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台湾発クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)も話題、ヨコハマダンスコレクション2025 31年目の祭典

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クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)『WAVES』メインビジュアル  (c)LIU Chen-hsiang

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横浜を拠点に毎年開催されているコンテンポラリーダンスの祭典、ヨコハマダンスコレクション2025が、2025年11月27日(木)に開幕する。世界的な振付コンクールの日本プラットフォームとして1996年にはじまり、今回で31回目という歴史ある催し。約500名の振付家を世界に送り出したコンペティションをはじめ、近年の受賞者による公演、世界的に活躍する振付家による新作、海外のダンスフェスティバルとの連携プログラムなど多彩な構成、ダンスの“いま”を肌で感じることができるコンテンポラリーダンスの祭典だ。今年は、台湾を代表するコンテンポラリーダンス・カンパニー、クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)も登場、話題を集めている。

ダンス・音楽・映像の融合で“見えない身体を想像する”

(c)LEE Chia-yeh

クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)は、1973 年、振付家の林懷民(リン・フアイミン)により、中国語圏で最初のコンテンポラリーダンスカンパニーとして設立。2020 年、鄭󠄀宗龍(チェン・ゾンロン)がリンの後を継いでアーティスティック・ディレクターに就任した。世界中のカンパニーとコラボレーションを重ねてきた鄭󠄀宗龍は、路上生活での経験に基づき創作し、上演回数100 回を超える『十三声』(2016 年)、アイスランドのミュージシャン、シガー・ロス(Sigur Rós)とのコラボレーション『Lunar Halo』(2019 年)などで注目されてきた振付家だ。アーティスティック・ディレクター就任後も、󠄀伝統に根ざした彼の創造的な作品とデジタルとグローバル化した世界からの大胆で革新的な視点を融合させて話題を呼び、アジアを代表するカンパニーとして熱い視線を集めている。

『WAVES』(c)LIU Chen-hsiang

今回、日本初上陸が実現する『WAVES』は、2023年に初演、2024年のヴェネチア・ビエンナーレで高い評価を得た作品。アーティスト、コンポーザー、プログラマーの真鍋大度とのコラボレーションによって生まれた本作は、波の概念を身体から発せられる動的エネルギーとして探求し、ダンス・音楽・映像の融合により、“見えない身体を想像する”新たな身体感覚の世界へと誘う。12月13日(土) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>での上演だ。

新たな表現の可能性に挑む場〈コンペティション〉

11月27日(木)から行われるコンペティションは、振付家やダンサーが新たな表現の可能性に挑む場であり、対話・交流のプラットフォームとして知られる。今回は、公募により18の国・地域を拠点に活動する計193組から応募があり、映像・書類審査を経て決定した18組がファイナリストとして上演審査にのぞむ。

「コンペティションI」ファイナリスト
「コンペティションⅡ」ファイナリスト

国内外問わず公演実績のある振付家が対象となるコンペティションIは8組、日本在住25歳以下が対象となるコンペティションⅡ(新人振付家部門)は10名の振付家がファイナリストとして登場、フレッシュな才能との出会いが期待される。

世界が注目する若き才能、大森瑶子&レイラ・カ、日本初演作が横浜で交差する〈ダンスクロス〉

期間中にはほかにも多彩な作品が次々と上演される。

12月1日(月)・2日(火)には〈ダンスクロス〉と称し、大森瑶子『A Park』、レイラ・カ(Leïla Ka)『BOUFFÉES』『YOU’RE THE ONE WE LOVE』を上演。

大森瑶子作品写真  (c)Monia Pavoni courtesy Oriente Occidente

バレエ、コンテンポラリー、ストリートをミックスした独自のダンススタイルで知られる大森の『A Park』は、これまでに自身が経験した感情を、独自のダンススタイルと舞踊のボキャブラリーによって遊具に変換する。9月にイタリアのOrient Occidente Dance Festivalでの世界初演を経て、日本初演。

レイラ・カ(Leïla Ka)作品写真 (c)Pierre Planchenault

またストリートとコンテンポラリーの影響を取り入れ、わずか数年でダンス界の注目を集める存在となったレイラ・カの日本初公演は、コンテンポラリーダンスの殿堂・パリ市立劇場のコンペティションで第1位となった『BOUFFÉES』(ブフェ)と、『YOU’RE THE ONE WE LOVE』のダブルビル。希望の叫び──生命の衝動を歓喜とともに解き放つ。


福永将也×WETTRIBUTE 国際的感性が交わる〈ダンスコネクション〉の2本立て

12月5日(金)・6日(土)に上演される〈ダンスコネクション〉には、ヨコハマダンスコレクション2024コンペティションII最優秀新人賞を受賞した福永将也と、スペインで2022年に結成されたカンパニーWETTRIBUTEが登場。

福永将也作品写真

福永の新作『loafer』は、「記録媒体としての身体とマテリアルについての実践」をテーマに、無意識にバーチャルとリアルの間を行き交う私たちの身体のあり方を提示する。WETTRIBUTEの『TU YO AWITA Y CHIRIMOYA』は、スペイン国際ダンスフェスティバルMASDANZAとの連携で制作、独特な浮遊感と饒舌な身体は、愛情や強さ、さまざまな感情で観客を包み込む。

WETTRIBUTE作品写真


横浜での2年間のリサーチが結実──小㞍健太が探る〈縁側〉のあわい

12月5日(金)・6日(土)、横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールでは小㞍健太<SandD>の『Engawa, The Self in Season』が上演される。2017年にダンスカンパニープロジェクト「SandD(サンド)」を立ち上げ、2024年からは横浜赤レンガ倉庫1号館振付家を務める小㞍が、建築家ハネス・マイヤーとともに横浜で2年間の共同リサーチを行い、縁側を多角的に考察した作品だ。季節のうつろいと暮らしをつなぐ「縁側」の、そのあわいに生まれる余白から、忘れていた想像力と感覚をひらいていく。

小㞍健太作品写真 (c)momoko japan


分断の時代に届ける大阪×香港のコラボレーション

contact Gonzo×TS Crew作品写真 (c) contact Gonzo

12月9日(火)・10日(水)、横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールで上演されるのは、垣尾優と塚原悠也が設立した、大阪拠点のパフォーマンス集団、contact GonzoとHugh ChoとSteve Ng Chung-waiが設立した香港拠点のパフォーミングアーツ・グループ、TS Crewの初の長期にわたるコラボレーションで創作された『Bridging Bridge』。彼らは「橋を架ける」というテーマで、分断が進む世界の人間、文化、社会のあり方を深く考察する2年間のリサーチ&クリエイション・プロジェクトを日本と香港で実施した。日本の城崎国際アートセンターと香港のWest Kowloon Cultural DistrictにあるFreespaceでの滞在制作、2025年11月に香港のフェスティバルFreespace Danceでの世界初演を経ての日本初演だ。

梅田宏明作品写真 (c) Sugawara Kota

また12月7日(日)、KAAT 神奈川芸術劇場<アトリウム>では、振付家、ダンサー、ビジュアル・アーティストの梅田宏明による『Movers Platform JP2』のパフォーマンスが行われる。ジャンルにとらわれずユニークなムーブメントを探求する「ムーバー」たちによる、”これまで”と”これから”を映し出す作品だ。こちらは観覧無料。

コンペティションを含め、全26作品が上演されるヨコハマダンスコレクション2025。現在のダンス、世界との繋がり、新たな才能がぎゅっと詰まった17日間となる。

文:加藤智子


<公演情報>
ヨコハマダンスコレクション2025

2025年11月27日(木) 〜12月13日(土)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール、KAAT 神奈川芸術劇場<ホール><アトリウム>、横浜にぎわい座 のげシャーレ


クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)
チェン・ゾンロン(鄭󠄀宗龍)×真鍋大度『WAVES』

振付・コンセプト:チェン・ゾンロン(鄭󠄀宗龍)
コンセプト・ビジュアル・音楽・プログラム:真鍋大度
出演:クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)

2025年12月13日(土)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
※京都・北九州公演あり

チケット情報


コンペティション I(国内外問わず公演実績のある振付家が対象)

2025年11月29日(土)・30日(日)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

11月29日(土)15:00
・宮 悠介 (日本)『暁鶏-repetitions-』
・Lim Ji Hoon イム・ジフン(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』
・LAI Hung-chung ライ・ホン ジョン<HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』

11月30日(日)15:00
・阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』
・神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』
・Guo Teng グォ・タン(中国)『Consensus Gentium』
・Wang Jiani and Feng Weidi ワン・ジャーニィ&フォン・ウェイディ(中国)『Into Thin Air』


コンペティションII 新人振付家部門

2025年11月27日(木)・28日(金)
会場:横浜にぎわい座 のげシャーレ

11月27日(木)19:00
・武藤光由『エアロックアウト』
・田村虹賀『空間に調和することのレクチャー』
・杉野眞尋『幻惑のマーヤ』
・外山陽大『Lesson4 Part1 Where do you want to go?』
・牛谷匠耀『からのかちののち』

11月28日(金)19:00
・多炭真歩『机の中のごたごた』
・阪田小波『ああ、俺はあと何回膝を曲げたら死ぬのか否か』
・上田園乃「Is it shaking now? The ground, or me? 』
・のよ『Chrysalis』
・横井伽歩『Peeling Scales』


〈ダンスクロス〉
大森瑶子『A Park』 

振付・出演:大森瑶子
製作: 大森瑶子 / DEZAR inc.
共同製作: Oriente Occidente


レイラ・カ『BOUFFÉES』『YOU’RE THE ONE WE LOVE』

『BOUFFÉES』
振付:Leïla Ka
出演:Jade Logmo、Jane Fournier Dumet、Leïla Ka
『YOU’RE THE ONE WE LOVE』
振付:Leïla Ka
出演:Jane Fournier Dumet、Leïla Ka

2025年12月1日(月)・2日(火)
会場:横浜にぎわい座 のげシャーレ


〈ダンスコネクション〉
福永将也『loafer』

コンセプト・振付・出演:福永将也
音楽:tatsukiamano
リサーチ協力:吉岡あおい
メンター:敷地理


WETTRIBUTE『TU YO AWITA Y CHIRIMOYA』

振付:WETTRIBUTE
出演:Andrea Pérez、Abián Hernández
照明:Andrea Pérez

2025年12月5日(金)・6日(土)
会場:横浜にぎわい座 のげシャーレ


小㞍健太<SandD>『Engawa, The Self in Season』

振付演出・コンセプト:小㞍健太
セノグラフィー・コンセプト:ハネス・マイヤー
出演:鳴海令那、佐藤琢哉、堀田千晶、畠中真濃、青柳潤、小㞍健太
音楽:tatsukiamano
企画制作:SandD

2025年12月5日(金)・6日(土)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール


contact Gonzo × TS Crew『Bridging Bridge』

コンセプト・クリエイション・出演:contact Gonzo、TS Crew
委嘱製作・共同制作: WestK Performing Arts(香港)

2025年12月9日(火)・10日(水)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール


梅田 宏明『Movers Platform JP2』(観覧無料)

ディレクター:梅田宏明
出演: AYUMI、大塚郁実、SHIon、新谷颯起、鈴木夢生、中嶋美虹、中村たから、中村優希

企画製作/主催:S20

2025年12月7日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場<アトリウム>

関連リンク

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560739

ヨコハマダンスコレクション2025公式サイト:
https://yokohama-dance-collection.jp

フォトギャラリー(12件)

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