綱啓永を支えるハッピーマインド「困難なんて、なきゃないほどいい人生ですから」
映画
インタビュー
(撮影/米玉利朋子)
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すべて見る家族愛に溢れ、友人を大切にし、ノリが良くて、いつも笑顔。彼ほど「孤独」という言葉が似合わない人も珍しいかもしれない。人を愛し、人に愛される綱啓永の周りには、いつも明るい空気が満ちあふれている。
映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』では、原作屈指の人気キャラ・蘇枋隼飛を好演。自らも作品を愛する一人だけに、ファンの期待も不安もよくわかっている。双肩には、並々ならぬプレッシャーがのしかかっていたはずだ。でも、公開を直前に控えた綱は「今は自信を持ってお届けできるという感情が、僕の大半を占めている」とにこやかに笑う。
どうして綱啓永はいつもこんなに楽しそうなんだろう。その秘密は、決して自分を無闇に追いつめず、常に楽しむ気持ちを忘れない、健やかなハッピーマインドにあった。
島﨑さんの一言でプレッシャーが吹き飛んだ

――先日の最速試写会では、アニメで蘇枋のCVを務める島﨑信長さんと一緒に壇上に立っていましたね。
お会いできてうれしかったです! アニメから入って、その後に原作を読んだ僕にとって、島﨑さんは『WIND BREAKER』を好きになるきっかけになった人。実際の島﨑さんもめちゃくちゃ気さくで、お話し好きな方で。蘇枋のことはもちろん「あの作品のあの役が好きです」と僕がファン丸出しで言うと、「それも観てくれてるの?」と喜んでくださって。舞台裏でもいろいろお話しさせてもらいました。
――島﨑さんからは、綱さんの演じた蘇枋に対し、どんな感想をもらいましたか。
「蘇枋って難しいと思うのに、ちゃんと蘇枋でした」と。その言葉をいただけた瞬間、今まで抱えていたプレッシャーとか不安が一気に吹き飛びました。本当にありがたかったです。日によっていろんな感情が入り混じるんですけど、そのおかげで今は自信を持って蘇枋をお届けできるという感情が、僕の大半を占めています。
――いちファンとしては、ご自身が蘇枋を演じる上でも、島﨑さんの蘇枋から影響を受けた部分はありましたか。
もちろん参考にさせていただきました。ただ、単に真似をするだけだとリアリティがなくなるというか。蘇枋って、現実にいたら変なやつじゃないですか。ずっとこうしてるし(と、蘇枋のように後ろで手を組む)。生身の人間はなかなかそんなことはしないし、3次元での表現の仕方というのは結構悩みました。
――その線引きはどうやって決めていったのでしょう。
シーンごとに、ここではあえて手を下げていきましょうかなどと、監督と相談しながら決めていきました。まったくやらないと蘇枋らしさがなくなるし、ずっとやってると人間味がなくなる。イメージのまま演じると、人間味がなくなってしまうんですよね。
人間味というのは役が愛される重要なポイントであり、観ている人の心に響くところでもあると思うので。今回で言えば、みんなが桜をたしなめる中、蘇枋はニコッとうなずいて突っぱねる桜に理解を示していたり。仲間がいると弱くなると言う桜に対し、蘇枋が気持ちを見せるところだったり。あとは楡井との師弟関係だったり。桜と楡井との関係性の中で、蘇枋の人間味を表現できたらなと考えていました。

――蘇枋らしさという意味では、アクションも欠かせません。
今回は事前にアクション練習の時間も設けていただいて、獅子頭連の鹿沼役の萩原(護)くんと二人でたくさん練習したんですけど、難しかったですね。蘇枋のアクションは、しなやかさが大事。でも単に柔らかいだけじゃダメで、カチッとしたスマートさも必要。そこの見せ方の部分でまず苦労しました。
あと、蘇枋は自分からは仕掛けないんです。自分のテリトリーというものがあって、そこに踏み込んでくる人に対し、相手の攻撃の力を利用していなすのが蘇枋の戦い方。そのイメージを頭の中では描いていたんですけど、実際にやるのは難しくて。体を動かすと硬くなるし、表情も乱れる。蘇枋らしい涼やかさは出しながら、でも楡井をやられた怒りも持っていなくちゃいけない。アクションで蘇枋の気持ちを表すのも、なかなか難しかったです。

大人の階段は22段目。まだ大人になりたくないです(笑)

――アクションシーンでは、蘇枋の名台詞「さあ、俺と一緒に大人の階段上ろうか」も登場します。
初めて台本を読んだときから、「やばい。これ、俺できるんだ!」とうれしくなりました(笑)。と同時に、どう言えばいいんだろうと。アニメの『WIND BREAKER』が好きな綱啓永のまま現場に入ったら、島﨑さんの真似になってしまうと思ったんです。特に今回は声をすごく意識していたので、島﨑さんの声を一旦インプットして、そこから自分の声に削いでいく作業をしました。好きだからこそ、島﨑さんの声に寄りすぎないように気をつけて、ちょうど自分の声がピタッとハマる場所を探していきました。
――そのシーンの出来上がりを観て、いかがでしたか。
よかったんじゃないでしょうか(照)。僕は萩原(健太郎)監督を信頼していたので、現場でオッケーをもらえたときから、これで大丈夫だと信じていました。と言いつつ、そのシーンを観るときは緊張で汗がぶわっと出ましたけど(笑)。
――ではここでベタな質問をさせてください。綱さんは今、大人の階段何段目ですか。
今……26段目です。
――それはただの年齢では。
バレました?(笑) そう考えると違うな。22段目です。
――減りましたね(笑)。
年齢で言えば26段であるべきなんですけど、全然まだ年相応になれていないというか。大人の階段を上れていないし、上りたいと思っていない自分がいるので、22段目くらいかなと。
――ちょうど社会人になりたてくらいの感じですね。
22歳くらいの時期って、ちょっと自分のことを大人になったと勘違いしつつ、でも子どもの頃の感覚を忘れないで楽しく過ごしていたじゃないですか。あの頃の気持ちを忘れたくないんですよね。大人になっても少年心を持ち続けていたい。一生22歳でいたいので、22段目です。

――26歳になったとはいえ、まだまだ自分を少年だなと思うことはいっぱいあるわけですね。
いっぱいあります。友人といるときはずっとそうです。僕は何事も友人第一。友人といるときがいちばんはしゃいでいるし、いちばん楽しそうだなと自分でも思います。もちろん仕事のことを考えるのも大事だけど、頑張って仕事をしているときも、プライベートで友人と遊ぶ時間がモチベーションです。まだまだ友人との遊びに重きを置いてる自分は少年だなって思います。
――とはいえ、ちょっとずつ年齢も上がってきて、友人と話す内容も大人になったなと感じたりしませんか。
それこそ地元の友人が最近結婚しはじめたんですよ。そういう話が出てくると、大人になったなという気持ちにはなります。
――そのうちどんどん家を買ったとか、そういう話になりますよ。
なりますよね。怖い!大人になりたくないです(笑)。
ご飯を食べながらアニメを観るのが、お気に入りのひとり時間

――綱さんというと友人を大事にしているイメージがあります。そんな綱さんは「人に頼るなんて、自分が弱いと言ってるようなもんだろ」という桜の気持ちってわかりますか。
わかります。僕も頼るべきところは頼りますが、基本は自分でなんとかしたいという思いが強い人間なので。だから、壁にぶつかったときは、まず自分で乗り越えようとします。結局自分ひとりでは無理なことのほうが多いんですけど。だから、どんな些細なことでも周りに頼れる人を見ると羨ましいなと思います。
――じゃあ、もし綱さん自身が、桜みたいに「人に頼るなんて、自分が弱いと言ってるようなもんだろ」って言ってる人がいたら、なんて言いますか。
「うるさい!」と言います(笑)。
――あ、人にはそう言うんですね(笑)。
人に対しては言えるのに、自分のこととなるとできない。不思議ですね。人間というのは矛盾を抱えた生き物なんです(笑)。
――この映画はひとりになろうとする桜が仲間を見つける物語です。仲間が好きな綱さんですが、ひとりになりたいと思ったり、孤独を愛するときもあったりしますか。
孤独というと少し意味合いが違いますが、最近ひとり時間が好きになりました。前まではひとりの時間は必要ないと思ってたんですけど、アニメを観るのにハマりまして。ひとりでお店に行って、スマホを置いてアニメを観ながらご飯を食べる時間が、ちょっとした趣味みたいになっています。
――ちなみに何のアニメを?
今ハマってるのは、『ハイキュー!!』です。あと『HUNTER×HUNTER』と。
――『ハイキュー!!』とかストライク世代な気がするんですけど、通ってこなかったんですね。
そうなんです。周りにアニメ好きの友人が多くて、みんなが『ハイキュー!!』が面白いってずっと言ってるのを聞いてはいたんです。だから、いつか観ようとは思っていて、ここに来てやっとハマりました。今、2期まで来たところです。もうバレーがしたくてしょうがないです(笑)。

――ひとり時間の楽しさを知りはじめた綱さんのひとり耐性を聞いていきます。今の話を聞くと、ひとり外食はできるわけですね。
できます!
――じゃあ、ひとり旅は。
できません。
――あ、思った以上にひとり耐性がなかった(笑)。
いや、もちろんひとり旅も素敵だと思いますよ。でも、友人と行ったほうが楽しいじゃないですか。
――友人と行くと行き先やスケジュールを合わせる煩わしさがあるじゃないですか。ゆっくり自分と向き合う時間をつくるために、ひとり旅をしたいなとか。
なるほど……。そういうのもあるのか。確かに島とかならひとりで行ったみたいかも。でも、あくまで行ってみたいのレベルです。
――まだ大人の階段22段目ですからね。
そうです(笑)。でも最近ひとりで買い物は行けるようになりました!
――逆に今まで行けなかったんですね。
絶対友人と一緒でした。でも、この間まで舞台をやっていて、マチソワの間が3時間くらいあったんです。その間にぶらっと劇場周りを散歩して、一人で買い物してる時間は結構楽しかったです。
学生時代は「チャリの神」と呼ばれていました(笑)

――防風鈴には喫茶「ポトス」という溜まり場があります。綱さんの学生時代の溜まり場といえば?
いっぱいありますよ。何クラスかあったんですけど、放課後は教室でいつもしゃべってて。帰るぞとなってからも、校門から長い坂を降りた先に駐輪場があって、その駐輪場でまたずっとしゃべっていました。
そこから駅に向かうんですけど、駅の目の前のコンビニでもしゃべって。僕の家まで友人がついてきて、結局家の前で何時間もしゃべる、みたいな。公園でしゃべるすることもあったし、よく行くラーメン屋もあったし。学校から家までの要所要所に溜まり場がありました。全部が思い出ですね。
――久々に地元に帰ったときに、よく行っていたコンビニを見てエモくなることも?
あります。懐かしいなと思い出に浸りながら、しばらくそこにひとりでうろうろしています(笑)。
――では次の質問です。この作品は風が大きなモチーフになっています。綱さんは追い風が好きですか。向かい風が好きですか。
追い風が好きです。向かい風は大っ嫌いです(笑)。
――性格が出ますね(笑)。
困難なんて、なきゃないほどいい人生ですから。
物理的な向かい風という意味でも、それこそ学生時代は自転車通学だったので向かい風が嫌すぎて……(笑)。僕、自転車を漕ぐのがすごく速いんです。普通のママチャリだったんですが、ロードバイクより速くて、「チャリの神」と呼ばれていました(笑)。
――チャリの神(笑)。
それくらい自転車が好きだったんですけど、向かい風だけは敵でした。追い風がいいです。
――じゃあ最後の質問です。防風鈴のメンバーは街の人々を守るために戦います。綱さんが守りたいものを教えてください。
家族です。理由はないです。家族は僕という人間の核であり、僕が頑張るモチベーション。何があっても家族は守りたいです。
――では、マインド的な意味での守りたいものは?
楽しく生きること。楽しい人と楽しい場所で楽しい時間を過ごすことが大好き。どんなときも楽しむ気持ちは忘れずに守っていきたいです。
――最近楽しいなと感じた瞬間はありますか。
この間、(高橋)文哉と(森)愁斗とご飯を食べたんですよ。なかなか集まれなくて、久々に一緒に過ごせたことが楽しかったです。何を話したかなんて全然覚えてなくて。でもそれがいいんですよね。誰かが「こういう時間のために頑張ってるんだよな」って言ってて、本当そうだよなって思いました。


撮影/米玉利朋子、取材・文/横川良明
ヘアメイク/牧野雄大(vierge)
スタイリスト/三宅剛
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<作品情報>
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
大ヒット公開中

【STORY】
ずっと1人で生きてきた男が出会った初めての仲間たち―
人も、街も、想いも、全てを守り抜く。
ケンカだけが取り柄の孤独な高校生・桜遥(水上)は、不良の巣窟と恐れられる風鈴高校のてっぺんをとるため、街の外からやってきた。そこで桜は、風鈴高校の生徒たちが<防風鈴=ウィンドブレイカー>と呼ばれ、街を守る存在へと変貌を遂げていたことを知る。桜は戸惑いながらも防風鈴のメンバーとして、楡井秋彦(木戸)、蘇枋隼飛(綱) 、杉下京太郎(JUNON)ら仲間と共に街を守るための闘いに身を投じていく。
そんな中、越えてはいけない一線を越えたことをきっかけに、力の絶対信仰を掲げる最凶集団<獅子頭連>が、防風鈴を新たな標的として動き出していた……!「俺は1人でてっぺんをとる」と言い放ち、周囲と衝突してばかりの桜だったが、ある時街に乗り込んできた獅子頭連に楡井が傷つけられてしまい……。
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:
https://wwws.warnerbros.co.jp/wb-movie/
(C)にいさとる/講談社 (C)2025「WIND BREAKER」製作委員会
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