【神聖かまってちゃん Set list】
1. コンクリートの向こう側へ
2. 死にたいひまわり
3. Girl2
4. 学校に行きたくない
5. フロントメモリー
6. ロックンロールは鳴り止まないっ
7. いかれたNeet
8. 22才の夏休み
音楽
ニュース
TSM冬の対バン企画2025『ドーパミン中毒、恵比寿で死す』 Photo:森山学浩
続きを読むフォトギャラリー(14件)
すべて見るText:薗田洋平 Photo:森山学浩
「親にバレたくないバンド」ことトップシークレットマンが新曲「ドーパミン中毒、恵比寿で死す」をリリース。そのリリースライブと言っていいのがその曲のタイトルを冠した恵比寿LIQUIDROOMでの神聖かまってちゃんを迎えた対バンライブだ。
開演時間を少し過ぎてから聴き覚えがあるインストの音楽とともに神聖かまってちゃんのメンバーが登場。この日はサポートドラムに諸石和馬(Shiggy Jr. / KNOSIS)を加えた編成。
mono(key)が被り物を装着してステージを歩き回りながら踊る「死にたいひまわり」「Girl2」という曲ではウィッグをつけてランドセルを背負うの子(vo&g)も自身の歌唱にエフェクトをかけながら歌うのもこのバンドのスタイルだ。もちろん観客も飛び跳ねまくるというアウェー感がまったくないのはかまってちゃんのファンがたくさんいたのはもちろん、トップシークレットマンのファンもこのバンドからの影響をわかっているからだろう。
の子もハンドマイクを持ってステージを激しく動き回りながら歌うことによってすぐにウィッグもランドセルも外しながら「お前ら殺す気で来い!ライブは殺し合いと支え合いだ!」と叫びまくりながら、やはりエフェクトがかった歌唱で「フロントメモリー」を歌い始めると大合唱が起きる。それはこのバンドが「ロックンロールは鳴り止まないっ」だけではなくて、名曲を作り続けてライブをやってきたことの証明だ。
その「ロックンロールは鳴り止まないっ」もmonoの美しいキーボードのイントロに導かれるように演奏されると、やはり大合唱とダイブも起きる。の子は何度も観客に「yeah!」と声を出させていたのを曲中にも繰り広げていたが、それは今この瞬間に生まれる熱量を交換し合っていたということだろう。の子は「今日が最後のライブだと思え!」と言っていたのも、自分たちがそうなってもいい覚悟でライブをしているからだろうけれど、このバンドが鳴らすロックンロールは鳴り止まないとライブを観るたびに思う。

するとの子が即興で「しのだ一緒に死のう」的なラップをし始めてから演奏された「いかれたNeet」ではそのトップシークレットマンのしのだも登場して一緒に歌う。影響を受けているだけあってしのだは完璧に歌い、それだけではなく客席にダイブを繰り返すと、しのだを抱き寄せたの子は唇を重ね合う。それが笑えるパフォーマンスというだけではなくて感動してしまうものだったのは、ずっとやりたい放題なライブをやってきたこのバンドがこんなにもしのだのことを可愛がっていて、トップシークレットマンのためにこのステージに立ってライブをしているのがわかるから。「22才の夏休み」を演奏する見た目にも挙動にも幼さは残っているけれど、それでも確かに大人になったんだなと思った。
そして本人たちが曲を演奏してからトップシークレットマンが登場。すでにスタッフの安藤氏も叫びまくってダイブしているという整った状態である。サポートギターを加えて、側に安藤氏も座っている編成で序盤はデジタルなダンスミュージックを取り入れた曲が続く。ステージ背面の壁一面にはマトリックス的な文字が次々に映し出されるのもこのサウンドに実に良く似合う演出だが、実に生バンド感が強いのはねぎしのはん(b)と正義(ds)による生のリズムの力強さによるものだろう。しのだ(vo)も飛び跳ね、踊るようにしながらエフェクトを駆使して歌い、曲と曲を繋げるようにデジタルサウンドが流れるというのもライブがひとつの大きな線として繋がっている。つまりライブそのものの完成度が明らかに向上してきているのがわかる。ライブをやりまくってきたことによって自分たちのスタイルが確立されてきているというような。最新曲「ドーパミン中毒、恵比寿で死す」もこの前半で早くも演奏される。こうしたサウンドからはこのバンドのこれからの可能性と広がりを確かに感じさせてくれる。


「しのだ!しのだ!」とメンバーと観客たちが一体になってしのだを応援するかのような合唱が響く「サッカー部のサノくんを倒す曲」からはおくゆう(g)の鳴らすハードコアの要素を感じる轟音が会場を包みこみ、リズムもさらに強さと速さを増していく。繋がるようにして次々に曲が演奏される中でIdol Punchのカバー曲「Psychopathic Faction」。 しのだりょうすけのルーツの影響源を感じさせながらさらに観客たちを熱狂させていく。
そうして爆音を響かせながら「チケット代がいつもより高かったでしょ?還元します!」とメンバーが偽札を客席にばら撒くのだが、その偽札にはQRコードが印刷されているというプロモーションも実に巧みで、さらには誕生日を迎えたばかりのおくゆうを祝うべく「ハッピーバースデー」を観客も一緒になって歌う。このバンドの愛されっぷりがわかる一幕だ。


すでにしのだもダイブしまくっていたが「僕の心臓をフェラしてくれ」からの後半はダイバーが続出する。その光景はとても地上波では流れることがないこの曲、この音楽でないと満たされないという人たちがたくさんいるということを「キミマインド」での大合唱とともに示しているし、それをわかっているからこそ、しのだも
「これからもっと大きいところでやっていくプランがあるけど、そうすると遠く感じるっていうか「私だけが知ってたバンドじゃなくなった」っていう人も出てくると思う。俺もそう思うことがあったから。でも俺たちの音楽に出会ったときって、誰かが聴いてるから聴いてみたとかじゃないでしょ?自分で聴こうと思って聴いたんでしょ?それは俺たちが武道館でやっても東京ドームでやっても絶対変わらないものだから」
と話したのだ。その言葉を聞いて、このバンドはずっと変わらないんだろうなと思った。どんなに巨大な会場に行っても、そこに集まるのはTVから流れてきたり、誰もが聴いてる音楽では満たされないというような人であるというような。ただ過激で爆音なわけじゃなくて、その表現である理由が間違いなくある。だからこのバンドの音楽がこんなにも響き続けているのだ。最後に演奏された「NEU」の大合唱はそれを、このバンドの音楽がどれだけ過激なものだとしても、キャッチーなものであるということを証明するかのようだった。



アンコールでは富士山の着ぐるみを着た安藤氏が「フジロックに出たい!」という野望を口にすると、しのだは「神聖かまってちゃんと対バンできるってなったときにどうしてもやりたいことがあった」と言うと、かまってちゃんのメンバーをステージに呼び込み「ロックンロールは鳴り止まないっ」をトップシークレットマンの演奏によってコラボする。もちろんしのだもの子も客席に飛び込みまくるコラボになるのだが、その共演はかまってちゃんがデビューした時代の、インターネットの中にしか居場所がないと感じる人たちを掬い上げる存在を、今はトップシークレットマンが担っていて、その魂の継承が行われているかのようだった。

かまってちゃんも走り続けるけれど、かまってちゃんがいなくなってもロックンロールは鳴り止まない。それは次の世代にトップシークレットマンがいるから。最後に演奏されたのが「ロックンロールは鳴り止まないっ」のオマージュである「ひとみちゃん」だったのは、トップシークレットマンからの確かな回答だった。僕ら、あなたたちがいたからこのバンドをやっているんですというような。その意識が消えることはないから、このバンドはどれだけ大きくなっても変わることはない。最後に集まった観客を背景に写真撮影した際のメンバーの笑顔は、この日のライブがそれを示していた証明だった。
<公演情報>
TSM冬の対バン企画2025『ドーパミン中毒、恵比寿で死す』
11月10日(月) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
出演:トップシークレットマン / 神聖かまってちゃん
1. コンクリートの向こう側へ
2. 死にたいひまわり
3. Girl2
4. 学校に行きたくない
5. フロントメモリー
6. ロックンロールは鳴り止まないっ
7. いかれたNeet
8. 22才の夏休み
1. intro
2. スペルマライフ
3. 日々、日々、思い出すとキミしか頭にない状態
4. ドーパミン中毒、恵比寿で死す
5. サッカー部のサノくんを倒す曲
6. 「死にたい」とか絶対言えない
7. 君にラブソングを書く
8. Psychopathic Faction(Idol Punch cover)
9. 好きじゃないあの娘にキスをしよう
10. しのちゃんかわいい
11. 僕の心臓をフェラしてくれ
12. キミがキミでいてほしいから
13. 現:自己嫌悪
14. キミマインド
15. NEU
en1. ロックンロールは鳴り止まないっ(神聖かまってちゃんcover)
en2. ひとみちゃん
トップシークレットマン オフィシャルサイト
神聖かまってちゃん オフィシャルサイト
https://shinseikamattechan.jp/
フォトギャラリー(14件)
すべて見る