友近、憧れの名取裕子と最強バディ結成! 『テレビショッピングの女王』で挑む2サスへの深すぎる愛
映画
インタビュー
友近 撮影:幸喜ひかり
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あるときは芸能生活50周年を迎えた演歌歌手の水谷千重子として、またあるときはデリバリーピザ屋に勤める中高年プロアルバイターの西尾一男として、他にも一度観ると忘れられない数々の鮮烈なキャラクターを生み出し体現し続けているのは、お笑い芸人の友近だ。
その才気あふれる芸風が知られる友近は、2026年2月6日から全国で公開される「2時間サスペンス THE MOVIE シリーズ」の第1弾『テレビショッピングの女王 ⻘池春香の事件チャンネル』に、名取裕子演じる主人公・⻘池春香のバディとなる⻑野吉江役として出演する。
昭和から平成にかけて、⺠放各局で放送されていた2時間サスペンスドラマは多くの視聴者を虜にしてきたものだが、近年は地上波で観る機会が少なくなった。そんななか「2時間サスペンスが好き」だと公言し、『友近ワイド劇場』や『友近サスペンス劇場』として自ら企画・出演・発信してきた友近。そもそもファンの五社英雄監督作『吉原炎上』の主演女優である名取へのリスペクトから親交を深めてきた友近が、映画ではどのようなバディぶりを見せるのか?
映画、そして2時間サスペンスドラマの魅力について、たっぷりと語ってくれた。
“おばちゃんの加減”をすごく考えながら演じました

――『テレビショッピングの女王 ⻘池春香の事件チャンネル』に出演している友近さんですが、ご自身では友近ワイド劇場『黒蛙の美女』を創り出し、フィルムエストTVと組んだ友近サスペンス劇場『外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』はYouTubeで約460万回再生を超えるほど反響を呼んでいます。ご自身で企画しようと思ったきっかけは?
もともと2時間サスペンスドラマが好きなんですよ。友近ワイド劇場『黒蛙の美女』は、昭和の2時間ドラマへの愛とオマージュを込めたコントライブツアーとして全国を回った映像を自分のYouTube「楽演チャンネル」で公開しています。『外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』は、現代なのに昭和風の映像で加工する映像が得意なフィルムエストTVさんに、私は昭和の映像美で届ける2時間ドラマが観たくて、「2時間ドラマを撮りませんか?」と自分の企画を提案して、「やろう!」となりました。
監督の西井紘輝くんは当時29歳で昭和のことは世代としては知らないですし、ドラマを撮ったことがなかったのですが、興味津々で乗ってくれて。みんなが初めての経験とは思えないほどの作品になりました。今はショートドラマが流行っていて、長い作品は観ないと言われている時代に、「2時間思わず最後まで観ちゃった」という人が多かったようです。

――今回の映画では、2時間サスペンスドラマの主演経験を持つ名取さんが“歴代最高売上を誇るレジェンドナビゲーターにしてカリスマバイヤー”⻘池春香役、友近さんは“関⻄で実演販売の女王として君臨する”⻑野吉江役となりますが、お話が来たときのお気持ちは?
名取さんとガッツリとお芝居できるのが光栄で嬉しくて、オファーが来てすぐ「やらせてください」とお返事をさせていただきました。しかもサスペンスで、題材がショッピングの女王対決となると、面白い作品になるにおいしかしない。とにかく撮影が楽しみでしたね。
――「よっちゃん」こと⻑野吉江の役作りについて、監督からのアドバイスはありましたか?
白川士監督から「大阪のコテコテのおばちゃんを演じてほしい」と希望されて。自然体のおばちゃんのコントはやったことがありますが、映像作品でデフォルメをしたおばちゃんを演じたことがあまりないのと、最初に用意されていた衣装が全部ヒョウ柄だったんですよ(苦笑)。あまりにもザ・大阪のイメージが強いキャラクターになってしまうと、おばちゃんのキャラの範囲が狭まってきそうだったので、ヒョウ柄以外の衣装の写真を送ったりして、楽しみながらもどこをデフォルメするかも含めて監督と「こういう感じでやらせてもらっていいですか?」とお話しして“おばちゃんの加減”をすごく考えながら演じました。
『吉原炎上』の名取裕子さんを観返して喜びを噛みしめる

――名取裕子さんとは、最初にトーク番組でご一緒されたり、演歌歌手・水谷千重子さんのステージにゲスト出演されたり交流が続いていますが、映像作品での共演はいかがでしたか?
水谷千重子1回目の公演に名取さんはゲストで出てくださったんですよ。今までは1日のうちの数時間での共演という形だったので、今回の映画撮影ほど向き合わせていただくことはなかった分、ガッツリとバディとして共演させていただき、ご一緒できてすごく楽しかったですし、感激しました。名取さんは「水谷千重子のファンだから」と言って、舞台も観にきてくださっていたりするので、私のことをよく知ってくれているんです。
――実際に名取さんと共演されて、何か気づきを得たようなことはありましたか?
得たことはいっぱいあります。シリアスな演技ができる方はなんでもできると言いますか、お笑いのようなユニークな、コミカルな演技でもおできになるんだなとか、当たり前なんですけどね。どんなシーンでもものにされるんだなと思いましたね。あとはやっぱり名取さんの横に自分がいることが不思議でした。ずーっと『吉原炎上』をはじめとした名取さんの主演映画を観てきて、「すごい!」と思っていた方ですから。撮影の合間にも、休憩中にスマホで『吉原炎上』の名取さんを動画で観ていたんですが、「今、私この人と一緒にお芝居やってるねんなぁ」と喜びを噛みしめていました。
――では撮影中の印象に残っているエピソードといえば?
名取さんがずっと面白かったことですね。もともと楽しいことがお好きなのと、よく冗談を言われていたと思います。それはきっと場の空気を和ませるためなのと、本当に楽しいことがお好きだというのが伝わってきて。撮影のときは暑い時期だったので、名取さんがご自宅から涼しくなるアイテムをいろいろと持ってきてくださったり、現場に求められていることをすべて把握されていると感じましたし、名取さんの存在にとても助けられました。

――映画では、青池春香のマネージャー栗林洋太(加藤諒)が春香に企画を提案する際、春香の想像の中で、水谷千重子に扮する名取さんや、逆に名取さんの主演2時間サスペンスドラマ『法医学教室の事件ファイル』の主人公に扮する友近さんのひとコマもありました。ああいったパロディシーンが何度か登場して楽しく拝見しましたが、ご自身ではどんな印象でしたか?
楽しくご覧いただいたのは良かったです。ただ、私は芸人目線になってしまうので、バラエティのようなシーンは普通には観られないところがあって……。芸人(私)は、シリアスなドラマの方がやりやすいんですよね。普段の顔じゃない面を出したい。なので、お笑いの延長のような役が、ある意味、難しいんですよ。でも、名取さんは普段あまり見えないユニークさをこの映画ですごく表現されていて、新しい一面を観ることができるので、値打ちのある映画になっていると思います。私も演じるのは嬉しかったんですが、名取さんが楽しんでいらっしゃるのを見ている方が楽しかったですね。
楽しいといえば、撮影の合間に、名取さんと自分のプライベートの写真をめちゃめちゃ撮りまくりました(笑)。役の服を着ているのも面白かったです。
――ストーリーにおいて、もちろんサスペンスの部分はきっちり進んでいくんですよね。
はい、サスペンス部分はしっかり進みます。素晴らしい脚本ですし、サスペンスが好きなので、携われて嬉しいからこそバラエティ色がすごく入っている作品をお客さんがどう観るのかが想像しづらいところがあって。変わった要素のドラマになっていると思いますが、みなさんが楽しんで観てくださるなら、ホッとします。
私は自分で本を書き演出するから、人の本に慣れない

――“関⻄の実演販売の女王”という役柄でしたが、演じる際、苦労された点はありましたか?
セリフ覚えにおいて、いろいろな人の名前が出てくるシーンや、推理する部分のセリフがごっちゃにはならないようにするのが大変でしたね。それと実演販売をする役なので、リズムを崩しちゃいけないところも難しかったです。話を噛んだり、詰まったりすると成立しないシーンなので、実演販売の文言の言い回しを毎日練習していました。
――では、もしも友近さんご自身で何かを実演販売で売るとしたら、何を売りたいですか?
そうですね、「この場所のここがいい!」と、自分のプレゼンで熱くできるものがいいから、旅行のプランとかですかね。あとは、人のプレゼン。「この人のここが面白かった」「この人のここはそういうのをあまりみんなが気づいてない」ということを、常に自分の目線で宣伝したい気持ちはあります。
――今回、映画では2時間サスペンスドラマの王道の怪しい人物の登場や謎解きなど、私は2時間サスペンスドラマが好きなのでたまらない内容でした。2時間ものにはお馴染みの水野真紀さんや中山忍さんや、風間トオルさん他キャストの方と共演した感想は?
みなさんとは今までも交流があるので、そういう意味ではやりやすい現場でした。東ちづるさんも水野さんも中山さんも気さくな方ですし、風間さんだけ初めましてでしたけど。でも、私は本当にセリフをめちゃめちゃ直前まで覚えていないと緊張するので、常に余裕がなくて。名取さんは「友近さん、待ち時間はおとなしくされてた」と言ってたんですけど、出番の前はそうしないと余裕がないんです。

――それは映画が本格サスペンスだからですか? ご自身で企画されたドラマやコントでも同じですか?
同じです。本番の直前までセリフを覚えていないと余裕がないです。でも、名取さんは現場も慣れていらっしゃるし、その場で作ってその場でセリフが入るっていう方なので、すごく明るくおしゃべりされてました。人の脳の作りが違うのか分からないんですけど、本当はもっと現場を楽しみたい中、そんなのできないんですよね。
――完成した映画をご覧になって、あらためてどんな感想をお持ちになりましたか?
まず、「肌をきれいにしてくれてる!」っていうのと(笑)、「編集は大変やったやろうな」という感想ですね。あと自分の撮影シーン以外は現場で観ていないから、「こういうふうに繋がっていくのか」と感心したり。私は、自分で本(台本)を書いて自分で演出するので、人の演出とか人の本で演じることに慣れてないんですよ。特に面白おかしく表現しようとしている文章を人の本で表現するのもすごく苦手で。それをやっぱり名取さんは面白くしてるんですよ。「そっか! さすがだな」と勉強になるんですよね。
――女優さんの“受け身の美学”みたいなところなんでしょうか?
多分、そうだと思います。
――まだやっていなくて、今後やってみたい、挑戦したい役はありますか。
お笑い要素がない役の方がやりがいはあるので、シリアスなドラマで演じてみたいですね。今までに何度かNHK 連続テレビ小説にも出させていただきましたが、中でも『あさが来た』という作品で、主人公のお付きの女中役をやらせていただいて、そういう人を献身的に支える役はやりたいです。あとは過去を背負っている役も好きなので、何か過去に犯罪に巻き込まれたのか、逃亡しているのか分からないですが、改心しながらも今の人生を真面目に生きて幼稚園の先生をしてるけど、どこかから追われている……というような役に興味があります。
40歳を過ぎて、うまく息抜きするようになりました

――友近さんは、コントでもドラマでもさまざまなキャラクターを演じていますが、そういったアイデアが生まれてくるのは、幼い頃からなのですか?
周りの人を見るのが好きな子どもでしたね。早いうちから、人間の本性みたいなことに興味があったんだと思います。
――多彩で芯の強い方という印象がありますが、生き方の信条はありますか?
こだわりすぎることや、まっとうに生きなきゃいけないと思い込むことは、しんどくなってしまいますよね。みんなどこかで「なるようになるさ」ぐらいの気持ちでいた方が、人生は楽しいかもしれないなと、40歳を過ぎた頃から思うようになりました。仕事に対してはストイックとまではいかないんですが、「どうやったら面白くなるかな?」と常に考えながらも、息抜きしながら、無理せずに楽しく生きるようにしています。
――40歳過ぎてから思うようになったとのことですが、それまでは目標にまい進されていたのですか?
そうです。でも、いろいろな人と話してみても、毎日を楽に難しく考えない人の方が長生きしていたり、うまくいっていたりする人が多いと感じて。今はうまく息抜きするようになりました。
――友近さんはR-18文学賞の審査員をするなど知的な印象もあるのですが、常にご活躍で、普段のリフレッシュ法はどうされているんですか?
旅行ですね。旅行が大好きで、ときどき温泉に行って、楽しんでいます。その一方で“仕事でリフレッシュする”という面もあるんです。それはストレスになるような仕事をしていないから。特にすごく責任の重い仕事を任されたときは大変だけど、やりがいがあるので、終わった後の爽快感はプライベートで楽しいことがあるよりも、より楽しいんです。
――そんな友近さんは、ご自身の肩書きは何かと聞かれたら?
肩書きをひとつ言えと言われたら、芸人ですね。芸人としてデビューしていますし、それがないとブレてしまう感じがするんです。やっぱり芸人をやっているから、水谷千重子もできるし、西尾一男も、レポーターもテレビタレントもできる。
20代の頃、地元の愛媛でレポーターをやっていたことがあって、そのときにすごくそう感じたんですよね。明るくただレポートしてるだけって思われるのがすごく嫌やったんですよ。こんなふうに振る舞ってるけど、ネタでけへんのちゃう?と思われていたらどうしようとか、そんなこと思われてないのに、不安になったりして。でも、芸人という核となるものがひとつあると、自分の強みになります。
“2時間サスペンスドラマの魅力”は“お決まりのパターンあるある”

――2時間ドラマのお話に戻ると、令和だからこそ昭和レトロブームもあって、映像作品においても2時間サスペンスドラマが若い世代には新しく、大人世代には懐かしいように思います。以前、友近さんが主演されていたショートドラマ『崖』(テレビ朝日系)では、2時間ドラマの顔となる錚々たる俳優さんと共演していましたね。
『友近サスペンス劇場』がきっかけで、テレビ朝日さんがフィルムエストTVさんと新しくコンテンツを作りたいという話になりました。以前のご縁で、西井監督から「オムニバスのショートドラマをやるんですけど、友近さんが主演で、出てくれませんか?」と声をかけていただきました。全6話ある中、仲良くさせてもらっている内藤剛志さんや星野真里さんがゲストに出られていて気心知れた方々ばかりで楽しかったです。
『友近サスペンス劇場』を業界の人や俳優さんなどが観てくださっていたので、このドラマをそこまで説明しなくてもみなさんすぐ理解して下さりました。みなさん「面白いことがしたい」と、大御所の方も思っていらっしゃるから、お声がけすると出演を喜んでくださるみたいです。
――フィルムエストTVさんの制作で、『友近サスペンス劇場Ⅱ』第2弾が2026年1月に公開されるようですね?
ありますね、「『寝台特急「はつゆき」殺人事件』 能登路を走る!殺意の同窓会ツアー」というタイトルで、今度は能登を舞台にした2時間サスペンスをお届けする予定です。
――映画とともに『友近サスペンス劇場II』も楽しみにしています。ちなみに、これまでに放送された作品で、友近さんがお好きな2時間サスペンスドラマといえば?
たくさんありますね。中でも、『江戸川乱歩シリーズ』(テレビ朝日系『土曜ワイド劇場』で17年間放送されたテレビドラマシリーズ)は観返しても最高! 美女シリーズは全部面白かったです。あと、時刻表ミステリーとかも好き。それから、純粋に2時間サスペンスドラマとして、『西村京太郎サスペンス トラベルライター 青木亜木子』シリーズ(テレビ東京系『水曜ミステリー9』 2013年・2014年放送)は、私が主演させていただいたからというわけではなく、純粋に面白い作品です。
平成に作っているのに“2時間サスペンスドラマあるある”が満載で、それこそ『友近サスペンス劇場』か!というぐらいネタになることばっかりの作品。この前再放送していたので、ハリセンボンの春菜ちゃんとか、芸人仲間たちと視聴してたんですが、みんな全部の箇所にツッコんでました(笑)。あと推理に集中しすぎて、間違えて男風呂入ってて、「キャーッ」て言って物を壊してみるとか、「なんやねん!」と(笑)。楽しいと思います。
――拝見しましたが楽しかったです(笑)! ずばり“2時間サスペンスドラマの魅力”はなんだと思われますか?
魅力はいっぱいあります。たとえば“お決まりのパターンあるある”が見どころでもありますし、どの作品もバディが出てきて、その2人の関係性にしても、男女だったら「何? バディじゃなくて付き合ってるの?」とあいまいな感じの距離感もいい。仕事をしながら事件を解決するし、でも人は殺されてるのにその横で別の面白いシーンが行われていることがあるという(笑)。
実際に『トラベルライター 青木亜木子』でも、こっちで人が殺されてるのに、警察としてやってきた宍戸開さんを見て「男前〜♡」とほわん〜とするシーンがあって、演じていて自分でもすごく面白くて、「ここで人が死んでるのにどんな切り替え!?」と(笑)。それがやっぱり2時間サスペンスドラマの良さです。違和感があるシーンでも面白くて、ちゃんと謎解きがあって推理もするから、最後まで観てしまうのが魅力です。
――確かに、2時間サスペンスドラマ好きにはたまらない展開がいいですよね。では最後に、この度公開される映画『テレビショッピングの女王 ⻘池春香の事件チャンネル』をご覧になるみなさんにメッセージをお願いします。
今回、テレビショッピングの女王対決という斬新な企画がどんな形での対決になるのか、私は芸人とは違う面を出しているけど、「面白くなりそう」という期待感を持っていただいてもいいんじゃないかなと。しっかりしたストーリーが展開される中でも、面白いほのぼのとした要素や、不思議な演出もあるし、涙を誘う場面もちゃんとあるし。最後までゾクゾクしながら、みなさんに観ていただける映画になっていますので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。
取材・文/かわむら あみり
撮影:幸喜ひかり

『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』
2026年2月6日(金)公開
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