東京バレエ団〈レジェンズ・ガラ〉でベジャールの傑作『春の祭典』が再演決定
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(C)Shoko Matsuhashi
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すべて見る今月末に上演される東京バレエ団〈レジェンズ・ガラ〉。本公演ではバレエ史に名を刻んだ3名の巨匠振付家の名作を一挙に上演します。(ベジャール振付『春の祭典』、ノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』、キリアン振付『小さな死』)
公演に先がけ、国内では実に7年ぶりとなるベジャールの傑作『春の祭典』のリハーサルが特別に公開されました。

ひとりの天才が歴史を変えることがある。バレエ界においてモーリス・ベジャールは間違いなくそのひとりだ。代表作『ボレロ』はバレエを観たことがない人にまで広く知られている。
そんなベジャールの傑作の中でも『ボレロ』と双璧をなすのが『春の祭典』。世界初演時には大論争を巻き起こしたことで知られるストラヴィンスキーの音楽に、ベジャールは発情期の鹿、鹿の交尾を描いた映画にヒントを得て、バレエの技法を用い、大地の香りただよう原始的な、そして強烈な輝きを放つ唯一無二の世界を描き出した。その傑作は日本では東京バレエ団のみに上演が許可され、過去にはヴェルサイユ宮殿の特設ステージで上演されるほど、同団の十八番として世界各地で高評を博している。その『春の祭典』が国内では7年ぶりに再演されることになり、この1月、マスコミ向けにリハーサルが特別に公開された。
この日のリハーサルはジル・ロマンの指導のもと行われた。ロマンは故ベジャールのあとを継いだ人物で誰よりも本作を熟知している。ロマンは音のタイミングや目線にいたるまで群舞のひとりひとりにも細かく注意を与える。
「「この場面は足よりも腕をつかって!目をしっかりと客席にみせて」
「もっと怯えながら! それだけだとただの動きにみえて何も伝わらない。腕を大きく使ってもっと胸をひらいて」
「下を見ないで! 目線をしっかりみせて!」
「ここで起き上がるときはもっと重く。軽くならないで」
特に目線については非常に細かく指示がとび、時には椅子のうえに立ち上がり「ここをみて!」と力強く声をかける場面も。
そんなリハーサルを支えるのは東京バレエ団の優れたスタッフたちだ。佐野志織(芸術監督)、木村和夫(バレエスタッフ)がロマンの注意がより浸透するようにひとりひとりの動きを丁寧に直していき、女性のパートは奈良春夏(バレエスタッフ)、男性のパートは岡崎隼也(東京バレエ団ソリスト)がロマンの言葉をひと言ももらすまいとノートにかきとめていく。その様子を見守っているのが斎藤友佳理(東京バレエ団団長)。まさに“総力戦”ともいうべき熱の入れ具合だ。

この日のキャストは2月28日(土)に主演する南江祐生と長谷川琴音。ふたりは2024年のイタリア公演でロールデビューを飾り、今回が満を持しての日本お披露目となる。ふたりのリーダーには実力派の鳥海創、そして若干20歳の陶山湘が抜擢された。昨年11月、12月の公演も日ごとに異なる配役で上演した東京バレエ団らしく、層の厚さを感じさせる配役だ。
南江、長谷川はともにバレエの神様に愛されたとしか思えない美しい身体を誇り、これまでは主にクラシックの演目でその存在感を放ってきた。本作では地面の匂いを嗅ぐような振付もあり、時に泥臭さをも感じさせる南江、人外の神秘性を感じさせる長谷川、息遣いもリアルに感じる稽古場では、ベジャールの大役に挑戦するふたりの姿に若い才能が新たな局面を切り開きつつあることを感じる。

リハーサルに続いて行われた囲み取材にはロマン、佐野が出席し、リハーサルの手ごたえを語った。
「この作品では、生贄役の女性は女性らしさと力強さを兼ね備え、男性は何かを見失っているような男性として演じるところが重要。ただ、近年どちらも次第にきつく、力強く演じすぎる傾向にある。そのバランスを見つけるのが非常に難しい。ベジャールは“女性が男性をリードしていく”と語っていた。今日のふたりには非常に純粋な何かを感じている。とても良い舞台になるだろう。もちろんファーストキャスト(伝田陽美、樋口祐輝)もとても素晴らしいですよ」と、稽古場では厳しい眼差しで見守っていたロマンが笑顔で語る姿から、リハーサルの出来栄えに満足している様子がみてとれる。
一方の佐野は「東京バレエ団の良さはアンサンブルの揃い方など色々とあるが、こと本作においては美しく踊りすぎてはいけない。ベジャールの振付の美しさはありながら、それぞれの役柄としての個、そして作品が内包する力強さをお客様にお伝えできたら」と言葉を続けた。
「ベジャールの言葉をそのまま伝えたい」と熱く語るロマン。この傑作を継承するという重責を担うふたりの言葉は重い。この指導をうけ、東京バレエ団がどのように力強く、そして美しい『春の祭典』をみせてくれるのか、期待は高まるばかりだ。
東京バレエ団
レジェンズ・ガラ
「春の祭典」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
「月に寄せる七つの俳句」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アルヴォ・ベルト、ヨハン・セバスティアン・バッハ
「小さな死」
振付:イリ・キリアン
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2563850
2月27日(金) 19:00
2月28日(土) 14:00
3月 1日(日) 14:00
東京文化会館
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