは、それも理由なのかな。僕、あまり人を嫌いにならないんですよ。理由は、その人の個性だから。一見、嫌に見えるかもしれない部分も、それは個性って思うので。ただ、唯一嫌いになる人は、俺のメンバーや友達の悪口を言うやつ。「えー、何が分かんの、お前に」ってなって嫌いになります(笑)。
渋谷 分かる。自分とかなり近いけど、放出の仕方は違うかな。俺、さっきのさっくんの話を聞いてて、めちゃくちゃ愛に溢れてるなと思って。俺もどっちかというと愛に溢れているタイプの人間だと思うんですけど、俺はそんなにさっくんみたいにバーンってオープンにできないなって。さっくんは、だから人から好かれるんだろうな。さっくんはストレートで、俺は多分粛々とって感じだから、自分とは表現の仕方はちょっと違う。実は本当になりたいのは、こっちなんですよ。(と、佐久間くんを見る)ちなみにうちのギターと近いです(笑)。
佐久間 あははは。そうなんだ。
渋谷 近いタイプだと思う。なりたくてもなれないから、憧れますね。
<作品概要>
『ナイトフラワー』
11月28日(金)より全国公開

原案・脚本・監督:内田英治
音楽:小林洋平
エンディングテーマ:角野隼斗「Spring Lullaby」(Sony Classical International)
出演:北川景子 森田望智 佐久間大介(Snow Man) 渋谷龍太 / 渋川清彦 池内博之 / 田中麗奈 光石研
製作:『ナイトフラワー』製作委員会
配給:松竹
©2025『ナイトフラワー』製作委員会
PG-12 (本編 124 分)
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/nightflower
【ストーリー】
借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜問わず働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す――
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
フォトギャラリー(7件)
すべて見る
