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BUCK∞TICK、全国ツアー『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』グランドフィナーレ日本武道館公演 のオフィシャルレポート到着!

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『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』 Photo:田中聖太郎

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BUCK∞TICKが、12月29日東京・日本武道館にて『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』のファイナル公演を開催した。

これまで進化という言葉によって、BUCK∞TICKの変化の速度や新奇性が強調されてきたが、4人体制となったBUCK∞TICKが2025年に進化とともに推し進めたことは、新しい体制を世の中に周知させ、定着させることだった。2024年12月にリリースしたアルバム『スブロサ SUBROSA』を携え、ライブハウスツアーとホールツアーという2本のツアーで全国を巡り、さらに11月には3本の大型音楽フェスに出演。その姿勢は、新体制後のインタビューで今井寿(vo&g)が語っていた「場数を踏むしかない」という言葉とも呼応していたと思う。

ステージを飛び出し、客席まで降りていってフロアを盛り上げたホールツアーでは、固定のセットリストで『スブロサ SUBROSA』の世界観を磨き上げ、浸透させていった。それをギュッと凝縮した形で表現した音楽フェスでは、圧倒的な存在感で彼らを初めて観る音楽ファンにも大きなインパクトを残したはずだ。12月29日の日本武道館公演は、そうした一年の活動の集大成であり、『スブロサ SUBROSA』の世界観を完結させる場でもあった。本公演は全国の映画館でライブ・ビューイングされ、各地で多くの人が同じ時間を共有したことも大きなトピックだ。

インダストリアルなノイズ音に、ひそひそと何かを企むような囁き声。そんなSEが響く中、メンバーが登場すると、ステージ前方に下がっていたスチール製の大きな薔薇のモチーフが天井へとせり上がる。この先、一度も降りてくることなく掲げられたままの大きな薔薇の下で『-ナイショの薔薇の下-』公演が幕を開けたのである。

一曲目は「百万那由多ノ塵SCUM」。BUCK∞TICKの進化の度合いは、一年間すべてのワンマン公演においてオープニングで演奏してきたこの曲に顕著に表われていて、今井寿と星野英彦(vo&g)のボーカルは磨きがかかり、樋口豊(b)とヤガミ・トール(ds)による躍動するリズムも力強さが増していた。聴く者の心に寄り添い、すくい上げてきた曲をじっくりと聴かせると、「アガっていくよー、Boys&Girls!」と今井の号令で一気にテンションを引き上げ、アップチューンの「雷神 風神 - レゾナンス #rising」へ。以降、本編は『スブロサ SUBROSA』の楽曲のみで構成され、濃縮した世界を展開していくのだが、明らかに変化したのは、より自由で大胆さを増したパフォーマンスだ。3本の音楽フェスで受けた刺激も影響したのだろうか。今井は何度も「フゥー!」とテンションの高い雄叫びを放ち、星野も曲間で言葉を発することが増え、樋口も自分の立ち位置を離れて積極的に観客に接近していく。その度に会場のボルテージはどんどん上昇していくのだった。さらに「夢遊猫 SLEEP WALK」や「From Now On」で、今井と星野がシンセサイザーで繰り出す即興性の高いサウンドやノイズも、音源とは違う余韻をつけた。より自由度の増した今井と星野が放つサウンドを、骨太なグルーヴを生む樋口のベースと、ヤガミの端正なドラムが支える。

アバンギャルドな映像で幻想的な空間を作り出したインスト曲「ストレリチア」からの中盤は、アフロビートで軽快にフロアを縦に揺らした「冥王星で死ね」、「武道館、腰を振ってもらえますかー?」と星野の煽りから始まった「paradeno mori」は横ノリのダンスチューン。一体となった観客のハンドクラップが高揚感を高めたところで、変幻自在な今のBUCK∞TICKをそのまま楽曲に落とし込んだような「遊星通信」へ。『スブロサ SUBROSA』唯一のバラード曲「絶望という名の君へ」での星野の柔らかいボーカルは、今井作詞の祈りのようなメッセージをまっすぐに届けた。

インスト曲「神経質な階段」から続く終盤3曲の没入感は凄まじいものがあった。星野がボーカルをとる「プシュケー – PSYCHE –」は、スリリングなリフのリフレインが鬼気迫るような緊張感を生み、「なあ見えるか、天使がラッパを吹いている」という言葉から始まる「ガブリエルのラッパ」は、三連符のリズムに印象的な言葉をポエティックに投げていく。背景は激しい雨を降らせる灰色の不穏な空。その雨はやがて止み、ラストナンバーの「黄昏のハウリング」では、雲の切れ目から天使のハシゴが降りる。「3000年後の荒野で会おうぜ、必ずだ」と語りかけ、アンビエントなアンサンブルと情感を秘めた今井の歌声が会場に広がっていく。祈りと希いを込めて。演奏を終えたメンバーがステージを降りた後も、今井は咆哮するようにいつまでもギターを鳴らしていた。

まるで雷神様が太鼓を打ち鳴らしているかのような、ヤガミの痛快なドラムソロで始まったアンコール。今井がツアーTシャツの上に羽織っていたのは、シングル「渋谷ハリアッパ!」の購入者対象抽選プレゼントとして作られた法被、その名も“渋谷ハリハッピ!”。「さあ、始めよう。新しいロックンロール。アクション!」と声を上げると、「渋谷ハリアッパ!」と、星野ボーカルの「風のプロローグ」を続けて披露。さらに「TIKI TIKI BOOM」で会場がヒートアップしたところで、4つ打ちのダンスナンバー「Baby, I want you.」を投下。デジタル色を抑え、バンドサウンドを強くしたアレンジで新たな解釈を提示した。

ツアーではここで終わっていたが、ギタリスト今井を象徴する赤いギター、通称“赤マイマイ”を肩にかけると会場がざわついた。奏でたのは「スピード」の印象深い短音イントロ。その後、印象的なギターリフが入るはずだが、今井はその4小節を弾き終わるとギターをスタッフに手渡し、ハンドマイクでボーカルに徹する。1991年リリースのBUCK-TICKを代表するシングル曲のひとつである「スピード」が、今井と星野のツインボーカルで生まれ変わった。かつて歌われていた伏字部分の歌詞は今井流に言い換えられ、サビのラストコードをアレンジして明るい印象に。シングル曲のような代表曲はもう聴けないんじゃないかと思っていたのは、こちら側の勝手な思い込みだった。会場のボルテージが最高潮に到達したところで大団円。

「気持ちいい乾杯がこれでできます。みなさんも乾杯してください。今日はハレの日です。がっがっがっがと自分が信じた道をまっしぐらに突き進んでください。また会いましょう。バイバイ、ピース!」 キーボードでデタラメに鍵盤を叩きながら、今井が放ったポジティブなメッセージ。その時、とてもすがすがしい表情をしていた。

終演後、SE「THEME OF B-T」に乗せて、2026年のスケジュールが告知された。まずは6月16日(火)星野英彦還暦バースデー当日に東京・SGC HALL ARIAKEでワンマンライブ。その後、6月27日(土)より、ファンクラブ『FISH TANK』の30周年記念ツアーと、12月29日(火)東京・日本武道館公演の開催が決定した。さらに新作のレコーディングも開始されるとのことだ。

思い返せば、「疾風のブレードランナー」で幕開けた2023年12月の4人での武道館で、“愛しいものの気配”を感じながら走り始めたBUCK∞TICK。そういえば今井の髪色も2年前と同じ赤色だった。そんな2025年の締めくくりに彼らは「スピード」を選び、“愛しいものを全て 胸に抱いて”、『スブロサ SUBROSA』の物語をひとつの完結へと導いた。気配だったものは、今はこの胸の中にある。失われたと思っていたものは、形を変えて確かにここにあるのだ。次なるBUCK∞TICKはこの続きを描くのか、それともまったく違う新しいストーリーを描くのか、それはまだわからないが、スピードもボリュームも上げながら、これからも信じた道を突き進んでいくのだろう。  

Text:大窪由香 Photo:田中聖太郎

<公演情報>
『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』
2025年12月29日(月) 東京・日本武道館

【Set list】

1. 百万那由多ノ塵SCUM
2. 雷神 風神 - レゾナンス #rising
3. 夢遊猫 SLEEP WALK
4. スブロサ SUBROSA
5. From Now On
6. Rezisto
7. ストレリチア
8. 冥王星で死ね
9. paradeno mori
10. 遊星通信
11. 絶望という名の君へ
12. 神経質な階段
13. プシュケー - PSYCHE -
14. ガブリエルのラッパ
15. 黄昏のハウリング
EN
1. 渋谷ハリアッパ!
2. 風のプロローグ
3. TIKI TIKI BOOM
4. Baby, I want you.
5. スピード

BUCK∞TICK オフィシャルサイト

https://buck-tick.com/

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