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井口理(King Gnu)主演の舞台『キャッシュ・オン・デリバリー』開幕! 実力派俳優陣の個性が爆発するドタバタコメディ

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『キャッシュ・オン・デリバリー』ゲネプロより 左から)矢本悠馬、井口理 (撮影:高橋聖英)

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人気バンド「King Gnu」のボーカル・井口理のメジャーデビュー後、初めての舞台出演作で主演を務めるコメディ『キャッシュ・オン・デリバリー』が12月5日(金)にTHEATER MILANO-Za(東京・新宿)にて開幕。前日に関係者向けにゲネプロが行われた。

“キャッシュ・オン・デリバリー”は「現金着払い」、「現金引換え払い」を意味する言葉。井口が演じるのは、ロンドンにある自宅で妻と暮らすエリック・スワン。電力公社で働く、ごく普通の勤め人であり、良き夫に見えるが、彼には大きな隠し事が……。実は、電力公社をとっくの昔に解雇されており、それ以来、失業手当や家族手当など、さまざまな手当や控除を手にするために複数の架空の人物をでっち上げ、社会保障省を欺いてきたのだ。

井口理

妻には内緒で2年間にわたって、手を変え、品を変え、多額の手当を受け取ってきたエリックだったが、良心の呵責に耐えられず、自らが生み出した架空の人物たちを穏やかに“抹殺”(=社会保障省に電話で亡くなったことを伝え、給付金をストップしてもらう)しようと決意する。ところが、そこへ社会保障省の調査員であるジェンキンズ(小松和重)がやってきて、彼が生み出した架空の人物のひとりで痛風持ちのルパート・トンプソンへの直接の面会を求める。エリックは、慌ててトンプソンのフリをして書類にサインをするが、一件落着かと思いきや、ジェンキンズは書類には大家のエリックの署名も必要だと主張する。(トンプソンのフリをした)エリックは、2階に住む間借り人のノーマン(矢本悠馬)も巻き込んで、なんとかその場を切り抜けようと、嘘を重ねていくが……。

嘘が嘘を呼び、そこに誤解や偶然が重なり、事態は思わぬ方向へ……というドタバタコメディの王道を行く本作。小田島恒志の翻訳により、英語の言葉遊びやダジャレのようなやりとりが、しっかりと日本語による笑いに変換されている。

メジャーデビュー後、初の舞台出演となる井口だが、大人気ロックバンドのボーカルという“カリスマ”を見事なまでに消して舞台に登場。エリックという男を、いかにもズル賢く、狡猾な詐欺師としてではなく、妻に優しく、ジェンキンズら来訪者たちに対しても穏やかに振る舞う、どこにでもいそうなごく普通の男として演じており、そんな彼が次から次へと襲来するさまざまなピンチにおののきつつ、口八丁手八丁でなんとか切り抜けようとしていくさまが本作の見どころとなっている。

エリックを取り巻く周囲の人物もそれぞれに魅力的で実力派のキャスト陣がその個性を爆発させている。エリックの家の2階の部屋の間借り人で、エリックの嘘に巻き込まれていくノーマンを演じるのは矢本悠馬。彼自身、詐欺を働く気など毛頭なく、恋人との結婚を控え、平穏な暮らしを求めているのだが、知らない間にエリックによって死人に仕立てられてしまい、さらにはエリックのムチャぶりによってジェンキンズらの前で、耳の不自由なピアノの調律師、父親を失ったばかりの息子など、さまざまな人物を演じさせられる羽目になる。矢本は持ち前の瞬発力を発揮して、このドタバタコメディの“核”とも言えるエリックのバディであるノーマンを文字通りの体当たりで演じる。

エリックの妻のリンダを演じるのは山崎紘菜。何も知らずにエリックが電力会社の勤め人として働いていると信じているが、誤解から戸棚にあった女性用の衣服を見て、エリックに異性装趣味があると誤解して激しく動揺する。強く、そして思い込みの激しいリンダを山崎が見事に演じている。

もうひとり、物語をかき回す人物として登場し、期待通りに何度も客席の笑いを誘っていたのが、妃海風が演じる福祉事務所の職員のサリー。亡くなった(ということになっている)ノーマンの遺族を支援するためにエリックの家を訪れ、葬儀の手配などを進めようとするのだが、善意と誤解によって、事態をより混乱させていくことに……。

サリーが手配した真面目一徹な葬儀屋のフォーブライト(脇知弘)、夫の異変を不安に感じたリンダが呼んだ結婚生活カウンセラーで、戸棚から見つかった女性の服を見て、専門家としてエリックの異性装趣味や母親からの影響などを推察し、リンダの誤解を“補強”していくことになるドクター・チャップマン(入野自由)、ノーマンの婚約者で、エリックの嘘のせいで“ノーマンは既婚者で子どもがいる”、“ノーマンは亡くなった”という間違った情報を信じてショックに陥るブレンダ(まりあ)、ジェンキンズの上司で、厳格な調査委員としてエリックの嘘を暴こうと家へと乗り込んでくるミズ・クーパー(明星真由美)など、立場はさまざまだが、エリックの嘘に振り回される面々もバラエティに富んでいる。

さらに唯一、以前からエリックの嘘を知りつつも協力してきたが、思わぬ偶然から、あろうことか死体役(しかも複数人!)をやることになるジョージおじさん(高木渉)、そして、物語の最初から最後まで、エリックやノーマンの嘘に振り回され続け、とんでもない目に遭うことになる社会保障省の調査員・ジェンキンズと計10名の登場人物たちが、リビング、2階、寝室、ダイニング、キッチンを行ったり来たりしながら、客席を笑いの渦へと巻きこんでいく。

序盤のジェンキンズの突然の来訪以降、事態は1ミリも好転することなく、雪だるまのようにただひたすら、嘘と誤解が巨大化していくのだが、果たしてどのような結末に辿り着くのか……?

『キャッシュ・オン・デリバリー』は12月21日(日)までTHEATER MILANO-Zaにて、2026年1月8日(木)から12日(月)までCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。

取材・文:黒豆直樹
撮影:友澤綾乃、高橋聖英


<公演情報>
『キャッシュ・オン・デリバリー』

作:マイケル・クーニー
翻訳:小田島恒志
演出:小貫流星

出演:
井口理
矢本悠馬
山崎紘菜 高木渉 入野自由 妃海風 まりあ 脇知弘 明星真由美 小松和重

【東京公演】
2025年12月5日(金)~21日(日)
会場:THEATER MILANO-Za

【大阪公演】
2026年1月8日(木)~12日(月・祝)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/cash2025/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/cashondelivery/

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