『佐藤さんと佐藤さん』公開直前の天野千尋監督が登場 前作の上映に主演・篠原ゆき子も駆けつける【「TOHOシネマズ・ピックアップ・シネマ」Vol.11】
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「TOHOシネマズ・ピックアップ・シネマ」Vol.11より、天野千尋監督(右)と篠原ゆき子
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すべて見るTOHOシネマズが邦画、洋画問わず“いま、気になる映画・映画人”をピックアップして観客へ届ける「TOHOシネマズ・ピックアップ・シネマ」が11月20日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた。
Vol.11となる今回は最新作『佐藤さんと佐藤さん』の公開を記念し、同作の監督・脚本を務める天野千尋が登場。天野監督の存在が一躍脚光を浴びるきっかけとなった『ミセス・ノイズィ』(2020年公開)が上映された。
隣人同士の些細な対立が、マスコミやネット社会を巻き込む大騒動へと発展していく様子を描いたサスペンスドラマ。オリジナル脚本も手がけた天野監督は「構想は10年くらい前、2015年ですね」と振り返り、子育てで映画界から離れていた当時「苦しみながら、書いた脚本」だと明かした。スランプ中の小説家で母親でもある主人公・吉岡真紀には、自身の経験や葛藤が投影されている。
この日は、真紀を演じた俳優の篠原ゆき子も駆けつけ、天野監督や観客と一緒に映画を鑑賞。「本当に久々に見たんですけど、やっぱり面白い。笑って泣いて、なんていい作品なんだろう」(篠原)、「ヤバいですね、粗削り感が(笑)。でも、粗削りな脚本を篠原さんはじめ、俳優の皆さんがリアリティをもって演じてくれて、そこに助けられている」(天野監督)と語り合った。
クランクインを前に、入念なリハーサルも行われ、天野監督は「現場に入る前にお互いに話し合ってキャラクターを作っていく時間が、作品の質を変えてくれる」「脚本を書いているときのイメージも、俳優さんによって全然違うものが出てくるので驚きがある」と語った。
劇中で、真紀がベランダで踊るシーンも「篠原さんが勝手に踊り出して(笑)」と、俳優のアイデアから生まれたものだと明かした。当の篠原は「その日、エキストラでうちの甥っ子が来ていて。ちょっとサービス精神で(笑)」と振り返り、「天野監督は役者に対してはとても柔軟で、内側にあるものをどうやって引き出そうか貪欲に考えてくれる」と話した。
最新作『佐藤さんと佐藤さん』(11月28日公開予定)は、岸井ゆきのと宮沢氷魚が夫婦役で初共演し、佐藤という同じ苗字を持つ男女が交際・結婚・出産を経て歩む15年間の軌跡をつづったドラマ。夫婦をテーマに人と人との関係を丁寧かつリアルに描いていく。
ジャンルとしては『ミセス・ノイズィ』と異なる内容だが、天野監督は「どちらの作品も、立場が異なる人間同士がすれ違って、対立してしまうのがテーマ。どっちが悪、どっちが善とかじゃなく、お互いの見ている社会が見えなくなっていることを描きたい」と語る。
また、『佐藤さんと佐藤さん』を鑑賞したという篠原が「男性の苦悩を女性監督が描くのが新しい」と感想を語ると、天野監督は「意識したわけではなく自然とそうなって。家事育児で悩んでいた『ミセス・ノイズィ』の頃とは違って、また映画を撮り始めたので、(視野が)広がったのかもしれない」と話していた。
取材・文:内田涼
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