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【レポート】加藤清史郎&渡邉蒼の月と三浦宏規のLが火花を散らす──『デスノート THE MUSICAL』開幕

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左から)リコ、今井清隆、鞘師里保、渡邉蒼、加藤清史郎、三浦宏規、濱田めぐみ、浦井健治  ©大場つぐみ・小畑健/集英社

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舞台『デスノート THE MUSICAL』が2025年11月24日に東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて開幕。『週刊少年ジャンプ』で原作漫画の連載が開始した後、アニメ化、映画化、ドラマ化と国内外でメディアミックスされてきた大人気作品だ。

主人公・夜神月役を加藤清史郎と渡邉 蒼(Wキャスト)が務めるほか、10年前の初演で夜神月を演じた浦井健治がリュークとして、レムを演じた濱田めぐみが再びレム役を演じるという豪華な布陣が話題となっている本作。公開ゲネプロと囲み取材の様子をレポートする。

左から)渡邉蒼、浦井健治、加藤清史郎 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

ミュージカルという枠を超えて社会的に影響を与えられる作品

公開直前の囲み取材に登場した加藤清史郎、渡邉蒼、L役の三浦宏規。加藤は「稽古が始まってから約2カ月経ちましたが、人間としても役者としても色々なことを感じながらの日々でした。月として『デスノート』の世界で生きるというのはものすごく覚悟がいることだなと初日が近づくにつれ改めて実感しています。今は無事に初日が迎えられるように進んでいこうと思いますし、緊張よりも楽しみが勝っています」と笑顔。

左から)三浦宏規、加藤清史郎、渡邉蒼 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

渡邉は「演出の栗山民也さんやカンパニーの皆さんと、『デスノート』という作品についてはもちろん、演劇というものが世の中に与える影響や、社会が現実的に抱えている問題などを話し合ってきました。ミュージカルという枠を超えて社会的に影響を与えられる作品になっているのではと思います。作品の強さに負けないよう強い心を持っていきたいです」とやる気を滲ませる。

Lというキャラクターさながらの、猫背姿勢の三浦に対し、渡邉は「宏規くんはLの身体的なクセが出ちゃっている」とツッコミ、三浦も「(猫背には)慣れました。でも冷え性なのではだしが辛くて。今日くらいはスリッパ履きたかったけど、これがLの正装なんで」と笑いを誘った。

ミュージカル『スリル・ミー』なども手掛け、数々の演劇賞を受賞してきた日本を代表する演出家・栗山民也が演出を手がけ、音楽は『ジキル&ハイド』『ボニー&クライド』などのブロードウェイ作品のみならず世界的に活躍し、世界各国で新作の創作を熱望され続けているフランク・ワイルドホーンが担当。『デスノート』のファンはもちろん、演劇ファンの注目の公演となっている。

キャストの高い表現力と再現力に拍手

「DEATH NOTE」の文字が書かれたスクリーンが上がると、制服姿のキャストたち。ステージ上のモニターには、「デスノートに名前を書かれた者は、40秒後に死ぬ」というルールにのっとった「40」からの数字カウントが映し出され、冒頭からスリリングな空気が充満する。

「悪は法でしか裁けないのか?」「法が裁けない悪はどうすれば良いのか?」という教師と月による“法と正義”のやりとりから、月がこの世界を憂い、是正しなくてはと強く考えていることが分かる。フランク・ワイルドホーンによる楽曲、オーケストラの生演奏、加藤と渡邉のそれぞれに伸びやかで力強い歌声が三位一体となり、一気に世界観に惹き込まれていく。

浦井健治 ©大場つぐみ・小畑健/集英社
濱田めぐみ ©大場つぐみ・小畑健/集英社

オーケストラビットからリュークとレムが登場し、リュークが「死神の退屈さ」をつらつらと歌い始める。「デスノート」を舞台化する際にリュークの造形がどの様なものになるのか、というのはファンにとって大きな関心だと思うが、浦井の姿はリュークそのもの。りんごを齧り、「退屈だ退屈だ」と駄々を捏ねる姿が、コミカルで面白く、時々見せる冷酷な一面にもゾクっとさせられる。10年前に引き続きレムを演じた濱田によるミステリアスで美しい佇まいからも目が離せない。

自身の持つデスノートを意図的に人間界に落とすリューク。それを月が拾ったことにより物語が始まっていく。

素晴らしい楽曲たちが盛り上げる、今こそ刺さるストーリー

左から)加藤清史郎、浦井健治 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

テレビのニュースで知った犯罪者の名前をノートに書き、実際に死亡してしまったことから、社会を自分の力で良くしていこうと歪んだ正義感を抱いていく月。当初こそ「人を殺してしまった」罪悪感に苛まれるも、「救世主・キラ」だと囃し立てられるうちに、次々とノートへ名前を書き込んでいく。賢く正義感の強い青年であった月と、歪な正義感を振りかざすキラの両面を、加藤は鋭い表情で、渡邉は繊細な瞳で魅せていく。会場に響き渡るふたりの力強い歌声も見事であった。

渡邉蒼 ©大場つぐみ・小畑健/集英社
加藤清史郎 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

そして、もうひとりの主人公とも言えるLの登場からサスペンスが加速していく。

三浦宏規 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

世界の迷宮入り事件を次々と解決してきた天才であり、事件解決のためには手段を選ばないL。猫背で極度の甘党、ひょうひょうとしてつかみどころが無いが頭が切れるという独特のキャラクターを三浦が完璧に表現。月とLの頭脳戦にハラハラさせられっぱなしだ。

三浦宏規 ©大場つぐみ・小畑健/集英社

人気アイドル“ミサミサ”こと弥海砂を演じた鞘師里保も、さすがの歌唱とダンスで観客を魅了する。両親を殺され、その犯人をキラが葬ったことから、キラを崇拝するようになった海砂。キラへ捧げる楽曲には彼女の切実な想いが込められており、鞘師の高い表現力でより心に刺さるものとなっている。

鞘師里保(手前) ©大場つぐみ・小畑健/集英社

そんな海砂のもとにもデスノートが落ちてしまったことで、月・L・海砂による物語が複雑に絡み合っていく。

左から)鞘師里保、濱田めぐみ ©大場つぐみ・小畑健/集英社

原作漫画『デスノート』連載時の2000年初期、ミュージカル初演の10年前よりもさらに“私刑”という行為について考えされることが増えた現在。「人間としても色々なことを感じた」(加藤)、「ミュージカルという枠を超えて社会的に影響を与えられる作品」(渡邉)という月役ふたりの言葉が示す通り、エンタテインメントでありながら、観客に問いを投げかける作品でもある。物語を盛り上げる楽曲の素晴らしさと、キャスト陣の熱演をぜひ劇場で感じてみてほしい。

©大場つぐみ・小畑健/集英社


取材・文:中村梢


<公演情報>
『デスノート THE MUSICAL』

原作:『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス刊)
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
歌詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド
音楽監督・指揮:塩田明弘

【キャスト】
夜神月:加藤清史郎・渡邉蒼(ダブルキャスト)
L:三浦宏規
弥 海砂:鞘師里保
夜神粧裕:リコ(HUNNY BEE)
死神レム:濱田めぐみ
死神リューク:浦井健治
夜神総一郎:今井清隆
ほか

【東京公演】
2025年11月24日(月・休)~12月14日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【大阪公演】
2025年12月20日(土)~23日(火)
会場:SkyシアターMBS

【愛知公演】
2026年1月10日(土)~12日(月・祝)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

【福岡公演】
2026年1月17日(土)・18日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール

【岡山公演】
2026年1月24日(土)・25日(日)
会場:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/deathnote2025/

公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/deathnote2025/

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