『愛でたい美術 -絵画とやきものに見る幸せのかたち-』箱根・岡田美術館で 松竹梅、鳳凰、鶴などめでたいモチーフが一堂に
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鈴木守一《富士図屏風》(部分) 江戸時代末期~明治時代初期 19世紀後半 岡田美術館蔵
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すべて見る2025年12月14日(日)より、箱根の岡田美術館では、『愛でたい美術 ―絵画とやきものに見る幸せのかたち―』が開催される。年を跨ぐ展覧会ということもあり、おめでたいモチーフが愛らしく表現された絵画とやきものを一堂に紹介する展覧会だ。
人々は、延命長寿や子孫繁栄、家内安全などの願いを、さまざまなモチーフにこめて美術品に表現してきた。その中でも一般的によく知られたものが、江戸時代以降、慶賀のモチーフとして盛んに表現されるようになった「松竹梅」。これは厳しい冬を生き抜くことから、中国で「歳寒三友」と呼ばれた高潔の象徴だ。同展では、この松竹梅を描いた江戸時代の《紅白梅図屏風》や、さらに菊のモチーフを加えてめでたさを強調した六角の徳利《色絵松竹梅文徳利》など、絵画ややきものを紹介する。


また、太平の世を知らせる「鳳凰」や、長寿の鳥とされる「鶴」、夫婦和合の鳥と考えられている「鶺鴒」など、鳥が舞う理想の世界も特集する。自由に空を飛べる鳥たちは、人間が到達できない神々の世界からの使者とされ、神聖なものと考えられてきた。こうした鳥のモチーフは、おめでたい松や牡丹などと組み合わせて描かれたが、たとえば岡本秋暉の《孔雀図》のように、9つの徳を備える鳥とされる孔雀と、富貴を象徴する牡丹を合わせた構図は定番だ。

さらに同展では、霊獣で神として祀られる龍や、現世利益を司る七福神の寿老人、自然の力を神格化した風神・雷神まで、神仏のユーモラスな姿にも焦点を当てる。岡田美術館といえば、現代美術家・福井江太郎が制作した美術館正面を飾る風神・雷神の巨大壁画《風・刻》が有名だが、その1/10の貴重な小下図なども展示する。

2026年の干支にちなんだ特集展示「金屏風 ―馬とサムライ―」も見逃せない。ここでは、馬と武士の営みに注目し、古式の競馬や祭礼の様子を描いた5件の金屏風も紹介する。

さまざまな吉祥モチーフが描かれた優品ばかりを集めた、見るだけで晴れやかな気持ちになれそうな展覧会。新たな年を迎えるこの季節に、ぜひ足を運んでみてほしい。
<開催情報>
『愛でたい美術 -絵画とやきものに見る幸せのかたち-』
会期:2025年12月14日(日)~2026年6月7日(日)
会場:岡田美術館
時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日: 2025年12月31日(水)、2026年1月1日(木)
料金:一般・大学生2,800円、小中高生1,800円
公式サイト:
https://www.okada-museum.com/
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