板垣李光人「何か一歩進むきっかけになれば」 映画『ペリリュー』愛子さま鑑賞のチャリティー上映会を開催

戦火での友情を描いた、史実に基づく戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』。11月27日にはイイノホールで愛子内親王殿下御臨席のチャリティ上映会が実施され、声優を務めた板垣李光人と中村倫也、監督の久慈悟郎、原作・共同脚本の武田一義、そして上野賢一郎厚生労働大臣、ピーター・アデルバイ駐日パラオ共和国大使が本編上映前に舞台挨拶を行った。

本作では、太平洋戦争末期の昭和19年9月15日から始まった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し最後まで生き残った34人の兵士たちを描く。心優しい漫画家志望の主人公・田丸均を板垣、頼れる相棒・吉敷佳助を中村が演じる。

舞台挨拶前には、板垣が本作のアフレコ収録前の2025年4月にペリリュー島を訪れた際の特別映像を上映。この日の上映会の売上の一部が「一般社団法人 日本戦没者遺骨収集推進協会」「日本赤十字社」に寄付されることも発表された。

11月27日はちょうど81年前にペリリュー島での戦いにおいてアメリカ軍が「作戦終了」を宣言した終戦の日でもある。原作者の武田が本作を描くきっかけのひとつとなったのは、2015年に当時の天皇・皇后両陛下（現・上皇・上皇后両陛下）がペリリュー島を慰霊訪問された報道だったという。

アフレコ前に現地を訪れた板垣は「戦争は教科書の中で知るもの・見るものという認識でしたが、実際の地を訪問して島の土を踏み、景色を見ることで、戦争が他人事・教科書の中のものではなく実際にあった歴史上のことなんだと実感が湧いてきました。その実感はアフレコする上でも助けになりました」と明かした。中村は「まず身が引き締まる思いで、そして意義を感じ、誠実に臨みたいと思いました。芝居としては極力真っすぐに言葉を吐こうということを意識しました。作る側もしっかりと重く受け止めて作るわけですが、ただそれを重みに感じずに届けたいという気持ちでした」と思いを述べた。

武田は「天皇皇后両陛下がペリリュー島に慰霊訪問に行かれたときに、私はペリリュー島をそれまで全く知りませんでした。自分が知らないことに興味を持って調べて、戦争体験者やペリリュー島の方々とも直接お話を聞いたりして、原作漫画を制作しました。そのきっかけが10年前、当時の天皇皇后両陛下に頂いたと思っております」と感謝の言葉を述べた。久慈監督は「映画化する上では徹底的に歴史を調べ、武田先生の原作から1歩2歩でもペリリュー島の景色やそこにあった音だとか皆さんに臨場感を持って観てもらえるよう、努力して誠心誠意作業しました」と紹介した。

最後に板垣は「この作品は可愛らしい絵柄とは裏腹に、戦争の生々しさや凄惨な部分をしっかりと描いているので目を背けたくなる部分や怖いと感じる部分が出てくると思うけれど、皆さんにはそのときに感じた気持ちを大切にしていただきたいです。その気持ちや本作を通して知ったことを他の方に伝えていく、“知る”という連鎖を生むきっかけになったらうれしいです」と呼びかけた。

上映後には、本日の上映会の売上の一部を寄付する「一般社団法人 日本戦没者遺骨収集推進協会」「日本赤十字社」への贈呈式も行われた。板垣は「20代の若者として何ができるのか、僕は表現者として作品を通して戦争の歴史やペリリュー島を伝えることが自分にできることだと思います。今日こうしてチャリティ上映会という貴重な機会をいただき、これをきっかけに何か一歩進むきっかけになればうれしいです」とコメントした。

囲み取材では、板垣と武田が愛子さまとの交流についても語った。板垣は「席に着いた際に愛子さまの方から“同い年ですよね？”と声をかけていただき、上映後も“同世代として刺激を受けました”と言っていただけました。恐縮ながらもまさか愛子さまと同級生トークができるとは思ってもいなかったので、非常に光栄でした」と感激した様子だった。

＜作品情報＞
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』

12月5日(金)公開

公式サイト：
https://peleliu-movie.jp/

(C)武田一義・白泉社／2025「ペリリュー －楽園のゲルニカ－」製作委員会