2026年1月公開! 幸四郎、松也の両バージョンで目に焼き付けたい、シネマ歌舞伎『歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼』の魅力
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シネマ歌舞伎『歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼』
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すべて見る歌舞伎の舞台を撮影し、映画館で楽しむ“シネマ歌舞伎”最新作『歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼(おぼろのもりにすむおに)』が、2026年1月、全国の映画館で公開される。歌舞伎の伝統と革新的な表現を融合させた歌舞伎NEXTの第2弾、作・中島かずき、演出・いのうえひでのりという劇団☆新感線のゴールデンコンビによる舞台は、2024年11月〜12月に東京・新橋演舞場、2025年2月に福岡・博多座で上演、松本幸四郎、尾上松也がWキャストで主人公・ライを演じ、センセーションを巻きこした。シネマ歌舞伎として映像化された本作は、幸四郎版が1月2日(金) 、松也版が1月23日(金) より公開、それぞれが描き出す“究極の悪”がスクリーンに蘇る。
古典から新作歌舞伎まで多彩なラインアップで展開してきたシネマ歌舞伎。独特のカメラワーク、工夫の行き届いた編集の妙が生み出す迫力の映像は、実際の劇場の客席では味わうことのできない、いわば“超特等席”の体験をもたらす。『歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼』には、まさにその超特等席でこそ味わえる魅力がぎゅっと詰まった作品だ。
2007年に上演された劇団☆新感線公演 INOUEKABUKI SHOCHIKU-MIX『朧の森に棲む鬼』に主演し、今回17年ぶりに主人公・ライに取り組んだ幸四郎は、その“究極の悪”をより深みある演技で体現。初挑戦となった松也も、ワイルドかつ人間味たっぷりに悪党ぶりを表現、Wキャストで全く異なる魅力をたたえるライを誕生させた。朧の森で出会った3人の魔物に見込まれ、一気に悪の深みへと滑り落ちていくそのドラマが、生の舞台のパワーを超えるほどの圧倒的な説得力をもって迫ってくるのは、演じ手の微妙な表情の変化、ちょっとした仕草まで鮮やかに映し出すシネマ歌舞伎ならでは。幸四郎がニヤリと目を光らせたり、松也がちゃめっ気たっぷりに笑顔を見せたりする瞬間が、映画館の大きなスクリーンで味わえる。幸四郎、両方バージョンを観てこそ、それぞれのアプローチ、その魅力がより明らかに。
もちろん、ダイナミックな戦闘シーンも大きな魅力。新感線作品の伝統ともいえる、効果音を効かせた激しい立廻りは、複数のアングルで捉えた映像を複雑なカット割りで見せ、クラクラするほどの疾走感。ライが魔物から授けられた「オボロの剣」が威力を発揮、口のうまいライの舌に合わせて自在に動くさまも、禍々しく、また力強く映し出す。
ライを取り巻く多彩な登場人物たちも、迫力のズームアップでそれぞれの強烈な個性を印象付ける。ライの“永遠の弟分”キンタ役、尾上右近は豊かな表情が絶妙、その無邪気さが、ライが嘘と欲望にまみれてゆくさまをより一層際立たせる。エイアン国の四天王のひとりで検非違使の長・ツナを勤める中村時蔵のクールビューティーな佇まい、エイアン国の国王・イチノオオキミの愛人シキブを勤める坂東新悟の凄みある美貌も鮮烈だ。シキブが幼馴染のツナに嫉妬し陰で悪態を放つ場面は、ズームアップならではの驚愕のインパクト。それだけに、イチノオオキミ役の坂東彌十郎の温かな笑顔が癒しに。
密偵の武士・アラドウジ役の澤村宗之助、シキブに仕えるショウゲン役の大谷廣太郎、盗賊たちを束ねる大悪党・マダレ役の市川猿弥の強烈な存在感、歌舞伎俳優だからこその奥行きある演技も、大スクリーンで微細にわたるまで堪能できる。また、敵国・オーエ国の党首シュテンを演じるのは市川染五郎。観客の目を釘付けにしたその妖しげかつ高貴な美しさを再認識。幸四郎との“親子対決”にも注目だ。先月急逝した片岡亀蔵がエイアン国四天王のひとり、ウラベ役を演じる姿、ホラー映画好きならではの演技も、あらためて目に焼き付けたい。
歌舞伎俳優たちが全身全霊で演じる姿の、その息遣い、滴り落ちる汗、細やかな所作、また至るところに“キラキラ”を施した衣裳のゴージャス感、その重量感や空気の動きまで、生の舞台では捉えにくいディテールも映像の力で伝える。シネマ歌舞伎は、『朧の森に棲む鬼』の魅力をより鮮明に浮かび上がらせる“超特等席”を、間違いなく提供してくれるだろう。
文:加藤智子
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<作品情報>
シネマ歌舞伎 『歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼(幸四郎版)(松也版)』
幸四郎版予告編
松也版予告編
上映期間:
幸四郎版 2026年1月2日(金)~
松也版 2026年1月23日(金)~
全国54館の映画館にて上映
(C)松竹株式会社
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