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宮沢りえが明かす、ロバート・アイク翻案『メアリー・ステュアート』への挑戦、演出家・栗山民也へのリスペクト

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宮沢りえ (撮影:福岡諒祠)

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2026年4月に東京・PARCO劇場で開幕する舞台、パルコ・プロデュース2026『メアリー・ステュアート』に、宮沢りえが主演する。原作はドイツ古典主義を代表する作家フリードリッヒ・シラーの戯曲で、宮沢が演じるのは、宗教対立や権力闘争が激化する16世紀ヨーロッパに生まれ、激動の人生を生き、断頭台に消えたスコットランド女王だ。その最後の2日弱の、イングランド女王・エリザベス1世とのスリリングな駆け引き、その愛と憎しみを、宮沢はどう体現するのだろう。自身でも「大きな挑戦」という本作への取り組み、戯曲の魅力について、インタビューした。

ロバート・アイクが書こうとしたこと。その“謎”を知りたい

きっかけは、2024年に上演され、広く注目された舞台『オーランド』だった。このとき初顔合わせが実現した演出家・栗山民也が、宮沢主演の次回作として『メアリー・ステュアート』を選んだという。

「『オーランド』では、栗山さんと初めてご一緒させていただき、とても豊かで充実した稽古の時間を得ました。本を深く読み解き、私にとって人生のポイントになるような作品に出会うことができた。その栗山さんが次に何を提案して下さるのかと思ったら、『メアリー・ステュアート』──。“うわっ!”と思いました(笑)」

さまざまな翻案、演出によって上演が重ねられてきた作品だ。宮沢は二人の女優のみによって演じられる二人芝居のバージョンを観ているというが、今回の上演は、英国の劇作家・演出家ロバート・アイクが翻案し、2016年にロンドン・アルメイダ劇場で初演、センセーションを巻き起こした戯曲による。近年では2021年に栗山が演出した作品『ザ・ドクター』で話題を呼んだ。

「『メアリー・ステュアート』は国境も時代も超えて愛されてきた作品ですが、いろんな方が取り上げてきた中、ロバート・アイクさんが書こうとされたことって何だろう、また栗山さんがそれを演出されようとした動機──。役者として、その答えを知りたいという思いがあります。二人の女王の、権力、政治、生と死、より奥深くの心理戦と、ものすごくたくさんのものが詰まっていて、演じるには相当なエネルギーがいるなと感じています」

時代も国境も性別も飛び越えて生き続けるオーランドを演じ、鮮烈な印象を残した宮沢だが、台本を受け取った当初を振り返ると不安な気持ちもあったようだ。

「栗山さんに『これをどうやるのですか?』と尋ねに行くと、『どうなるかわからないものに挑戦するほうが面白いだろう』とおっしゃいました。それは私の中に強く刻まれて、これからずっと、演じていくうえで大事にしたい言葉になりました」

幼くして王位を継承、その後フランス王妃として幸福な日々を過ごすも、三度におよぶ結婚と死別、亡命、陰謀と、波乱に満ちた人生を送ったメアリー・ステュアート。そんな歴史上の人物に、宮沢はどうアプローチしていくのか。

「16世紀の物語ですが、いまの自分がその世界を、時代も国境も超えて生きるとき、私は時代背景や台本に書かれていないことも知っていたいと思うんです。栗山さんの玉手箱のような引き出しからいただく言葉を蓄積させ、その蓄積されたもののうえで動くには、ある程度、知識や情報を得ていたほうが、想像が広がります。今日の取材を前に読んだ文章の中に、メアリー・ステュアートが暗号として書いた文書が、2018年にある図書館で見つかったというものがありました。当初はメアリーが書いたとみなされていなかったそうですが、実は彼女が陰謀を練っているときの手紙だったと……。ワクワクしました! 好奇心を掻きたてられるのは大好きですし、知識という土台を踏みならして、そこで自由に演じることができたら。劇中でメアリーとエリザベスが出会うシーンなんて、本当に鳥肌が立ちました。500年前に起きたことが、まるでいま起きているようにそこで生きること、それを目撃していただくこと──そこには毎回、興奮があります」

『メアリー・ステュアート』ソロビジュアル

メアリーとエリザベスが、鏡を挟んでぶつかり合う

メアリー・ステュアートという人物の、その魅力にすっかり引き込まれた様子の宮沢だが、今回、若村麻由美が演じるエリザベスにも魅力を感じているという。

「この作品がイギリスで演出されたときは、二人の女優さんがコインを投げて、その日の舞台でどちらがメアリー、エリザベスを演じるかを決めた、と聞きました。素敵だなって思います。そのエピソードが印象に残っていたからかもしれませんが、メアリーを演じるうえでエリザベスを知ることはとても大事だと感じます。台本を読むと、メアリーを思いながら、同時にエリザベスの心の描写が気になってくる。とても不思議な台本です。メアリーとエリザベスが、鏡を挟んでぶつかり合っているような感覚──。舞台でそれが立体的に見えてくるのが楽しみです。シリアスでヒリヒリするようなストーリーだけれども、キャスティングされた皆さんのお顔を見ると、二人芝居のバージョンで描かれていたものとはまた別の立体感が生まれるように思います。上演が発表されたときのお客さんの好奇心や期待を、いい意味で裏切るようなものにできたら──せっかくだから、見たことのないもののほうが面白いじゃないですか(笑)」

同時に、栗山との稽古への期待を募らせる。『オーランド』への取り組みは、かけがえのない、有意義な体験となったようだ。

「『オーランド』のお稽古では、栗山さんの言葉を台本に書き込むうち、余白がなくなりました。それほどに細かく、呼吸の深さ一つまでこだわっていらっしゃっていて、その部分に関しては私たちがちゃんと辿り着けるまでやってくださる。いい意味で“近道”を示される。とても新鮮でした。より豊かな演出の言葉をいただけるし、より高い完成度に到達できて、初日にきちんと、不安なく飛び立てる。栗山さんの魔法なんだろうなと思います。決めてくださる分、経験の違いによる遠慮もないし、役者さん同士がフラットな関係でいられるのもいいんです。加えて、急に『ここは自由に動いていいよ』とおっしゃることも。稽古を重ねて、役者さんそれぞれの個性を見て、『ここでは自由をあげるよ』と言ってもらえたりするところも面白くて」

栗山へのリスペクトの気持ちが、とめどなくあふれ出す。栗山との稽古のその先、どんな気持ちで舞台に立つことになるのか。

「たぎりたい──根本がちゃんとたぎっていれば、静も動も、生きられる感じがします。鮮度を保って公演を重ねていきたいし、皆さんの心に伝わるよう、静かに立っていてもきちんと物語を背負っていられるようにするためには、心がうごめいて、たぎっていることが大事だと感じます。ここでしか見えない、見ることのできない二人の女王が存在する舞台になると思うし、舞台の板の上だけでなく、皆さんも一緒に、この物語の住人になってもらえるようなことが起きたらいいなと思います」

取材・文:加藤智子 撮影:福岡諒祠


<公演情報>
パルコ・プロデュース 2026『メアリー・ステュアート』

原作:フリードリッヒ・シラー
翻案:ロバート・アイク
翻訳:小田島則子
演出:栗山民也

出演:
宮沢りえ 若村麻由美 橋本淳 木村達成 犬山イヌコ 谷田歩 大場泰正
宮﨑秋人 釆澤靖起 阿南健治 久保酎吉/伊藤麗 上野恵佳 松本祐華/段田安則

【東京公演】
2026年4月8日(水)~5月1日(金)
会場:PARCO劇場

【福岡公演】
2026年5月9日(土)・10日(日)
会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール

【兵庫公演】
2026年5月14日(木)~17日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【愛知公演】
2026年5月21日(木)~23日(土)
会場:穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール

【北海道公演】
2026年5月30日(土)・31日(日)
会場:カナモトホール(札幌市民ホール)

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/marystuart2026/

公式サイト:
https://stage.parco.jp/program/marystuart2026

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