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宝塚の「緑の袴」の展示も『はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代―』弥生美術館で

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高畠華宵「まがきの薔薇」 昭和2(1927)年

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今では大学の卒業式のスタイルとして定着し、近年では小学校の卒業式でも見られるようになった女性の袴(はかま)姿。袴はどのように女性たちに着用されるようになったのか、そしてどのように現在に根づくようになったのか、その歴史とともに袴の魅力と意義を紐解く展覧会が、2026年1月3日(土)から3月29日(日)まで、東京・文京区の弥生美術館で開催される。

明治・大正期の女学生や小学生の通学服となっていた袴だが、近代教育の幕開けとともに登場した当初は、男装的な姿が「醜い」「国辱」とまでの非難を浴び、着用が禁止されたこともあったという。その後、襠(まち)のないスカート状の「女袴」が考案されたことで広まり、明治30年代から昭和初期のわずかな期間に通学服として一般的になった。一方で、かつての宮中の女官の装束に由来する袴は、教師や工女、医者、事務員、電話交換手など、「働く女性」が活動するうえで便利な衣服としても用いられた。

男袴をはいた東京女子師範学校の生徒 明治10年(1877) お茶の水女子大学蔵

今回の展覧会は、そうした「女袴」の知られざる歴史に注目するもの。新時代を象徴する袴姿の女学生たちは、登山やサッカー、バスケまで、活動的にスポーツに親しんだ。袴姿に合う靴や日傘、バッグなど、お洒落な小物や斬新な装いも楽しんでいる。同展では、当時の流行を生き生きと描き出した竹久夢二や高畠華宵(たかばたけ かしょう)らの絵画や挿絵などに加え、お茶の水女子大学をはじめとした多数の学校の協力により、前身となった女学校で用いられていた袴にまつわる貴重な資料が実物も含めて多数展示される。

竹久夢二「テニス」 大正4(1915)年

また、かつての袴姿の文化が現代の女子大生にどのように受け継がれたのかにも注目する。その一つのきっかけは、漫画家・大和和紀(やまと わき)による『はいからさんが通る』だという。袴姿の女学生像を決定づけたこの作品は、のちに宝塚の演目ともなり、今回は同演目のキャストも務めた元宝塚劇団花組の天真みちる氏から借用した宝塚の「緑の袴」も登場する。またこの作品以後、昭和から令和に至るまで、袴姿が描かれた漫画の原画や複製原画が並ぶのも楽しみなところだ。和装から洋装へと移り行くはざまに花開いた袴姿の歴史を、多彩な作品と実物資料でたどる興味深い展覧会となっている。

大和和紀「はいからさんが通る」 昭和51(1976)年  (C)大和和紀/講談社

<開催情報>
『はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代―』

会期 2026年1月3日(土)~2026年3月29日(日)
会場:弥生美術館
時間:10:00~17:00(※最終入館は~16:30)
休館日 月曜日、1月13日(火)、2月24日(火)休館(※ただし1月12日(月)、2月23日(月祝)は開館)
料金:一般1200円、大・高生1000円、中・小学生500円
*竹久夢二美術館と2館併せて観覧可能
公式サイト:
https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

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