「国賓クラスの扱いを」石野卓球の熱弁に満場沸く デペッシュ・モード、ライヴ・フィルム上映会をレポート
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左から 山崎洋一郎 (ロッキング・オン) / 石野卓球 (電気グルーヴ)
続きを読むText:兵庫慎司 Photo:Kayoko Yamamoto
2025年11月19日19時より、「『デペッシュ・モード:M』ライヴ・フィルム」の、一夜限定のIMAX®上映が、T・ジョイPRINCE品川/横浜ブルク13/109シネマズ名古屋/109シネマズ大阪エキスポシティの4カ所で、行われた。10月28日T・ジョイPRINCE品川での、ワールド・プレミア上映に続いて二度目となる、国内での上映である。
今回、T・ジョイPRINCE品川には、石野卓球(電気グルーヴ)と山崎洋一郎(ロッキング・オン編集長/代表取締役)のふたりが、上映後にアフタートークを行った。
本作は、メキシコの映画監督、フェルナンド・フリアスの作品。デペッシュ・モードのオリジナル・メンバーのひとりであるアンディ・フレッチャーが2022年に亡くなり、デイヴ・ガーンとマーティン・ゴアのふたりになってから初めてのアルバム『Memento Mori』(2023年3月リリース)。その作品を携えて行ったワールド・ツアーのメキシコ公演における、デペッシュ・モードのパフォーマンスの模様に、さまざまな人々の発言やアーカイブ映像などを融合して、メキシコ文化における死とは何かを掘り下げていく内容になっている。
2023年9月21日・23日・25日に行われて計20万人を動員した、メキシコシティ・フォロ・ソル・スタジアムでのデペッシュ・モードのコンサートからは、16曲+エンドロール的に使われている1曲を、本作で観ることができる。
T・ジョイPRINCE品川満員の300人の観客 (1000人以上の落選者が出たという)は、某曲では共にシンガロングをしたり、某曲では画面の中のデイヴ・ガーン&メキシコシティのオーディエンスと一緒に両腕を大きく振ったりしながら、99分のこの作品を楽しむ。映画の中で演奏が終わったところで一度、エンドロールまで終わったところでもう一度、拍手が客席を包んだ。

上映後、石野卓球と山崎洋一郎が登壇。1990年を最後に来日していないデペッシュ・モードを観るため、ツアーの度に海外まで足を運ぶほどの熱心なファンであり(このツアーも観たそうだ)、その行為を「デペッシュ詣」と名付けた卓球は、このトークショーの依頼が来た時、相手として「あまりデペッシュ・モードに興味を持っていない山崎洋一郎を」と、指名したという。
曰く、「デペッシュ・モードを海外まで観に行かなければならなくなった原因を作ったひとりを、今日、みなさんと弾劾しようと(笑)」。海外各国ではスタジアム・バンドなのに日本ではそうではない、その格差のせいで来日公演を行えない、という、1990年代以降のデペッシュ・モードの状況を作った責任の一端は、彼らをちゃんと取り上げてこなかった、日本の洋楽メディアにもある、というのが卓球の見方ということだ。卓球「ロッキング・オンのせいです!(笑)」。
『Memento Mori』がすばらしいアルバムだったことと、その前にアンディ・フレッチャーが亡くなったことを考えると、このツアーと映画がデペッシュ・モードにとってひとつの節目なのかも、バンドはこの先も続くんだろうか──と、卓球は不安になってしまったそうだ。10月28日のワールド・プレミア上映で観た時は、あるシーンで落涙してしまったが、今日は二度目なので大丈夫だった、とのこと。

その他、最初に始めたバンド(メリーノイズ)でデペッシュ・モードのコピーをしていたくらい影響を受けたこと、1985年の二度目の来日ツアーを観に静岡から東京まで行ったこと、1990年の来日時、雑誌「宝島」のアンディ・フレッチャーの取材に、インタビュアーの加藤賢崇に頼まれて立ち会い、彼に質問をしたこと、などのエピソードを明かす。
海外までツアーを観に行く時は、彼らにとって特別な場所であるベルリンに行くようにしている、そこで観るとデペッシュ・モードが世代を超えて愛されていることがわかる、グッズは必ず全種類買う、スタジアム会場で雨が降った時だけ売り出される雨合羽も入手できた──という話も。
売店に行ったら売り切れていて、そしたら売り子の女性が「私のを売ってあげる」と合羽を脱いで渡してくれた、という、「ベルリンちょっといい話」も出た。


「いつか来日してくれないかなあ」と言う山崎に、「いや、来てもらって、失礼があっちゃいけないじゃないですか。だってデペッシュ・モードですよ? ゲストを迎えるにあたって受け入れ態勢ができていない、だからこちらからデペッシュ詣に行かなきゃいけない、っていうね」と答える卓球。
そのあと、「この映画のことが発表された時、日本のデペッシュ・モード・ファンとしては、どうせ日本では公開されないんだろうな、と思うくらい卑屈になってしまっていた。だから、こういう機会があって、本当によかった」と、喜びを言葉にする。
そして、この映画は最高だけど、座って観なきゃいけないのがつらかった、『101』(1988年のライブ・ドキュメンタリー作品)とセットで、立って観れるし、歓声を上げてもいい、ライブを観ているのに近い上映をやってほしい、という希望を伝えた。
「『デペッシュ・モード:M』ライヴ・フィルム」は、11月26日(水)19:00に、全国14館の映画館で、一夜限定で上映される。
『デペッシュ・モード:M』劇場版長編トレイラー
<作品情報>
『デペッシュ・モード:M』ライブ・フィルム
11月26日(水) 全国上映
開映:19:00(99分)

⚫︎上映劇場
北海道:シネマフロンティア札幌
宮城:MOVIX仙台
埼玉:MOVIXさいたま
東京:MOVIX亀有
東京:T・ジョイPRINCE品川
千葉:イオンシネマ市川妙典
神奈川:横浜ブルク13
静岡:静岡東宝会館
愛知:ミッドランドスクエアシネマ
京都:T・ジョイ京都
大阪:T・ジョイ梅田
兵庫:MOVIXあまがさき
広島:広島バルト11
福岡:T・ジョイ博多
【チケット情報】
前売 3,600円(税込)
当日 4,600円(税込)
詳細はこちら:https://www.sonymusic.co.jp/artist/depechemode/info/577690
◼︎来場者プレゼント
来場入場者特典:劇場版メイン・ビジュアルをあしらった上映日入りメモリアル・チケット型ステッカー
※来場者にもれなくプレゼント
※サテン地(布製)
関連サイト
上映サイト(日本) :https://www.sonymusic.co.jp/artist/depechemode/info/577690
デペッシュ・モード オフィシャルサイト:https://www.depechemodem.com/
映画上映公式X:https://x.com/kuuusooo_bell

