尾上左近が三代目尾上辰之助を襲名「生涯かけて芸道に精進」と決意

歌舞伎俳優の尾上左近が11月21日、都内で会見を行い、2026年5月の歌舞伎座『團菊祭五月大歌舞伎』で、左近改め三代目尾上辰之助を襲名すると発表。「生涯かけて芸道に精進」と決意を示した。『寿曽我対面』にて曽我五郎、『鬼一法眼三略巻 菊畑』にて虎蔵を勤めることも明らかになった。

祖父の初代尾上辰之助（三代目松緑・追贈）と、父の尾上松緑が名乗った名跡を三代目として襲名することになった左近は、「祖父と父が、命をかけてつないでくれた、私にとっては大切な名前。より精進を重ねて努力してまいる所存です。これからも一生懸命、歌舞伎に打ち込んでまいります」と力強く挨拶した。

襲名については、昨年から耳に入っていたといい「今月のはじめに正式に決まり、松竹さんからご連絡をいただいた」と説明。現在では、坂東玉三郎から教えを受けた女形も開花しており「祖父や父とは体格も違いますし、女方、若衆などを勤められるように、しっかり勉強したいと考えております。自分ならではの辰之助像をお見せできれば」と抱負のコメント。同時に、立役の家柄である自覚も芽生え「紀尾井町の家に伝わる荒事を汚さぬよう、勤めていたきい」と意気込んだ。

若くして亡くなった祖父に対する思いを問われると、「祖父を知らない強みもきっとあると思います。自分の中では、ヒーローのような存在ですが、自分の色を出していけるのではと思っております」と視線を未来に送った。

会見には七代目尾上菊五郎、松緑が同席した。菊五郎は「この2～3年で、めきめきと力をつけてきまして、周囲の先輩方も勉強熱心だと感心しております」と左近の姿勢を褒め、「もう20歳だと思っていたら、まだ19歳（来年1月に20歳になる）。立役だけじゃなく、女形もやって、新種というか珍種ですよ。祖父と父に勝るとも劣らない立派な“辰之助像”を作ってもらいたい」とエールを送った。

また、父の松緑は「まだまだ若年ではございますが、彼の祖父に一歩でも近づけるよう、立派な役者になってもらいたいと思います。自由な、オリジナルな辰之助像を作ってもらいたい」と目を細め、激励していた。

会見では、八代目市川新之助、六代目尾上菊之助との“令和の三之助”に期待を寄せる声もあがり、左近は「僕が歳をとり過ぎているので（笑）」と苦笑いしつつ、「昭和、平成と続く三之助という存在は、非常に憧れ。今後、お芝居をご一緒させていただくのが楽しみ」と話していた。